7-2. 椅子と机
会議の前日、会場のチェックをしている幸之助が立ち止まった。
会場にぎっしりならべられた椅子は、前列の人と人の間から後ろの人の顔が見えるようにならべ直されることになった。さらに、壇上からチェックしていた幸之助は、もっとよく見えるようにと、壇を高くするようにと指示を飛ばした。
案内状を出す前から、「今回の会合は日にちを切らない」「議題はあえて用意しない」と幸之助は事務局に告げていた。そして自分自身は当日一人ひとりにお渡ししたいと、合計200枚もの「共存共栄」の色紙を毎日少しずつ気持ちを込めて、書き溜めていたのである。「策はないが、とにかく徹底的に話し合う」----。幸之助には並々ならぬ決意があった。