助成を受けられた団体(子ども)

子ども分野・2010年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

アンコール小児病院・バーチャルツアーを中心としたサイトリニューアルと広報基盤の強化

団体名

特定非営利活動法人 フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN

事業目的

(1)アンコール小児病院の活動を、多くの人に知ってもらうためのツールの開発。

(2)活動に関する情報を整理・確認し、事務局内での共有・意識の統一を図る。

(3)より効果的な広報活動を事務局一体となって進める基盤を作る。

事業目標

(1)カンボジアで高い評価を受けている、アンコール小児病院の活動をより多くの人に知ってもらう。

(2)アンコール病院の多岐にわたる活動と取り組みを、支援者にわかりやすく伝える広報ツールを確立する。

(3)ウェブサイトをリニューアルし、アンコール小児病院バーチャルツアーを展開し、活動理解につなげる。

(4)サイトの更新・メンテナンスを事務局内で行い、常に正確で新しい情報を提供できるようにする。

(5)サイト分析やアンケート調査により、事務局の基盤強化につながり、効率的な広報活動が可能になる。

事業概要

(1)ウェブサイトのサイトリニューアル

(2)ウェブサイト上でのアンコール小児病院・バーチャルツアーの展開

(3)事務局内でのサイト更新とマニュアル作成

(4)サイト分析・アンケート調査による評価

(5)ニュースレター版バーチャルツアー(病院活動紹介)の作成

事業の成果と課題

○事業の成果

当団体は、一昨年まで事務局という器はありながらも“組織”というソフト作りに費やす視点と時間が不足していました。そして、日々の業務をこなすことのみで時間が流れた結果、組織全体の士気も下がり、活動もマンネリ化していたという実情があります。2009年に当団体がその活動を支えるアンコール小児病院の10周年を迎えたことにより、当団体のこれまでを振り返り、今後を考えるきっかけとなり、組織力の基盤強化を図ることとなりました。
基盤強化に関しては、事務局責任者を新たに配置、専従スタッフの雇用、広報活動の見直しと改善、事務局内業務の明確化と細分化、短中長期の目標設定などを行い、ウェブサイトの充実はその一環として位置付けられました。
サイトリニューアルにあたっては、事務局内でウェブ上に発信する情報の内容や優先度、サイト構成やデザインイメージなど、どのような方向性で進めるかを、スタッフ全員で十分に議論した上で全体の構成を決めることができたと考えています。
また、この話し合いの中で、今までウェブサイトを含め、広報に関する取り組みが不十分であったことを再認識し、問題点の洗い出しなどを行いました。また、他団体のサイトをリサーチし、最新のインターネット募金の状況などを全員で調べ、勉強することができました。
外部協力者に依頼して最初に作成されたサイト構成はリンク方法に分かりにくい部分があり、デザインも色のバランスがきついなどの問題点がありました。
事務局内でもディスカッションを繰り返し、具体的なイメージなどをさらに出し合い、改善を重ねて作業を進めました。ブログやメルマガとのリンク、ツイッターの導入など、効果的なネットの使い方についても他団体の成功例などを参考に構築作業を行いました。
出来上がったサイトは、情報の配置がわかりやすく、デザインも清潔感があって団体のイメージに沿っているとボランティア・支援者からも好評を得ています。メール等で感想を寄せてくれた関係者も多数ありました。また、広く意見をとりいれ、文字が小さいなど当初あった問題点の改善も随時行われています。
サイトの内容をスタッフ全員で確認することにより、細かな数字のチェックや活動紹介の中での表現や文字の統一などが広報に関するものに限らず、支援者に送るメールや文書等にも反映することが事務局内で行われるようになりました。こういった細かい積み重ねが、外部から見たときの組織力につながっていくことを事務局全員が認識するようになりました。
スタッフ全員がウェブサイトの見直し作業にかかわることで、広報として発信していく情報の優先順位や、団体のイメージに対する考え方などを随時具体的に討論し、今後も組織内の統一意識や、情報共有をより細かく積み上げ、基盤強化につなげていきたいと考えています。
リニューアル後のアクセス解析では、サイトアクセス数が倍増し、手ごたえを感じています。サイト外のスタッフブログの更新やツイッターへのつぶやきやフォローなど、インターネットを活用し、PRにつながる方法について、事務局一丸となって取り組んでいます。
今後イベント等の告知後のアクセス解析などを行うことにより、ウェブサイトの効果的な利用方法をもっと充実させていけることと考えています。
ニュースレター上のバーチャルツアーについても、全体像がわかり色々な施設が整備された病院ということが一目でわかると、支援者などからも評価されました。
今後もこのデータをリーフレットなどにも活用して行く予定です。

