マーケティング調査をふまえ、一般の人を惹きつける内容を提案

パナソニック プロボノチーム
藤原 智子さん

支援を受け入れたのは、昨年4月。プロボノを希望していた5人がマッチングされ、「週5時間程度、約6ヵ月間」の活動を目安にプロジェクトがスタートした。チームはオールパナソニック社員だったが、職場や職種も違い、全員が初対面。プロボノには、それぞれの思いで参加していた。

「普段の仕事以外の世界にアンテナを張る中で、NPOのマネジメントに興味があった」というのは渡辺久晃さん。一方、仕事に余裕ができ、興味本位で参加したという藤原智子さんは「経営企画という仕事柄、自分にもできることがあるかもしれない」と思った。また、大坪里実さんは「子育てと仕事場の往復で、社会的な視野の狭さを感じていて、自分の勉強のために参加した」と話す。

パナソニック プロボノチーム
大坪 里実さん

チームは、まずホームページのコンセプトづくりのため、団体を取り巻く66組のステークホルダーにヒアリング、アンケート調査を行ったが、その中で「花と緑」の活動が地域の人々にいかに大切にされているかを実感した。「『ここだけの話、団体への不満や要望は?』と聞いても、返ってくるのは感謝の言葉ばかり。誰一人、悪く言う人がいないのは驚きだった」「イベントに参加する子どもの笑顔と、それをうれしそうに見ているボランティアの方々の姿がとにかく印象的。こんなふうに陰で地域を支えているNPOがあるんだと思った」

パナソニック プロボノチーム
渡辺 久晃さん

マーケティング調査を経て、チームは中間提案を行い、その後、具体的な制作に入った。プロジェクトマネージャーを務めた渡辺さんは、「ホームページを通じて会員やボランティア層を拡大したいという要望だったので、団体のニーズやターゲットを整理して、詳細な分析・検討を行いました。特にホームページの構成や文面は、見る人のユーザー目線を意識して、一般の人の関心事を軸に惹きつけていく内容にした」と話す。

中間提案の模様

一方、団体側の高島さんは、プロボノの仕事ぶりに終始、感心しきりだったという。「最初は、客観的にアドバイスをくれるんだろうぐらいの受身姿勢でしたが、きっちりチームを組んで、一つひとつ丁寧に問いかけてくれて、資料も期限通りに直球勝負でボーンと返ってくる。もう、本当にプロやと思いました。そういうのを目の当たりにすると、自分たちはちょっと甘えたところがあったかなと。文章を書く時も、私たちの場合は思いが先行して『自分たちは、こうしてます』的な表現ばかりで、それだと、見た人は『すごいね、がんばってね』で終わる。活動に参加したいと思わせるような視点が欠けていました」

「花と緑のネットワークとよなか」代表理事 高島 邦子さん

2011年に開催された「プロボノ フォーラム OSAKA 2011」では、プロボノチームが制作したホームページのビフォー・アフターが提示され、その変わりように会場がどよめくシーンも。