2004年(平成16年)
松下電工との包括的協業へ
2004年4月、松下電器産業(株)と松下電工(株)は、新たな資本関係のもとで、名実ともに一つのグループとなった。
これは、公開買付けにより松下電工株式を追加取得し、51%の持株比率とすることによって資本関係を強化、包括的協業関係を構築していくことになったもので、2003年12月に合意し、準備が進められていた。
この関係構築により、世界有数の経営リソースを持つ「新企業グループ」が誕生。グループ企業価値の最大化に向けて、お客様視点の最適体制を構築していくことになった。
両社は、創業者・松下幸之助の経営理念を共にする会社であるが、1935年に松下電工が配線器具、合成樹脂、電線管部門の事業を継承する形で別会社となって以来、グループの中核企業として協力関係を保ちながら、それぞれ独自の戦略に基づいて事業を展開、切磋琢磨することで発展を遂げてきた。
調印式で握手を交わす松下電器産業・中村社長(右)と松下電工・畑中社長(左)
しかしながら21世紀に入り、グローバル競争が激化する中、ネットワークや環境対応など新たな価値観に基づく商品やサービスが求められ、このような時代の要請に応えるためには、両社が、共通して息づく経営理念のもと、お互いの力を結集し、グループの総力を挙げた新たな枠組みを構築することが最良であるとの判断に至った。2004年9月には、両社間で重複している開発・製造・販売機能を再編成。アプライアンス事業を松下電器産業に、電材事業や住建・設備事業を松下電工に集約することとした。
さらに10月には、松下電器産業のパナソニックセンターと松下電工の汐留ショウルームをリニューアルし、グループの総合的な情報発信基地として、「パナソニックセンター東京」と「ナショナルセンター東京」を新設した。
2004年11月、両社の「コラボV商品」の第一弾として、バス、トイレ、キッチン、ファニチャーの居住空間向け商品を発表。両社のブラックボックス技術を融合させ、全社あげて取り組んだ商品で、当社の省エネ・省資源技術、使いやすさの研究成果と、松下電工の空間設計技術や住まい提案力を組み合わせたものであった。これに引き続き、ホームセイフティ分野、オープンエリアセキュリティ分野、ライティング分野などでもコラボ商品の開発を進めていった。
「松下幸之助創業の地」記念碑を建立
幸之助直筆の「道」が刻まれた記念碑
創業者・松下幸之助の生誕110年にあたる、2004年11月27日、創業の地である大阪市福島区大開(おおひらき)に「松下幸之助創業の地」記念碑が建立され、除幕式が実施された。
大開は1918年、当時23歳だった幸之助が、パナソニックの前身となる「松下電気器具製作所」を創立した「創業の地」。その後1933年に本拠地を門真に移すまでの15年余りの間、この大開で操業し、事業の礎が築かれた。
記念碑の建立は、大開に「創業の地」の足跡を示すものがない状況を憂慮した地元・大開連合町会が、町おこしの一環として起案されたもの。同会が2003年に立ち上げた、「大開町と松下幸之助に関する事業委員会」の募金の呼びかけに、地元有志の方々や当社社員・OBら約9300人が応じ、第二次本店・工場のあった現在の大開公園の一角に記念碑が建立されるに至った。
記念碑の大きさは高さ1.8メートル、幅2メートルで、幸之助直筆の「道」の文字が刻まれている。大開にはこの記念碑のほか、創業の家、第一次本店・工場、第二工場(ランプ組立工場)の跡地にも、それぞれ銘板が取り付けられている。