「国際プロボノウィーク2015」の最終日となる2015年10月31日、パナソニックはNPO法人 サービスグラントと共催で、大阪・あべのハルカスにて「プロボノフォーラムOSAKA 2015」を開催しました。
2015年のテーマは、“Change!(変化)”
ビジネスで培ったスキルを活かした社会貢献活動「プロボノ」に参加したプロボノワーカーやNPOが、「プロボノ」によってどのように“Change!”したか、語り合いました。
世界中で新たな“変化”が。進化する「プロボノ」
フォーラムは、プロボノワーカーとNPOのマッチング支援を行うNPO法人サービスグラント代表・嵯峨生馬さんの講演からスタート。
「プロボノの役割は、支援先となるNPOの組織基盤を強化できるかどうか。その場・その時に助かるだけでなく、やがて支援先の血となり肉となる活動がプロボノなのです。」
日本国内では、2005年頃から手弁当で始まった「プロボノ」が徐々に浸透。2010年は「プロボノ元年」と呼ばれ、企業の社会貢献プログラムとして取り入れられるようになって一気に広まりました。世界各地での活動も活発になり、2013年には「グローバルプロボノサミット」が開催されました。現在、フランスでは、ボランティアが自らプロボノの運営全体を行う体制が構築され、次のステージに進んでいるとのこと。
「『プロボノ』も時代や社会の要望とともに“変化”しています。一般市民が自らの課題を解決する方法を自分たちで考え、行動するのは素晴らしいこと。日本も社会参加先進国へもっと、社会の風通しがよくなるように、新しい“変化”を起こしていきたいですね!」
プロボノワーカーに聞く、「プロボノ」経験前後の“変化”は?
続いては、プロボノワーカーが、実際に「プロボノ」を通してどのような変化があったかを紹介。
デザイナーの林田全弘(まさひろ)さんは、人権をテーマにした映画祭のロゴデザインを手掛けるという「プロボノ」を通し、“NPOの側に寄りそう支援とは何か?”に気づき、NPO向けの無料相談を開始。「これまで以上にデザインを通してNPOの広報力アップを支援していきたいと思うようになりました。」
WEBサイトや自治体広報お知らせアプリ「PUSH 大阪」の開発を手掛けるITエンジニア大西裕子さんは、「プロボノでは、いい出会いもあります。誰かの役に立てることも喜びですが、個性的なプロボノワーカーとの出会いは、とても刺激的。活動を通じて自分も成長できる気がします。」
支援する側、される側。それぞれの“変化”は・・・
次に登壇したのは、「NPO法人気候ネットワーク」の研究員・伊与田昌慶さんとパナソニックの穴山恭廣さんと岡崎嘉幸さん。気候ネットワークには、2012年の「事業計画立案プロジェクト」、2014年の「WEBサイトリニューアルプロジェクト」で、当社社員が2度にわたって支援しました。 プロボノによってNPO、プロボノワーカーそれぞれに起こった“変化”とは何だったのか。
伊与田: 気候ネットワークは、市民の立場から地球温暖化防止に向けて、提案・発信・行動する団体です。国際会議に参加して提言活動を行ったり、気候を守るアクション「アースパレード」の実施・運営を行ったりしています。しかし、こうした活動はなかなか広まりません。そこで、「プロボノ」の力をお借りしました。
穴山: 仕事で地球温暖化対策に少し関わっていたことが「プロボノ」参加の動機でした。半年間、京都の烏丸の事業所にお伺いし、組織力強化や中長期戦略など、事業計画の立案に向けてとことん話し合いました。
伊与田: みなさんの熱意によって、我々NPOのメンバーの意識も“変化”し、設立以来、初めてとなる戦略計画策定のための合宿をしました。これまでになかったことですから、組織として課題解決へ向けた推進力が高まったと思います。2014年に、WEBサイトのリニューアルを検討したときも、前回のように愛情をもって手掛けてくれるのではないかと期待し、お願いしました。
岡崎: 2011年の事業計画立案プロジェクトに引き続き、2回目のWEBサイトリニューアルも愛情と責任をもって取り組みました。リニューアル後、アクセス数がこれまでの2倍になるなどの数値的結果も出て、基盤の強化につながったのではないかと思っています。
伊与田: 支援を受けて、自分たちに足りない点や、思っていたけど口にできなかった部分が見え、解決に向けて行動する意欲をいただきました。そして、自分たちで課題解決できる団体にならないといけないと実感。 2度のプロボノ支援を受け、その感謝の気持ちを示すべく、プロジェクトの最後に感謝状をお渡ししました。
穴山: 私達も未来の地球を守る活動を行う NPOを支援できてよかったと思っています。プロボノワーカーとして、“世界に開いた窓”であるNPO活動を映す、素直な鏡でありたいと思っています。
岡崎: 2度の「プロボノ」を通じて、NPOに対する“愛”が強くなりました(笑)。どこで困っているのか、何が必要なのか?お互いにわかり合える、かけがいのない存在となることが大切だと感じています。今、別のNPOをサポートしていますが、そこでも自分たちが示せる“愛”の形は何かを問いかけ続けています。
伊与田: 一緒に悩んで、考え、手も動かしてくれる。組織基盤の強化だけでなく、マインドの部分も大きく動かしてくれました。
デザインで「ふつうのしあわせ」を。若者たちを“変化”させたNPO
続いてゲストスピーカーが登壇。ソーシャルデザインの力で若者の自立支援を手掛ける「NPO法人スマイルスタイル」代表 塩山諒さんから、社会がよりよい方向へ“変化”していくためのNPOの活動事例を話していただきました。
「2014年に開設した『ハローライフ』は、社会や福祉が提供する「自助・共助・公助」という支援の狭間にいる若者たちが社会参加できる窓口となることをめざした民間のハローワーク。社会のレールから外れて働けない期間が長期化した若者に、企業や行政の協力を得て、働ける権利を与え、働きぶりを評価。双方の継続意思があれば、雇用に至るというしくみをつくりました。定職に就くことで若者たちを自立させ、生きていく力も支援することで若者たちを“変化”させ「ふつうのしあわせ」を提供できるよう、さまざまなアイデアを練っています」
同NPOがめざすのは「新たな公共ソリューション」。次代を育むしくみを提供するNPOと「プロボノ」。その組合せから、“新たな変化”も期待されます。
この後、当日朝から大阪市内の団体を対象に「まちづくり」や「チラシ作成」、「課題整理」の支援をしていたプロボノ1日体験企画「プロボノ1DAYチャレンジOSAKA 2015」の成果発表、来場者全体でフォーラムの振り返りなどを行い、熱気が冷めやらぬなか閉会となりました。
パナソニックの「プロボノ」への取り組み
パナソニックは、NPO/NGOの社会的インパクトの増大をめざして、『Panasonic NPOサポート ファンド』を中心にさまざまな取り組みを推進しています。2011年からは、グループ社員の「プロボノ」を支援。これまでの5年間で約130名の社員が参加しました。「プロボノ」には非常に高い専門知識が必要と思い参加をためらう方もいますが、会議のまとめ方や業務手順書作成、コミュニケーション力など、日頃の業務で培った一人ひとりの得意な分野がそのまま「プロボノ」につながります。つまり、自分の中にあるものを見つめ、自分の考え方・行動を“変化させること”が、社会の“変化”につながるのです。
当社は、これからも社会の変化を捉えながら、NPO支援と社員の社会参画の機会を提供していきます。