Panasonic NPOサポート ファンド【アフリカ分野】

2016年募集事業には全国13団体の方より応募をいただき、その中から4団体に総額384万円の助成を決定しました。

助成団体概要(2016年)

助成事業名

共感を呼ぶ動画作成・活用による、新規支援者獲得のための広報基盤強化

団体名

公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会

代表者

畑野 研太郎 (会長)

【推薦理由】
本団体は、すべての人々の健康といのちがまもられる世界を目指して1960年に設立された。医師、看護師、理学療法士など、保健医療従事者約70名を10ヵ国に派遣してきた海外派遣事業、アジア・アフリカの地域で働く保健医療従事者600名以上を支援した奨学金事業、そして2010年からは4つの国で、健康教育や診療統計など地域のニーズに関する協働プロジェクトを行っている団体である。広報活動についても意欲的に取り組んでおり、2015年にはコミュニケーションワード「医療を通じて、愛を世界へ。」を策定している。

一方、日本におけるメディア環境は大きく変わりつつある。スマートフォンの普及に代表されるように、デジタル化の進展が進むとともに、パンフレットの制作・配布や説明会などの従来より存在する広報手段に加えて、インターネットを介した情報発信の必要性、重要性が高まっている。本団体の申請内容は、インターネット上で視聴されることも多い、動画を使った情報発信を重視する方針が明確であった。広範囲、かつ専門性の高い本団体の事業内容を分かりやすく伝えること、そして共有するために動画を用いる効果は大きい。
動画企画制作スキルを学ぶことで、リアリティある情報発信を可能にすること、その結果、支援者からの正しい理解と共感、そして新たな支援者の獲得につながることを期待する。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1960年
  2. 設立目的
    当会は、日本がアジアの人々に対して犯した戦争への深い反省に立ち、和解と平和の実現を願って1960年に設立されました。その始まりは、1938年に中国大陸で行われた医療活動に遡ります。 当時、日本軍の侵攻により中国の人たちは苦難を強いられており、その窮状を見かねた日本人牧師の呼びかけによって、医師や医学生、看護師等による医療チームが大陸で保健医療協力活動を行いました。戦後、その人々も含めたクリスチャンの医療従事者が「日本キリスト者医科連盟(JCMA)」を結成し、活動を開始しました。1958年、JCMAはアジアの医療従事者を研修のために日本に受け入れることを表明し、これに対して海外から研修支援や保健医療従事者の派遣の要請が続きました。この要請に応えるため、1960年に設立されました。
  3. 活動内容
    キリストの愛の精神に基づき、アジアやアフリカの国々への保健医療従事者派遣、奨学金支援、及び現地団体との協働プロジェクトを通じて、保健医療協力を行っています。1960年の創立以来、約70名の保健医療従事者を派遣し、600人以上へ奨学金支援を行ってきました。当会は、すべての人々の健康といのちがまもられる世界を目指しています。困難の中にある人々の健康といのちをまもり、人々と苦悩と喜びを分かち合うことを大切にして、活動を行っています。
  4. 活動地域
    ウガンダ共和国、ケニア共和国、タンザニア連合共和国
  5. 有給スタッフ数
    14人(国内11人、海外派遣保健医療従事者3人)
  6. 正会員数
    4,053人
  7. ボランティア数
    56人
  8. 財政規模(年間経常収入)
    15,558万円 (2016年度予算)
    14,413万円 (2015年度決算)
    14,453万円 (2014年度決算)
  9. ホームページアドレス
    http://www.jocs.or.jp
日本キリスト教海外医療協力会 2015年度収入内訳

助成事業名

エチオピア先天異常児のいわゆる嬰児「まびき」撲滅を目指した人道援助の広報活動

団体名

認定特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会

代表者

川口 文夫 (理事長)

【推薦理由】
口唇口蓋裂は、その名のとおり、子どもが口唇や口蓋が裂けた状態で生まれてくる先天異常の病気である。今日では外科的治療法が確立しており、適切な治療さえ行えば外面的にはほとんど障害は残らない。然しながらエチオピアにおいては、この病気に対する正確な知識の不足や社会的な偏見が原因で、この病気を持って生まれてきた嬰児を殺してしまう、いわゆる「まびき」が依然として行われている。また、たとえ殺されなかったとしても、治療を受ける機会もなくそのまま放置されることで、社会的に様々な差別を受けている。

