選考委員長 森本 真也子
特定非営利活動法人
子ども劇場東京都協議会
Panasonic NPOサポート ファンド 子ども分野 継続助成の審査を選考委員3名で行わせていただきました。今回の審査は、2012年に組織診断助成、2013年に組織基盤強化助成を経て、2014年に継続して助成を受けることを希望する1団体、2012年に組織診断助成を受け、2013年に組織基盤強化助成に応募し不採択となり、2014年に再挑戦を希望する2団体、合せて3団体が対象だったため、時間をかけて審査を行なうことができました。
選考委員と事務局のそれぞれが持っている情報や視点の違いが、議論を豊かに深めていくことにつながりました。以下、私自身の発見を記して、総評とさせていただきます。
まず一つ目は、「組織基盤強化とは何か」です。組織基盤強化には、ミッション・ビジョン・中長期計画・組織体制・人材育成・財政確保など、様々な角度がありますが、申請されている事業が本当の組織基盤強化につながるものなのかが、この審査の重要なポイントでした。組織診断結果と組織基盤強化計画とのつながりが、見え難かったり不明確な団体が多く、せっかくの組織診断が生かされていない感をもちました。
また組織基盤強化の基本は、やはりミッション・ビジョンの明確化がスタートであるということです。事業の積み重ねの中で組織化してきたNPOや任意団体で活動してきた歴史のある団体は、事業の活性化や人材育成・広報活動・財政確保といった具体的な課題に目が行きがちで、ミッションの確認は「できている」と思いがちです。ミッションは時代とともに変化するものであり、見直し、確認していく作業がどうしても必要になります。同じ目的を持っているはずという曖昧さと、そこからくる組織の脆弱さに立ち向かっていく姿勢が必要です。組織を客観的に見つめる姿勢が問われていると改めて実感しました。
最後に、この組織診断助成から始まるプログラムに応募してきた団体からは、どこも自分たちの組織を何とかしたいという強い熱意がうかがわれます。その熱意を、客観化して意志・方針として言語化することが必要です。自分たちがどのように組織基盤を強化したいのか、必要なことは何かを団体内で明確にした上で、外部コンサルタントや外部支援を主体的に生かし、真の組織基盤強化につなげていくことができるのではないでしょうか。