○事業の課題

 サイトリニューアルの内容や方向性については、議論を重ね、事務局全体で取り組む体制作りができた半面、実際の作業については、技術的な部分を伴うために、担当スタッフがほぼ一人で進めることになり、かつ事務局内のその他の業務にも多くの時間を費やさなければならない状況のために、その進行に大きな遅れが出てしまいました。
 また、ムーバブルタイプからのソフト使用への変更により、サイト構築の骨格については外部協力者に作成してもらいましたが、細かい部分は事務局で行うこととなりました。
 担当者は以前からウェブ制作を行っていたとはいえ、新しいソフトや最新のインターネット技術について、それほどの知識がなかったため、かなりの部分が勉強しながらの作業となり、結果的にサイトリニューアルが当初予定を大幅にずれこんで12月となってしまいました。外部支援者のレクチャーがなければそれも難しかったと考えています。
 この大幅な遅れの原因は、
1)技術的な要素が多いために、担当者が作業を他のスタッフと共有することが難しかった。
2)色々なソフトを併用するために、少し空いた時間で作業を進めるということが難しく、日々の業務に追われる中で、だんだんと先延ばしにされていってしまった。
3)担当スタッフが抱え込んでいることを事務局全体の問題としてチェックする体制がなかった。
 ことがあげられるかと考えています。
 サイト自体も、大まかなサイトリニューアルはしましたが、内容についてはまだまだ不十分で、支援団体を紹介して団体サイトにリンクするページ、カンボジアの現地情報のページなど、今後充実させていかなければならないものがたくさんあると考えています。スタッフ全員で意見を出し合い、より分かりやすく、多くの方の興味を引くような、PR効果の高いウェブサイト作りに今後も取り組んでいきます。
 また、ソフトを導入したことにより、更新作業が楽な半面、インストール済みのPCでしか作業できないなどの制約がでてきました。今後ボランティアの協力をすすめるために、ボランティアコーディネーターとの連携とその強化が必要と思われます。

 昨年度、事務局は組織基盤作りのために、サイトリニューアルをはじめとして、支援者ツールの開発やイベント・講演の充実、ボランティア体制の強化などの目標を作り活動しました。昨年当初の団体のスタッフ構成は、常勤スタッフ1名を中心に、週2~3日出勤の2名と週1~2日出勤1名の非常勤スタッフ3名がシフトを組み、常時2名以上は事務局にいる状態を基本に、毎週火曜日はミーティング日としてカンボジアにいる事務局運営責任者の赤尾と全員参加のインターネット会話(スカイプ)でミーティングを行いながら、グーグルのクラウド機能を使った業務日誌やスケジュール管理表などを使い、業務の流れの共有を行っていました。
 しかし、常勤が1名だけという状態は、問い合わせなどの単発の業務がほとんどひとりに集中してしまい、本来、業務全体の管理やイベント・講演などの企画を行うはずの常勤スタッフの負担が大きくなってしまいました。
 また、他の3名が交互に出勤しながら、事務局業務を行う為にロスが多く、引き継ぎが不十分で支援者対応が不十分だったケースが出てくるなどのリスクが大きく露呈してきました。
 そのため、事務局体制の根本の見直しを行い、今後の組織基盤強化にはもう1名常勤スタッフが必要との結論に達し、11月から支援者対応とデータ管理専門に常勤スタッフ1名を雇用することとなりました。これにより、事務局の体制強化とともに、3名の非常勤スタッフが、広報・制作・ボランティア対応という、専門分野のみに専念できる状況を作っています。

今後の取り組み方針

 今後の組織基盤強化については、事務局のさらなる体制作りを第一に取り組んでいく予定です。
 前項で既述したように、常勤スタッフを1名から2名にし、団体として非常に重要なデータ管理専門に新規スタッフを雇用しました。今までデータが分散していた、寄付者リストや支援者リスト等の情報をデータベース化し、個人情報の的確な管理と保護、細かな支援者サービスができるようなシステム作りに力を入れています。
 同時に非常勤スタッフ3名はそれぞれ、広報・制作・ボランティア担当となり、本来の専門的な知識を使った業務に専念することができるようになると考えています。
 一方で情報共有が難しくなることも予想されるので、事務局責任者の赤尾の管理のもと、今までのスカイプミーティングやグーグルのクラウド機能を使った業務日誌などをさらに活用させ、進行中のプロジェクトやイベントはもちろんのこと、支援者対応などの日常業務についても常にすべてのスタッフが状況を把握し、かつ全体の意志統一を図れるような体制作りを進めていきます。
 また、層の厚いボランティアの育成にも力を入れていきたいと思っています。
 事務局管理面では、体制の変化による団体のマニュアルの定期的な見直し、組織内のプロジェクトと各スタッフの評価の徹底などを行います。