パナソニック スカラシップ アジアのマルチ支援で
学生の皆さんの成長と夢の実現へ

パナソニック スカラシップ アジアが実践している支援の一つ「学びの支援」は、奨学金を提供することがメインですが、それだけではありません。日本の事務局ではフィロソフィー研修や、卒業後も世代を超えて繋がり、情報交換ができる環境も整えています。そして各国の事務局にも、独自のプログラムを構築、現役生をより強く支援しようという動きが起こっているのです。今回はその一つ、ベトナムの事務局が実施しているセミナーに注目しました。このセミナーは年を追うごとに参加する学生が増えているとのこと。人気の秘訣はなにか——。ベトナムの担当者に話を伺いました。

現役学生たちを即戦力として送り出すために、ベトナムのパナソニック スカラシップ アジアの事務局独自のセミナーを開講

私たちは経済的な支援を通じて、優秀な学生たちが社会で即戦力として活躍できるようにしたいと考えていました。事実多くの学生が自身の夢の実現のために多くのことを学ぶ環境は整えられていると思います。
多くの学生が社会に出たとき、「学校で学んだ基礎知識だけでは不十分」だと感じていました。このままではせっかく学んできた知識を活かせず、学生の皆さんが自身で思い描いてきた夢の実現も遠のき兼ねません。従来の支援のままでは足りない要素があるのかも知れない。事務局として、学生たちにできる新たな支援はないだろうかと、事務局の中で様々な意見を出しあってきました。

そこで私たちは、学生たちが社会に出たとき、ビジネスでよりスムーズに、そして即戦力として活躍できることを目標に、基礎ビジネス哲学などを学ぶセミナーを企画しました。
主な内容は以下の通り。

  • 基本的なビジネス哲学と基本的なビジネスマナー
  • コミュニケーション能力と「報(ほう)・連(れん)・相(そう)」(「報告」・「連絡」・「相談」の略)
  • 問題解決能力
  • プレゼンテーション能力
  • 履歴書の作成と効果的な面接の受け方

このセミナーは学生たちからも私たちの想像を超えるほど大変好評で、年を追うごとに参加者も増えています。

セミナー中の風景。回を重ねる毎に学生たちの発言も増えてきました。

事務局が考案した新たな支援、セミナーがスタートしたのは2017年でした。

社会に出たとき、必要なことは「ソフトスキル」です。これは企業側から見れば当たり前のことであり、明確です。私たちはそこに着目しました。パナソニックの視点に立ったソフトスキルを習得できるセミナーを企画しました。企業では当たり前でもまだ学生には馴染みがない基礎知識を、積極的に伝えていこう、と考えました。

当初は基礎ビジネス哲学などの基礎講座がメインでした。内容は基本的ビジネスマナー、時間管理能力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、プレゼンテーションスキルなどでした。
初回の参加者は40人ほどと少人数でした。私たちの目標は、より多くの学生が受講したくなるセミナーにすることです。そのため、私たちのプログラムにも進化と変革を続けていくことが必要だと感じていました。

私たちはセミナーを体験した学生の感想や、既に社会で実践を積んだ方々からのアドバイスや意見、さらに深めたいと考えている情報や知識についても聞き取り続けました。その都度セミナーのメニューをカスタマイズしてきました。これらはプログラムの精度を格段にブラッシュアップすることにつながりました。

そして2017年のスタート当初から創業者・松下幸之助の哲学を学ぶセミナーも実施してきました。このテキストは、私たちが編集した、もちろん独自のテキストです。受講した学生からは、パナソニックについてあまり知識がなかったが、このセミナーを通じてパナソニックや、スタートアップの意義について深く知ることができたという意見もありました。普段の生活や勉強する心構えなど、現在の自身の立場に置き換えて考える学生も多かったようです。
2023年に、日本の事務局が主導で各国のフィロソフィーを対象にした研修が開催されましたが、私たちのセミナーはそれ以前から行っていました。私たちの活動は多国の事務局関係者にも大きな刺激になったのではないでしょうか。

創業者の哲学を学ぶセミナーのテキスト

私たちのセミナーに参加した学生たちの感想の一部を紹介しましょう。

「パナソニックのセミナーのおかげで、今後の生活や仕事に活かせる知識やスキルが増えました。しっかり吸収して日々の業務や将来の仕事において、効果的に活用していきたいと思います」

「私がベトナムの社会に出るための良い準備になるでしょう。それに、この有益な知識を周りの人や学習コミュニティに伝えていくつもりです」

「履歴書をより効果的に編集できるようになり、誤りやすい小さなミスを避けることができました。さらに、面接前の準備も向上しました」

「受講する前は、今まで参加したことのある他のコースと変わらないものだと思っていました。しかし、受講してみると、これまでに経験したことがない知識ばかりで驚きました。それだけでなく、講義は、指導者たちが経験し、次の世代に熱意を持って伝えてきた経験からの実践的なストーリーでもありました」

受講した学生たちの話は、学生間で広がり、スタートから7年が経過した現在、受講を希望する学生は急増し、今では300人ほどが受講する人気セミナーに成長しています。

もちろん私たちのセミナーはこれからも進化させます。ベトナムの学生にとって有益で実践的なセミナーであり続けたいことが私たちの願いです。

今回ご紹介したベトナム以外にも、独自に企画した研修やイベントで、学生のバックアップに務めている例はあります。ただ、今回のように学生たちの思いや目標をしっかりと受け止め、都度対策を講じている点は大きな特徴と言えます。なによりベトナムの事務局は学生との積極的なコミュニケーションを繰り返し行ってきました。その結果、学生と企業・ビジネスとの隙間を埋める成果に繋がったのだと思います。今後は他の国でも実践されていくかも知れません。