社会人が自らのスキルや経験を活かして、社会課題に取り組むNPOを支援するプロボノ。 2012年、日本初の試みとなる「NPOの事業計画立案」を支援するプロジェクトが行われた。「NPO×プロボノワーカー」の出会いは、両者にどのような化学反応を起こしたのか。 プロジェクトを終えたNPO法人「気候ネットワーク」とプロボノチームに取材した。
[THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版 第207号(2013年1月15日発行)掲載内容を再編集しました]
プロボノは「大人の社会科見学」。 未知の世界に期待と不安
パナソニック プロボノチーム
上原大輔さん
「新しい出会いを求めていたら、職場の先輩に『ちょうどいいのがあるよ』と教えられて。それがプロボノだったんです」 そう話すのは、パナソニック社員の上原大輔さん。
参加のきっかけは、純粋な「社会貢献」とは違った。だが、普段の仕事で培ったスキルや経験を活かして、社会課題に取り組むNPOを応援するプロボノの仕組みに「大人の社会科見学」のような魅力を感じた。 プロボノワーカーに登録後、マッチングされたのは地球温暖化防止に取り組む「気候ネットワーク」という環境NGO。6人のプロボノチームで、同団体の中長期的な事業計画を立案するというミッションだった。
チームには、企画や技術、広報、営業、経理などを仕事にする多様なメンバーが集まった。いずれもパナソニック社員だったが、全員が初対面。各メンバーは「普段の会社と家の往復では味わえない体験」や「職場にはない新しい出会い」を求めて、それぞれの思いでプロボノに参加していた。上原さんはそのプロジェクトマネージャーを任されたが、最初はハラハラしっぱなしだった。「団体の活動は専門性が非常に高く、しかもNPOの事業計画立案を支援するって何?というところから始まったので、最初はまったく着地点がわからなかった」と振り返る。
実際、プロボノといえば、これまではNPOのホームページやパンフレットの制作などを支援する情報発信系のプロジェクトが中心だった。しかし、10年以上の実績を有するNPOが増え、組織基盤の強化や中・長期的な計画作成のニーズが高まる中で、今回、初めて事業計画立案の支援メニューが導入され、パナソニックチームのプロジェクトは日本初の試みとなった。
メンバーの一人も、当初は期待と不安が交錯したと語る。
「団体の出版物を図書館で借りてみたら、辞書みたいに分厚い本だった。これだけの知識がすべて頭の中に入っている人たちとの出会いは楽しみである反面、私たちが事業計画なんて提案できるのかと、会うまでは内心ドキドキだった」
パナソニック プロボノチーム
穴山恭廣さん
■Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム
パナソニックは、2011年4月より社員の仕事のスキルや経験を活用してNPOを支援する社会貢献活動「Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム」を開始。 社員のボランティア活動として、社会課題の解決に取り組むNPOの事業展開力の強化を支援し、NPOの活動がさらに大きな成果をあげることを目指している。 2012年度は、現在29名の社員が参加し、5団体の中期計画策定や営業資料作成、ウェブサイト再構築などを支援。昨年度との累計で43名の社員がプロボノを実践。
http://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/probono.html