<組織診断+組織基盤強化>

助成事業名

フードバンク推進のための組織基盤強化事業

団体名

特定非営利活動法人 フードバンク山梨

代表者

米山 惠子

【推薦理由】
 食品メーカーや外食産業などでは、品質には問題がないものの、包装の痛みなどで市場での流通が困難になり、商品価値を失った食品が発生する。フードバンクは、従来は廃棄されていたこうした食品の提供を原則として無償で受け、生活困窮者等へ配給する活動である。我が国では2000年代初めからフードバンクの活動がスタートしており、各地に少しずつ広がりつつあるが、欧米における認知度と活動規模に比して、法整備の遅れや資金的な制約から、社会への普及が進んでいない。
 当該団体は山梨県を活動エリアとして2009年からフードバンク活動をスタートさせた。約4年余りで食品の取扱量は重量ベースで約100トン、協力会社32社を擁する業容となり、財政規模も3~4千万円規模に成長している。県内紙などマスコミにも多数取り上げられ、環境省や厚生労働省へのフードバンク活動への財政的支援や制度化を働きかけるなど、極めて活発な活動を展開しており、創業者である米山理事長の手腕は目を見張るものがある。また、当該団体をモデルとして、静岡や茨城、山形、千葉など他地域でもフードバンクの活動が広がりつつあり、当該団体が我が国のフードバンク活動の中核的な役割を担っている。
 当該団体の基盤強化の取り組みは、我が国のフードバンク活動の発展にとって波及効果が大きいと評価されたことから採択に至った。まずは急成長して来た団体の内部経営資源を棚卸し、また団体を取り巻く外部環境を分析する中で、基盤強化の方向性を固められることを期待したい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    2008年(設立後 満5年)
  2. 目的
    市場に出すことができなくても、消費するには十分に安全な規格外食品を企業や農家等から提供してもらい必要としている福祉施設などに届けるフードバンクシステムを構築するとともに、社会の食品ロスの削減に向けた意識の醸成を図り、食品が無駄なく消費され、だれもが食を分かちあえる心豊かな社会を創ること。
  3. 活動内容
    フードバンク事業、食のセーフティネット事業、情報発信
  4. 活動地域
    山梨県内
  5. 有給スタッフ数
    9人(常勤5人、非常勤4人)
  6. 正会員数
    個人会員52人、企業・団体会員26件
  7. 財政規模(年間経常収入)
    2,210万円(2013年度予算)
    4,051万円(2012年度決算)
    3,746万円(2011年度決算)
  8. ホームページ
    http://www.fbyama.com/

<2012年度収入内訳>

助成事業名

組織変革期における組織及び財政基盤強化

団体名

国際青年環境NGO A SEED JAPAN

代表者

浅田麻衣、梅本一成

【推薦理由】
 当該団体は、1992年6月、ブラジルで開催された「地球サミット」へ、青年の声を届けるため実施された「A SEED国際キャンペーン」が契機となって発足した。国境を越えた環境問題と、それらに関連する社会的な不公正に注目し、より持続可能で公正な社会を目指して活動をしている。
 団体の発足以降、10代後半~30代前半の青年層のボランティアが主体となって運営・活動しており、現在は5つのプロジェクトチームが存在している。その中の一つ「ごみゼロナビゲーション」事業(以下、ごみゼロ事業)は、1994年に活動を開始、年間でのべ1,600名以上の青年ボランティアをコーディネートし、20本もの野外音楽イベント等の環境対策を実施、ごみを削減し、来場者の環境意識啓発を行っている。ごみゼロ事業をきっかけにして獲得される会員やボランティアは大変多く、また、同事業に纏わる収入は全体の7割を占めるなど、19年間、当該団体の組織基盤の根幹を担ってきた事業といえよう。
 一方で、組織の改編に伴い、上記のように当該団体の事業の柱であったごみゼロ事業が2014年1月末を持って当団体内での活動を終了し、新たな団体として独立することが決定した。同事業の独立によって、社会的ブランド力の低下や財源の不安定化など、当該団体の組織基盤に与える影響は極めて大きいことが予想される。また、昨今、ごみゼロ事業以外のプロジェクトではボランティアの高年齢化が際立っており、同事業独立によりさらに若手不足になることが懸念される。
 本助成事業では、外部の専門家の指導の下で課題分析、具体的な課題解決プランの確立、新規事業立上げのための仕組みと整備に取り組む。本助成を有効に活用いただき、ごみゼロナビゲーション事業の独立という重大な転換期のソフトランディングを成功させ、持続可能な社会の実現に向けてより多くの青年の力を結集、青年環境活動を牽引できるような組織への成長と発展を期待する。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1991年(設立後 満23年)
  2. 目的
    青年を中心とするあらゆる個人や団体が、環境問題の中に内在する社会的不公正を解決するために、1)環境問題を、経済や社会の構造そのものから見据え、2)青年の立場から、環境問題をわかりやすく伝え、長期的視野を持って社会を変えること。
  3. 活動内容
    野外イベントの環境対策コーディネート“ごみゼロナビゲーション事業“、社会がより良くなるお金の預け方を広める“エコ貯金事業”、その他
  4. 活動地域
    全国、海外
  5. 有給スタッフ数
    8人(常勤5人、非常勤3人)
  6. 正会員数
    個人会員229人
  7. 財政規模(年間経常収入)
    4,475万円(2013年度予算)
    6,773万円(2012年度決算)
    6,052万円(2011年度決算)
  8. ホームページ
    http://www.aseed.org/

