2021年1月27日、Microsoft Teamsオンラインにて「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」の贈呈式を開催しました。贈呈式には、SDGsの大きな目標である「貧困の解消」に向けて取り組んでいる20団体の皆様を始めとする、総勢90人の方々にご参加いただきました。また、御来賓として外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長の吉田様をお迎えし、選考委員長の選考総評や各団体にリモートによる助成通知書の贈呈、組織基盤強化の事例発表を行いました。
●来賓祝辞
SDGs推進にも有意義なNPO/NGOの組織基盤強化
新型コロナの世界的な拡大は、以前から存在した社会課題を増幅させました。貧困もその一つです。SDGsの達成が難しくなる中で、政府、民間企業、地方自治体、市民社会、個々人が連携し、自分事として取り組むことが社会全体の変容につながります。日本政府も、さまざまなステークホルダーの方々とSDGsを推進してきました。パナソニックが取り組むNPO/NGOへの組織基盤強化の支援はSDGs推進の観点からも有意義で、他の取り組みのロールモデルにもなると考えています。
●選考委員長による選考総評
【海外助成】
大きな変化の今こそ柔軟な強靭性を忘れずに
2020年は「NPOサポートファンド」設立から20年目の節目の年でした。世界的に困難な状況が続く中、説明会を兼ねたワークショップはオンラインで開催し、想定より多くのご参加をいただきました。その結果、新規23件、継続11件の計34団体から応募がありました。要件確認、書類選考、選考委員会を経て助成候補となられた団体にヒアリングを行い、助成先10団体が決定しました。応募内容の特徴は、外部の環境変化への適応、経済停滞への対応、現地へアクセスがしづらい状況の克服などを行い、組織基盤強化をどのように行うか、といったものが多く見られました。この組織基盤は硬ければ良いものではありません。環境が大きく変化している今だからこそ、柔軟な強靭性を失わず、ミッションを忘れずに組織基盤の強化を目指してください。
【国内助成】
多様化する貧困、支える側と支えられる側の支援を
新型コロナの感染拡大で、日本社会の格差と貧困がよりいっそう大きな課題となりました。今回は新規・継続合わせて32件の応募があり、10団体への助成が決まりました。応募の傾向を見ると、ある程度の実績を積み重ねた団体が活動の棚卸をし、新たなスタートを目指していることが伺えます。目指したい姿を明らかにし、組織を強化することが不可欠で、ここに組織基盤強化を支援する意義があります。2018年の設立以来、3年間の応募団体を見ると、貧困という現象が多様で、年齢や性、障がい、疾病、エスニシティ、地域など、多くの事情から生じていることがわかります。地域を支える側になる子どもや若者、現役世代が力を発揮できる環境をつくると同時に、支えられる側の高齢者や障がい者の社会参加を支援することが必要です。
●助成通知書の贈呈
続いて、2021年に助成を受けることが決定した海外助成10団体、国内助成10団体に、助成通知書を贈呈しました。各団体には事前に助成通知書をお送りし、その内容をパナソニック ブランド戦略担当の竹安聡参与が読み上げました。その後、各団体の代表者がひと言挨拶をし、スクリーンショットで団体の皆様との記念撮影を行いました。
●組織基盤強化 事例発表
ビジネスの視点を身につけ、新規事業を展開
私たちは2013年に設立した、ソーシャルワーカーによるホームレス・障がい者支援団体で、2023年までに、生活困窮者の就労支援事業所を立ち上げることが目標です。応募当時に想定していたのは人材育成と経営面の課題でしたが、組織診断の結果、全職員がリーダーシップを発揮できるチームづくりと社会的成果を示す広報・宣伝力、ビジネスの視点が足りないことが浮き彫りになりました。この結果に基づき、2年目は組織基盤強化に取り組みました。外部コンサルタントからビジネスの基本を学び、障がい者雇用を進めている企業の意見交換会を実施し、新型コロナの影響で売り上げが低迷している障がい者施設の商品を販売するセレクトショップ「story cat」をオープンしました。さらに、職員の全体研修を毎月実施し、過去の相談内容をデータベース化。設立以来最も多く、メディアにも出演しました。
3年目の今年は、収益を上げられるビジネスモデルの完成と全職員が主体的に事業に取り組める仕組みづくり、秋田県の現状を伝えるオンラインセミナーなどを計画しています。
贈呈式の後には、『コロナ影響下でのNPO/NGOの組織基盤を考える』をテーマに「組織基盤強化フォーラム」を開催しました。