Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs 贈呈式
世界規模で深刻化する貧困の解消に取り組む19団体に助成決定

2022年1月26日、「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」の贈呈式を開催しました。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、昨年に引き続き、オンラインでの開催となりました。贈呈式には、SDGsの大きな目標である「貧困の解消」に向けて取り組む19団体の皆様を始め、総勢約80人の方々にご参加いただきました。ご来賓に外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長の河原様をお迎えし、選考委員長による総評や助成通知書の贈呈、事例発表などが行われました。

●開会挨拶

世界規模で貧困問題にパートナーシップで挑む

2001年に設立したサポートファンドは昨年、20周年を迎えました。今回選ばれた19団体を含めて、これまでに445団体に助成させていただきました。新型コロナの影響で、新興国や途上国における絶対的貧困はもちろんのこと、先進国でも相対的貧困が深刻化し、格差が広がるなど、世界規模で解決への取り組みが急務となっています。SDGsの17番目には「パートナーシップで目標を達成しよう」とあります。皆様とパートナーシップを組んで、すべての人が自分らしく生きられる社会の実現に貢献していきたいと考えています。

写真
パナソニック株式会社 執行役員
CSR・企業市民活動担当 三島 茂樹

●来賓祝辞

SDGsを指針に据えた連携で、よりよい社会を実現

貧困解消を企業の使命に掲げるパナソニックの姿勢は、SDGsと深い親和性があると考えています。今回も貧困の解消に向け、教育・保健医療・農業支援・生活困窮者支援等、国内外の幅広い分野で優れた取り組みをしている団体が選出されたと聞いています。新型コロナの脅威や気候変動危機を克服し、よりよい社会を実現するには人間の安全保障の理念や「誰一人取り残さない」という考えのもと、SDGsを指針に据え、政府・民間企業・地方自治体・市民社会・個人が連携することが重要です。NPO/NGOの組織基盤強化を支援するパナソニックの取り組みは大変有意義で、他の取り組みのロールモデルになると考えています。

写真
外務省 国際協力局
地球規模課題総括課長 河原 一貴 様

●選考委員長による選考総評

【海外助成】
世界のどこにいるのか見つめ直し、国際社会をより元気に

2021年の国際情勢はウイルスによって生活が困窮する人びとが増えるなか、ミャンマーやアフガニスタンなどでの政変により、難民・避難民が増加し、人道支援が急務な地域が拡大しています。こうした高まる現地の支援のニーズと、活動しづらい状況のギャップに、歯がゆい思いをした団体も少なからずあります。そんな状況の中で、今年は新規14団体、継続10団体から応募があり、選考委員会やヒアリングを経て、新規6団体、継続3団体への助成が決定しました。内容はサポーター事業の基盤構築、現地スタッフの能力向上、財源の改善、情報発信力の強化などです。そして、こうした混迷する状況だからこそ、私たちは世界のどこにいて、どこに向かおうとしているのか、今やるべきことは今やろうとしていることでいいのか、今一度見つめ直し、組織基盤強化に取り組むことで、手にする果実もより豊かになり、結果として国際社会もより元気になるのではないかと思います。

写真
国士舘大学大学院
グローバルアジア研究科 教授 中山 雅之さん

【国内助成】
貧困や孤立に陥る人々を救済する民間団体の活躍に期待

パンデミックの中で、貧困の解消に取り組む民間団体は一時活動困難になりながらも有効な支援方法を編み出し、貧困や孤立に陥った人々を救済する重要な役割を果たしてきました。このような状況の中、国内助成には新規28件、継続10件の応募があり、申請書による審査とヒアリングの結果、新規5団体、継続5団体への助成が決定しました。応募団体には、ミッション・ビジョンの共有や助成金頼みの不安定な財政基盤など、共通する課題も多く見られました。採択団体のテーマを見ると、ひと口に貧困と言っても深さや広がりがあり、貧困問題の多様化や掘り起こしが進んでいることがわかります。助成を受けた団体がさらに力をつけ、各地で活躍することを期待しています。

写真
放送大学 客員教授・名誉教授
千葉大学 名誉教授 宮本 みち子さん

●助成通知書の贈呈

続いて、2022年度に助成を受けることが決まった海外助成9団体と国内助成10団体に、助成通知書が贈呈されました。各団体には事前に助成通知書をお送りし、贈呈式では、その内容をパナソニック CSR・企業市民活動担当の三島茂樹執行役員が読み上げました。そして団体ごとに、スクリーンショットで団体の皆様と記念撮影を行いました。

写真:助成通知書贈呈の様子

●組織基盤強化 事例発表

組織基盤と広報の強化で全国に自伐型林業の希望者が急増

かつては50万人いた林業者は今、4万5,000人まで減っています。戦後の植林から50年以上経ち、伐採を進めた結果、土砂崩れなどのリスクも高まっています。そこで私たちは地域の山を守る小規模林業の担い手を5万人育成しようと、2014年に団体を設立し、全国組織をネットワークしてきました。ところが活動が広がるにつれて、全国組織としての役割を改めて考えるべきタイミングになり、2018~2020年度に助成を受けました。
初めに組織診断を受け、理事へのアンケートや会員の声をもとに組織基盤を強化。広報戦略として、年会費3,000円の賛助会員を無料にしたことで会員や林業希望者が急増し、YouTubeで配信を始めた「ZIBATSUチャンネル」も平均4,557回視聴されるようになりました。さらに、1部300円の会報誌は2,000部売れ、広告収入も入るようになりました。NHK「クローズアップ現代+」で特集され、ドキュメンタリー映画でも取り上げられ、昨年は第27回日韓国際環境賞を受賞しました。予算規模は8,000万~9,000万円に拡大し、20チームだった全国組織も50チームまで増えて、各地で1,000万円クラスの予算を獲得して、担い手を育成しています。3年間で、組織基盤と広報を強化することができました。

写真
特定非営利活動法人
持続可能な環境共生林業を実現する
自伐型林業推進協会
事務局長 上垣 喜寛さん

贈呈式の後には、『外部の力を活かして取り組む組織基盤』をテーマに「組織基盤強化フォーラム」を開催しました。