コモン・ニジェールのチャリティーライブ開催レポート

ニジェールという国を知ってもらいたい、NPOサポートファンドによって制作された「動く絵本」も公開

ニジェールという国を知ってもらいたい
NPOサポート ファンドによって制作された「動く絵本」も公開

パナソニックは、アフリカ諸国で活動するNPO/NGOの広報基盤を助成するプログラム「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」を実施しています。その助成3年目を迎えた一般社団法人コモン・ニジェールが、2017年10月9日(祝)、守谷市中央公民館ホールにてチャリティーライブを開催しました。
第1部では、コモン・ニジェールの活動内容と、同団体が昨年、発売して話題を呼んだ絵本『ニジェール物語』の動画版が発表され、第2部のコンサートでは、クラシック・ア・カペラグループ「Aura」による透明感あふれるアンサンブルの数々が披露されました。

ニジェールの貧困以外の面も知ってほしい

コモン・ニジェールの団体名は、フランス語で「ニジェールとは?」の意味。1978年から1980年にかけて、日本人として初めてサハラ砂漠のキャンプに住んだ福田英子さんが代表をつとめ、2009年に設立。西アフリカの内陸国ニジェールに寺子屋を建て、教育を含む子どもたちへの支援活動を行っている団体です。

ニジェールは国連加盟国の人間開発指数でも最下位を争う最貧国のひとつ。ニジェールの識字率は19%で、実際はそれよりも低いとされています。東日本大震災以前、日本は24時間中1時間弱の発電をニジェールのウランによって賄っていましたが、一方のニジェールには民生の発電所すらなく、多くの人々は電気のない生活を送っています。

しかし一方で、ニジェールには日本人の多くが知らない豊かな歴史や文化があり、貧しくなったのは植民地支配以降のこと。1300年代のマリ帝国の王マンサ・ムーサは、人類史上最高額の資産を保有していたとされ、世界遺産にもなっているトンブクトゥはかつて黄金郷として知られるほど、ニジェール川流域は豊かな文明が育まれていました。

写真:ニジェールでの寺子屋活動の様子
写真:ニジェールの子供たち
写真:コモンニジェール 代表 福田英子さん

コモンニジェール
代表 福田英子さん

「もちろん、その国の飢餓や貧困を知ってもらい、支援をいただくことも大事ですが、私は7年間ニジェールに住んでいて、彼らの持つ豊かな歴史や良いところもたくさん知っています。それも含めてニジェールという国を知ってもらいたかった」と福田代表。福田代表は現地で見聞きした体験を『ニジェール物語』というストーリーにまとめ、新しい形でニジェールの情報を発信したいと考えていました。

助成を機に「伝えたい思い」が次々実現

そうした折りに応募したのが広報基盤を助成する「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」でした。
助成1年目は、団体のウェブサイトとパンフレットを作成。
助成2年目では外国語版のパンフレットを制作したほか、「ニジェール物語の世界展」を企画。これは福田代表の書いた『ニジェール物語』の世界観を16名のアーティストが絵で表現するといった展覧会で、大阪・東京銀座・守谷市での開催が実現しました。この展覧会から有志も増え、絵本の制作委員会が発足。印刷費をクラウドファウンディングで調達するなど『ニジェール物語』は絵本として刊行されることとなったのです。

そして今年、3年目の助成を受けて取り組んだのが、絵本の動画版の制作です。「動く絵本」となった『ニジェール物語』は、9月に守谷のイオンシネマで初上映され、今回のチャリティーライブでも上映。観客一同、クオリティの高い映像と、遠い砂漠の世界が織りなすファンタジックな物語に引き込まれ、終映後は大きな拍手が沸き起こりました。
『ニジェール物語』の動く絵本は、今後、本国のニジェールでも公開される予定です。

写真:チャリティーライブ入場の様子
写真:『ニジェール物語』上映中の様子
写真:チャリティーライブの様子

人気のア・カペラグループ「Aura」が登場

そして第2部では、昨年のチャリティーライブに続き、コモン・ニジェールの活動に共感・賛同するクラシック・ア・カペラグループのAuraの皆さんが登場。Auraはメンバーの女性5人全員がそれぞれがソロで歌える実力を持つア・カペラグループで、2008年のメジャーデビュー以降、テレビ番組やCMでも楽曲が取り上げられています。
本チャリティーライブでは、世界で初めてア・カペラで収録し話題となったビバルディの『四季』をはじめ、日本のわらべうた、そしてカッチーニの『アヴェ・マリア』など、多彩なラインナップでア・カペラの魅力を披露。昨年のチャリティーライブでファンになったという守谷市民をはじめ、約400人の観客を魅了しました。

写真:ア・カペラグループ「Aura」

広報基盤の強化で支援の輪が広がった

福田代表は「NPOサポート ファンド for アフリカ」での取り組みを次のように振り返ってくれました。

「NPOサポート ファンドの特徴は、私たちのような小さな団体でも助成して頂けること。広報はしっかり取り組めば、共有できる部分を中心に、雪だるまのように人や支援が集まってくるのだと実感しています。パナソニックの助成を受けた団体だということで注目され、支援がさらに広がったことも大きいです」

写真:コモンニジェール 代表 福田英子さん

また、パナソニックでは世界の無電化地域に対してソーラーランタンを寄贈する「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を実施しており、2014年にコモン・ニジェールへソーラーランタン200台を寄贈。それらはニジェール国内の村や病院、学校などへ配布され、活用されています。子どもたちがお互い顔を見ながら晩ご飯を食べたり、夜に勉強できるようになるなど、一昨年前、ニジェールから大統領が来日した際には、大統領から直接お礼の言葉もあったそうです。

写真:コモンニジェール 代表 福田英子さん

「ニジェールでは子どもも労働力ですから、最初は寺子屋をよく思わない親もいますし、私たちの活動は丁寧な説明なくして成り立ちません。でも、結果的に、寺子屋に通った子どもが家に帰って親に文字を教えるようになり、教育を機に家族みんなが明るくなるんですよね。今、ニジェールはテロの問題が深刻で、イスラム教徒同士が無差別テロを繰り返しています。本当はそうした地域にこそ寺子屋を建てたいと思っています」