<2012年度収入内訳>

助成事業名

実効性の高いファンドレイジング戦略の立案と実行体制の構築

団体名

特定非営利活動法人 環境市民

代表者

杦本 育生

【推薦理由】
 当該団体は地球規模の環境問題を地域から具体的な活動を行い、社会へ創造的な提案をして行く本格的な環境NGOとして、市民、専門家が集まり発足した。消費者が商品選択を変えることで経済を変えるグリーンコンシューマー活動やグリーン購入の普及に尽力し、グリーン購入法の制定に大きな影響を与えたことは特筆すべき実績であろう。誰もが参加でき、かつ専門性が高いNGOとして我が国の環境NPO/NGOの牽引役として、中心的な役割を担って来ている当該団体の実績、ノウハウは優れたものがある。他方、収入の多くを行政等からの委託事業に依存しており、ここ数年は赤字決算が続くなど財政的な不安定さに悩んでいる。寄付者も一定程度安定的に確保しているが、体系的なファンドレイズの戦略は立案できておらず、設立から20年余りを経たこの時期に、一段上のレベルを目指し腹を据えた組織基盤強化に取り組みたいとの思いで申請に至っている。
 日本を代表する環境NGOが、20年の実績を整理し、外部環境や内部経営資源を徹底的に棚卸することで次のステージに向かう取り組みは、我が国のNPOセクター全体にとっても有益かつ参考になる事例となることが期待され採択に至った。まずは外部の専門家の支援を受け、しっかりした組織診断を実施され、その診断をもとに組織の課題を抽出し、組織基盤強化の方向性や具体的な計画を練り上げていただきたい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1992年(設立後 満21年)
  2. 目的
    市民の主体的な活動のもと、環境教育、環境と調和した ライフスタイル、および社会経済システムの調査研究およ び実践普及、環境政策の提言等を行い、もって環境の保 全、生態系の維持および持続可能な社会の創造に寄与 すること。
  3. 活動内容
    グリーンコンシューマー活動やグリーン購入の普及事業、 「環境首都創造ネットワーク」事業、企業の環境の取り組 みを支援する事業、その他
  4. 活動地域
    京都市内を拠点に、全国各地で活動。
  5. 有給スタッフ数
    3人(常勤1人、非常勤2人)
  6. 正会員数
    個人会員507人、企業・団体会員14件
  7. 財政規模(年間経常収入)
    4,466万円(2013年度予算)
    3,103万円(2012年度決算)
    4,245万円(2011年度決算)
  8. ホームページ
    http://www.kankyoshimin.org/