本団体はエチオピアにおいて口唇口蓋裂の無償手術に実績を有している。本助成は、主にエチオピアの人々を対象に、口唇口蓋裂に関する正しい知識を普及するとともに、どうすれば子どもに適切な治療を受けさせることができるかについて広報活動を行うもので、より多くの尊い命と人生を救おうとする取り組みとして推薦に値する。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1992年(法人格を取得した年:2002年、「認定」を取得した年: 2010年)
  2. 設立目的
    口唇口蓋裂に代表される先天的な口の病気は、外表に見られる先天異常の中で最も多い疾患で、我が国においてはここ数十年の間に本疾患に対する治療は飛躍的に進歩し、適切な治療を受ければ外面的に残る障害は極めて軽微になってきた。しかし、患者家族の受ける精神的・経済的負担には計り知れないものがあり、この疾患に対する未知からくる社会的偏見、またそれから生ずる精神的負担・社会的不利益に関しては、ほとんど改善されていないのが現状である。また、発展途上国では、国情などもあり、適切な治療が受けられずに放置されている本疾患患者が多く存在している。そこで、「学会」や「患者の会」の活動とは別に、広い分野からの協力を得て、相談や援助を行うことを目的として設立に至った。
  3. 活動内容
    国内、海外における本疾患に対する啓発活動、ならびに発展途上国における無料手術、患者家族の自立支援、医療技術向上のための支援。口腔障害から発生する感染症の予防を中心とした保健医療支援を行う。
  4. 活動地域
    エチオピア、チュニジア
  5. 有給スタッフ数
    4人
  6. 正会員数
    個人会員1,125人、法人会員160団体
  7. ボランティア数
    20人
  8. 財政規模(年間経常収入)
    3,880万円 (2016年度予算)
    9,503万円 (2015年度決算)
    5,486万円 (2014年度決算)
  9. ホームページアドレス
    http://www.jcpf.or.jp/
日本口唇口蓋裂協会 2015年度収入内訳

助成事業名

アフリカの水・衛生問題についての普及・啓発活動「ウォーターエイド・スピーカークラブ」の拡大と改善

団体名

認定特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパン

代表者

滝沢 智 (理事長) 

【推薦理由】
本団体は、アフリカをはじめ世界各地で水と衛生問題の解決に優れた取り組みを行っている国際NGOの日本メンバーである。しかし日本での団体設立は2012年と歴史が浅く、日本における本格的な普及・啓発と支援者獲得はまだこれからである。このような場合、事務局スタッフが少人数であることが広域での普及活動を進める上でネックになることが多い。

本助成は、スピーカー(=講師)となるための講習を、スタッフではなくボランティアに受けてもらい、団体所在地である東京のみならず日本各地で出前授業や講演を行うことによって広域の普及・啓発と支援者獲得を進めようというユニークな試みで、成功すれば他のNGOにとってもモデルとなり得る。助成1年目の昨年度はスピーカーの数の増加に焦点を当てたが、まだ独立して活動することが難しい現状を踏まえ、今年度の助成ではスピーカー主体での授業実施に向けた仕組みづくりに焦点を当てている。前年度の成果と学びのうえにたって今年度の計画が立てられている点も含め、推薦に値する。

団体概要

  1. 設立(開設)
    2012年(法人格を取得した年: 2013年、「認定」を取得した年: 2014年)
  2. 設立目的
    ウォーターエイドは、世界の最も貧困なコミュニティ、開発から取り残されているコミュニティに、安全な水と衛生を届けることを目的に1981年にロンドンで設立されたNGOです。「すべての人々が安全な水と衛生を利用できる世界」をビジョンに掲げ、さらに支援を拡大するために、2013年、日本法人が設立されました。
  3. 活動内容
    世界では、現在も約6億5000万人の人々が安全な水を、約23億人の人々が適切な衛生設備を使うことができない状況で生活しています。さらに、不適切な水と衛生による下痢が原因で、1日約900人の子供たちが命を落としています。2030年までにこれらの数字を0にし、すべての人々がすべての場所で安全な水と衛生設備を使うことができるよう、安全な水を得るための設備や衛生的なトイレを供給、また、教育によって、人々の衛生に対する意識を改善することで、世界で最も貧しい地域で生きる人々の生活を変えていくことを目指し活動を行っています。また支援活動の効果を最大化するために、現地のパートナー(現地NGO、現地政府など)とともに活動し、また、政府など政策決定機関に対しての政策提言等の働きかけにも取り組んでいます。
  4. 活動地域
    ブルキナファソ、ガーナ、マリ、ニジェール、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ、マダガスカル、マラウイ、モザンビーク、ザンビア、レソト、スワジランド、エチオピア、タンザニア、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、南アフリカ共和国、セネガル
  5. 有給スタッフ数
    3人
  6. 正会員数
    11人
  7. ボランティア数
    120人
  8. 財政規模(年間経常収入)
    6,075万円 (2016年度予算)
    3,116万円 (2015年度決算)
    1,959万円 (2014年度決算)
  9. ホームページアドレス
    http://www.wateraid.org/jp
ウォーターエイドジャパン 2015年度収入内訳

