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日本の着物を活用した洋裁の技術指導を通じて、途上国の女性や若者の自立をサポートする「特定非営利活動法人リボーン・京都」。2014年から「NPOサポートファンドfor アフリカ」を通じて、広報活動を通した継続的な支援者の拡大と組織基盤の安定化を目指している。
自立を支える“made in Rwanda”ファッション
リボーン・京都 マネージャー
牧田宏子さん
シルク100%の艶やかなスカート、梅の柄がかわいいワンピース、シックな男性用ジャケット−−−−伝統的な町家の軒先に、日本の着物地を再利用した衣服や雑貨がずらりと並ぶ。アフリカの小国ルワンダなどの女性や若者が製作し、京都市内にあるリボーン・京都の店舗で販売されている。
カンボジア難民への支援をきっかけに、1979年に活動を開始したリボーン・京都は、これまでアジアや中東など7カ国以上で洋裁技術の指導を続けてきた。2013年からはアフリカのルワンダで洋裁指導を行っている。
1994年に大量虐殺が起き、多くの人が犠牲になったルワンダ。今では高い経済成長率を維持し、内戦からの復興モデル国ともいわれる一方、依然として国民の半分以上が極度の貧困に苦しんでいる。そこで、リボーン・京都は、首都キガリの公立職業訓練センターで、16歳から35歳の若年貧困層を対象に、洋裁技術の習得訓練を実施。日本の洋裁指導の専門家ら2人が常駐し、ルワンダ人の洋裁専門家と協力して彼らの自立をサポートしている。
「目標はルワンダ国内で縫製のできる人材を育成し、世界の市場で競争力のある商品を開発すること。現地の雇用機会を増やし、収入向上につなげるため、高品質でデザイン性の優れた“made in Rwanda”ファッションの確立を目指している」と話すのは、マネージャーの牧田宏子さん。洋裁技術だけでなく、日本式の時間厳守や整理整頓の習慣を身につけた修了生は、ルワンダの大手縫製工場に就職するなど、経済的自立の道を順調に歩んでいる。
積極的な発信で売上アップを実現
訓練生たちが着実に成長を遂げる一方、彼らを支える京都の事務局では、支援者の高齢化が進んでいた。牧田さんは「新たな寄付者の獲得や広報面での積極的なアピールの必要性を認識しながらも余裕がなく、片手間で広報活動を続けていた」と言う。
そこで、2014年にパナソニックの「NPOサポート ファンド forアフリカ」を活用し、ホームページやパンフレットなど広報媒体の改訂を実現した。さらに、支援者との密なコミュニケーションを目指して、2015年に2度目の助成を申請。オンラインとオフラインでの積極的な情報発信、商品の販売促進、広報体制の強化に力を入れた。
オンラインでは、滞りがちだったSNSの更新頻度を倍に増やし、ホームページ向けの動画を作成したほか、オンラインショップでの商品紹介を充実させた。オフラインでは直接商品について伝えられる百貨店での展示即売会を拡大し、高齢者向けに通販カタログをつくることで、販売数がぐっと増えた。
「情報発信量を圧倒的に増やし、積極的な広報活動を維持できるようになったのは、広報業務に専念する有給インターンを雇用した点が大きい」と牧田さんは言う。新商品をオンラインショップですぐに発表するなど、これまで後手にまわっていた情報発信もタイムリーに行うことができるようになった。
広報活動の着実な積み重ねによる効果を実感
2015年は、初めて支援者向けの現地視察も実施した。4人が参加し、ルワンダの職業訓練校や市内のマーケットなどを訪れた。訓練生の家庭訪問も盛り込み、参加者からは「厳しい環境に置かれた人々の状況がよくわかった」「訓練を真剣に受ける様子をみて生活改善にかける強い思いを感じた」などの声が寄せられた。つくり手に直接会ったことでて彼らの意欲を感じ取り、より積極的に支援者拡大に向けてのアプローチや製品の販売をサポートしてくれるようになった人もいた。
「これまで事業に対する助成金や寄付はあっても、広報面のサポートを受けることは難しかった。パナソニックのこのファンドのおかげで、広報に力を入れることができ、徐々に会員や事業収入の増加につながっている」と、牧田さんは今、たしかな手応えを感じている。
2016年は、前年度に取り組んだ広報強化の活動を定着させ、引き続き組織基盤の安定化を目指す。そして、より多くの人にルワンダの魅力や活動の意義を伝え、彼らを支え続ける体制を固めていく計画だ。
【団体プロフィール】特定非営利活動法人リボーン・京都
1979年、カンボジア難民救援会の婦人奉仕部「お仕事会」として発足。以来、カンボジアの難民、ベトナムのストリートチルドレンや少数民族、スリランカの津波被災者、ラオスの若者、ヨルダンの女性などに対して洋裁技術を指導。2002年にNPO法人化し、「特定非営利活動法人リボーン・京都」と改称。現在、ルワンダでの洋裁技術指導のほか、京都で東日本大震災の避難者に対する洋裁ワークショップも実施。