<2012年度収入内訳>

助成事業名

donguri organization 組織基盤の確立と人材育成プロジェクト

団体名

特定非営利活動法人 どんぐりネットワーク

代表者

小林 剛

【推薦理由】
 当該団体は、1993年に設立以降20年間、主に香川県内の森づくり活動及び森林に関する文化的な活動を行ってきた。市民、森林所有者、行政、企業、学校が参画できる仕組みを作り、マルチステークホルダーが協力しあって、人と森林が共生できる社会の実現を目指してきた。設立9年目には県民参加の森づくりの拠点として建設されたドングリランドビジターセンターの管理受託を開始。また、森林ボランティア活動には年間のべ1万人近い参加者が訪れ、2012年には林野庁より「国民の森林づくり」推進功労者表彰を受けるなど、地域や社会からの評価と期待は大きい。
 設立から20年を迎えた今、事業を継続的に発展、社会の期待により一層応えていくためには、一つ一つの事業のPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の仕組みの確立と、それを実行できる人材の育成が不可欠であるという認識のもと本助成の申請に至っている。
本助成事業では先ず、外部アドバイザーの指導のもとで組織課題の分析と精査に取り組み、当該団体の方向性を見定める。その上で個々の理事および事務局職員自身のレベルアップについて考える機会とし、また、理事の役割やボランティアとの関係性などを明確にした組織を確立、組織内外の連携強化を目指していく。
当該団体の活動発展のためには、20年間で蓄積してきた活動参加者のネットワークおよび地域のステークホルダーの力を結集させることが望まれる。本助成事業で組織の方向性を明確し、より多くの協力者を巻き込む体制を整え、また組織の方向性を意識して人材育成に取り組むことで、高齢化が進む地方であっても持続的に発展できる森林保全に取り組む団体のケーススタディとしての成長を期待する。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1993年(設立後 満20年)
  2. 目的
    森づくり活動及び森林に関する文化的な活動を行うととも に、子どもたちを中心に市民に対して森林体験を提供す る活動をとおして、良好な自然環境の維持・創出、環境保 全思想の普及並びに地域の人々の健全な心身の育成を 推進し、ひいては地域社会の健全な発展に寄与すること。
  3. 活動内容
    どんぐり銀行活動の企画・運営に対する支援、森林に関 する情報収集・提供、森づくり活動及びその体験の提供
  4. 活動地域
    香川県高松市、高知県土佐郡大川村(香川県の水源地)
  5. 有給スタッフ数
    7人(常勤3人、非常勤4人)
  6. 正会員数
    個人会員172人、企業・団体会員3件
  7. 財政規模(年間経常収入)
    1,372万円(2013年度予算)
    1,510万円(2012年度決算)
    1,831万円(2011年度決算)
  8. ホームページ
    http://www.donguri-net.com/

<2012年度収入内訳>

助成事業名

国内事業を補強するための組織強化プロジェクト

団体名

特定非営利活動法人 アジア砒素ネットワーク

代表者

横田 漠

【推薦理由】
 当該団体の前身は、宮崎県の旧土久呂鉱山や旧松尾鉱山における砒素中毒患者の闘いを支援する目的で設立された団体である。20年に亘る患者の闘いから蓄積された知見やノウハウを、アジア地域の砒素汚染問題の解決に活かすため、前身団体を母体として1994年に当該団体が設立された。以来約20年に亘りアジア地域の砒素汚染問題に取り組んで来ており、海外での活動実績とそのノウハウには定評がある。他方、団体の活動財源の大半を外務省やJICAのODA予算に依存し、また砒素問題自体が一般市民からはやや馴染の薄いテーマであり、海外での実績や認知度に比して、国内での団体活動への認知度が向上せず、支援会員や寄付が集まらないという悩みに繋がっている。
 海外活動を主体とする団体は、現地の活動基盤整備に追われ、往々にして国内の組織基盤整備が後回しとなる傾向がある。当該団体の理事や職員の多くは、専門性が高く、海外での活動実績、経験が豊富で、JICAや外務省等の資金提供元からの信頼も厚いが、国内事務所の基盤整備が課題となっている。設立から約20年を経て、日本で砒素問題と向き合った実績を基軸に海外への支援活動を展開し、今度は海外での実績を活かし、日本国内の「水問題」に焦点を当てた活動を展開しようとしている。まさに組織のターニングポイントに差し掛かっているという点で時機を得ており、また、海外活動を主に展開して来た団体が国内事業と組織基盤強化に取り組む本助成は、他の海外活動団体にも参考となるものと思われることから、採択するに至った。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1994年(設立後 満19年)
  2. 目的
    アジア各地の砒素汚染地の住民および研究者に日本の知識や経験を伝えるとともに、お互いに学び合い、問題解決のために協力しあうこと。
  3. 活動内容
    安全な水の重要性や予防策に関する啓発活動、代替水源の設置活動、住民組織化の活動、水質検査、砒素対策で培った技術の開発・移転、砒素中毒患者の治療支援、保健・医療従事者への研修、砒素中毒患者の生活支援、政策提言活動、その他
  4. 活動地域
    バングラデシュ、ベトナム
  5. 有給スタッフ数
    5人(常勤5人、非常勤0人)
  6. 正会員数
    個人会員149人
  7. 財政規模(年間経常収入)
    5,492万円(2013年度予算)
    5,338万円(2012年度決算)
    5,503万円(2011年度決算)
  8. ホームページ
    http://www.asia-arsenic.jp/

<2012年度収入内訳>