1989年(平成元年)
松下幸之助創業者が逝去
21世紀へ、個人の求めたるを求めて
1989年4 月27日、松下幸之助創業者が生涯の幕を閉じた。94歳であった。
9歳で故郷・和歌山をあとにし、一代でパナソニックを世界有数の総合エレクトロニクスメーカーに育て上げたその業績に対し、人々から尊敬と親愛の念を込めて「経営の神様」と呼ばれることもあった。
また独創的な経営思想とともに、世に問うたその人間観、教育観、社会観は世界各階層の人々に大きな影響を与え、世界的な経営者であり、思想家であるといわれた。
その死去は直ちに国内外に報じられ、日本の総理大臣やアメリカの大統領をはじめ、世界各国の多くの方々から心のこもった弔意が寄せられた。
1987年春の叙勲で勲一等旭日桐花大綬章を受章。
ありし日の松下幸之助創業者。京都・真々庵の庭で。(78才)
全社にとってこの痛恨極まりない出来事に、谷井社長は、悲しみを超え「古人の後を求めず、古人の求めたるを求めよ」と、創業者の示した「事業を通じて世界の人々の生活文化の向上に貢献する」という不滅の理念を、さらに高いレベルで達成しようと訴えた。
1993年9月5日、苦難の創業期から病弱であった夫を陰で支え、従業員にも細かい気配りで接し、母親のごとく慕われてきた松下むめの創業者夫人が逝去した。97歳であった。