1998年からアジの国々を対象に、大学や職業訓練校で学ぶ学生を支援してきたパナソニック スカラシップ アジア。スカラシップを経験した多くのアルムナイは、現在、世界中のビジネスや研究機関の最前線で活躍をしています。

私たちはパナソニック スカラシップ アジアを経験したアルムナイを対象に、インタビュー取材を行ってきました。そこでは経済的なサポートから得られたこと、学んだ課題、そして様々な出会いなど、有意義な体験談がありました。そして、実に多くのアルムナイから、聞かれたのがパナソニック創業者・松下幸之助への想いです。多くのスカラシップの中から、パナソニック スカラシップ アジアを選択したきっかけとなったこと、またはスカラシップ生として高い目標を掲げながらも、卒業まで達成できたことの背景に、創業者の理念や思想がありました。
創業者の想いは、アルムナイそれぞれのキャリアや人生における重要な転機となったり、日本への渡航経験がない方でも、松下幸之助についてはその理念やビジネスに対する姿勢に感銘を受けたりしたケースもありました。

そこで、私たちは、創業者の考えや価値観を題材とした、「フィロソフィー研修」を実施いたしました。
研修を行うのは、2023年度認定者(※一部2022年度認定者)がいる9か国(カンボジア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナム)。対象となったスカラシップ生、総勢136人です。各国にて独自のカリキュラムによる研修を実施。
これが初開催とは思えないほど大変な盛り上がりをみせました。

創業者の想いに触れる研修

この研修は、2023年度に認定されたスカラシップの学生を対象に、今後の人生に活用する機会を提供することを目的に掲げ、主に次の3つの項目を実施しました。

  1. 創業者・松下幸之助の格言から、経営思想を学ぶ。
  2. 受講内容から、各自、印象に残った創業者の格言を一つ選出。
  3. その格言を、「今後の自分の人生にどのように活かしていきたいか」をテーマにした感想文を作成。
  4. 国、地域ごとに、それそれぞれの事務局が優秀作品として1人の感想文を選出。

そして各国代表作から、さらに優秀作品を選出するパナソニック グローバル コンテストを開催しました。

各国で実施された研修会の一部をご紹介します。

●会長自らリモート講義。30にも及ぶ創業者の格言を解説/インド

インドでは、オンラインによる講演が行われました。
パナソニック ライフソリューションズ インディア社の総代表、マニッシュ・シャルマ会長自ら松下幸之助による30もの格言について、ひとつひとつを丁寧に解説。さらに創業者が残した逸話や、興味深い人生観についても触れ、白熱した講話は1時間以上にも及んだそうです。

インドで開催されたオンライ講演の様子。パナソニック ライフソリューションズ インディア社のマニッシュ会長の講話に、参加者は興味深く耳を傾けていました。この模様は、SNSでも発信されました。

●タイでもSNSで世界中に発信

タイでもSNSを活用して、世界中に発信されました。創業者の経営理念の知識を学び、利益を得る能力を備え、社会で成長を続けることが国にとっても重要な力になると、この研修の意義を紹介されています。

タイの研修に参加されたスカラシップ生の皆さん。

タイでの研修風景。

素晴らしい作品が揃ったハイレベルなコンテスト

2024年2月。各国の激戦を制し、各国の代表となった9作品が、日本のスカラシップ事務局が主宰するパナソニック スカラシップ グローバルコンテストに集結しました。
エントリーされた作品はいずれも論点、視点がユニークで、素晴らしいものばかり。選出には激論が繰り広げられ、順位付けは難航しました。

事務局では長い時間と、議論に議論を重ねた結果、上位4作品を優秀作として選出することになりました。しかし、各作品の評価は僅差だったことは言うまでもありません。

■受賞された皆さま

●Top Award

Nguyen Thi Thuong/Vietnam
Title:A letter to the Legacy of Konosuke Matsushita

●Excellent Award

Wahyu Kisworo/Indonesia
Title:Human Being are Rough Diamonds

●Scholarship Award

Adrienne S. Tibi/Philippines
Title:Making People Before Products: Transcending Industries

Renee Claire Voon Zi Yin/Malaysia
Title:A Sunao Mind

このようなハイレベルなコンクールになったのは、各国の事務局の皆さんがそれぞれ趣向を凝らし、想定以上に質の高い研修が実施されたこと。そして受講されたスカラシップ生も真剣に取り組んでくれた結果です。

私たちは、この研修が、スカラシップ生にとってこれまでにない貴重な経験になったことを実感しています。今後も、彼らが創業者の思想や哲学を学び、それをこれからの人生に活かされていくこと、そしてこれからスカラシップ生となる皆さんへ、継承されていくことを心より願っています。同時にスカラシップ事務局では、今後もこのフィロソフィー研修を継続してまいります。次回も今回を上回る、さらなるハイレベルな研修とコンクールになる事を期待しています。