プロボノ支援受け、NPO内部に変化の機運が生まれる
「気候ネットワーク」
事務局長 田浦健朗さん
一方、支援を受けたNPO側は、プロボノに第三者的な意見を期待していた。「気候ネットワーク」事務局長の田浦健朗さんはその背景について、「活動開始から15年が経ち、一度立ち止まって組織や事業を見直す時期にさしかかっていた」と打ち明ける。
「気候ネットワーク」の設立は98年。97年に京都で開かれた地球温暖化防止京都会議(COP3)に向け、日本の環境NGOが初めて集まり連携したのがその活動の原点だ。
温暖化防止のために市民の立場で提案・行動するというミッションのもと、国際交渉への参加、国内の温暖化に関する幅広い政策提言、独自の調査・研究など専門性の高い活動を行う一方、地域レベルの温暖化対策にも積極的に取り組んできた。なかでも、地域発の取り組みから法制化につながった「省エネラベル」の普及活動や全国に広がる「自然エネルギー学校」の開催、さらには京都市と連携して市立小学校全校で実施する環境教育など、その活動は多岐にわたる。
国レベルの政策提言から地域の実践活動に至るまでの重層的な取り組みが同団体の大きな特徴といえるが、そうした活動内容の広がりとともに組織力の強化は避けて通れない課題となっていた。今以上、いかにして社会にインパクトを与えていくのか、ドイツの環境運動のような幅広い市民を巻き込んだ活動の実現が大きなテーマだった。
「目標の実現に向けて中期計画は作成していたのですが、ビジョンが地球温暖化防止というあまりにも壮大なものなので、どうしても中身が現実と乖離してしまう。そこを具体的にどう積み上げていけばいいのか、企業の方々がもっているノウハウをヒントにしたかった」と田浦さんは言う。
自然エネルギー学校京都
こどもエコライフチャレンジ
両者は初顔合わせの後、約半年間におよぶプロジェクトをスタート。まずプロボノチームは組織の方向性と課題を明らかにするため、団体関係者へのヒアリング調査を実施。その結果、中・長期的に取り組むべきテーマとして「組織基盤の強化」と「会員数獲得の強化」の2点を中間提案として報告したが、その時にはすでに団体内部にも変化が現れ始めていた。
スタッフの芝浩市さんは、こう言う。
「うちは事務所が京都と東京で離れていることもあって、全体で話し合う機会がほとんどなかった。それが、ヒアリングを受けた段階で、しっかり話し合おうという機運が内部から生まれてきた。それは私たちにとって大きな変化でした」
「気候ネットワーク」
スタッフ 芝浩市さん