■1966年 あるメガネ屋さんに教えられて
この広告の主人公は、1965(昭和40)年に松下幸之助が出会った、札幌のあるメガネ屋のご主人である。前年、テレビで幸之助を見て「メガネが似合わない」と感じたご主人は、メガネを替えるよう幸之助に手紙を出していた。そしてこの年、講演で札幌を訪ねた幸之助の姿を目にする。ところがメガネは同じまま。ご主人は面会を求め、「メガネを直したい」と申し出た。その熱心さに心を打たれた幸之助は、札幌でメガネを新調するのであった。手紙を書いたのは、日本のメガネ屋の矜持からだという。洋行の多い幸之助が、あんなメガネをかけていたら、日本のメガネ屋の信用にかかわる、というのだ。この話を幸之助は、まずその年6月の社内誌で、「商売気を抜きにした広い視野に立った考え方に非常に教えられ、これは日本一、いや世界一のメガネ屋さんだ、とすっかり感激してしまった」と紹介した。そして翌1966年の正月、こうした商売のあり方を、電波新聞を通じて広く業界にも訴えたのである。