助成事業名

ニジェールの豊かな自然と歴史をニジェールの人々に伝える~「ニジェール物語」の動画絵本とフランス語朗読CDの製作

団体名

一般社団法人 コモン・ニジェール

代表者

福田 英子 (代表理事)

【推薦理由】
ニジェール共和国は、西アフリカのサハラ砂漠南縁のサヘル地帯に位置する共和制国家である。本団体は日本国内で唯一、ニジェール共和国に焦点を絞り、ニジェール共和国の自然、歴史、文化、民族などを日本国内に紹介し、支援を通じて、日本とニジェール共和国の友好と親善の発展に寄与することを目指し活動を展開している。

本ファンドでは、助成1年目にホームページやリーフレットを改訂し、助成2年目には東京、茨城で代表が執筆した「ニジェール物語」の世界感を伝える展覧会を実施して、ニジェール共和国および団体の認知度向上に努めた。広報基盤を充実させたことで本団体の認知が高まり、メディアでの掲載や講演依頼が増え、2015年は前年の4倍である1600名が代表の講演を聴講している。

助成3年目は、ニジェール共和国での認知度向上に向け、「ニジェール物語」の動画絵本を日本語、フランス語で制作し、あわせてフランス語のナレーションCDを作り、現地の子ども達やメディアに働きかけていく。広報媒体を効果的に活用することで現地での認知が高まり、政府機関等からの協力が得られやすくなるなど、現地活動の発展が期待できる。
助成最終年度として、これまでの広報媒体を戦略的に活用して自主財源を増やす取り組みや、タイムリーに情報発信を行うための広報体制の強化なども意識いただきながら、ニジェール共和国と日本の友好・親善に貢献する団体として大きく飛躍されることを期待したい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    2009年
  2. 設立目的
    過去30年間以上、日本はニジェールからウランを輸入しており、2010年6月時点では、日本の電力の24時間分の1時間はニジェール産ウランによりまかなわれていると言われている。しかしながら、ニジェール共和国やその日本との関係についての知名度はきわめて低い。当団体は、その認知度を向上させるとともに、ニジェールの子供たちを支援していくことで、少しでも恩返しをしたいとの思いで設立された。ニジェールを理解し支援していくことで、日本の人々にとっても自国の将来を模索するきっかけとなると信じている。
  3. 活動内容
    ニジェール共和国の自然、歴史、文化、民族を日本国内に紹介する写真展、講演会、チャリティイベントなどを通じて同国への支援活動を行い、両国の友好親善の発展に寄与することを目指している(ソーラーランタン寄贈活動「電気のお返しは電気で」、子供や婦人を対象とした識字教室「寺子屋プロジェクト」、超撥水風呂敷「ながれ」やオリジナルカレンダーなどの物販、等)。2016年には、地元茨城県のさしま茶協会とともに開発した遊牧民向けの緑茶を西アフリカや日本国内に販売する活動も始まりました。また、有志クリエーターらによる「ニジェール物語製作委員会」との絵本「ニジェール物語」の出版を通じて、更なるニジェール共和国の知名度向上と寺子屋を支えるためのファンドレイジングに努めている。
  4. 活動地域
    ニジェール共和国
  5. 有給スタッフ数
    2人
  6. 正会員数
    個人会員105人、団体会員1団体
  7. ボランティア数
    13人
  8. 財政規模(年間経常収入)
    331万円 (2016年度予算)
    330万円 (2015年度決算)
    280万円 (2014年度決算)
  9. ホームページアドレス
    http://www.comment-niger.org/
コモン・ニジェール 2015年度収入内訳