パナソニックのデザイン経営

私たちは、社会の変化に目を向け実現すべき未来を見据え、長期的な視点を持ち自分たちのすべきことを考える「デザイン経営実践プロジェクト」を推進しています。

私たちは、社会の変化に目を向け実現すべき未来を見据え、長期的な視点を持ち自分たちのすべきことを考える「デザイン経営実践プロジェクト」を推進しています。

パナソニックグループ流「デザイン経営」とは


未来起点・人間中心のサイクルを回し続け、 事業の本質的な競争力を強化する

私たちのデザイン経営をシンプルに説明すると「未来を自分たちの考えでデザインし、その未来に向けて経営すること」と言えます。
大切にしているのは、パナソニックグループにとってではなく、人や社会全体にとって理想的な「実現したい未来」を解像度高く構想した「未来構想」を創り上げることです。その未来構想をもとに事業運営する長期視点にたった経営スタイルを根付かせることを目指しています。現在から考えるのではなく、実現したい未来からバックキャストでなすべきことを考える「未来起点」と、自社がどうありたいかではなく、人やくらし、それをとりまく社会や環境にとってどんな価値があるのかを考える「人間中心」。この二つの考え方を取り組みの基軸に置いています。
検討の中心はあくまでも事業部門のメンバーです。BTC(Business、Technology、Creative)メンバーで構成された支援チームがバックキャストやファシリテーションの知見をもってサポートしています。実現したい未来の社会像とそこに近づくための取り組みの解像度を高め、経営戦略上の優先順位を上げること。それによって、既存事業の延長線上で経営することから脱却し、本質的な競争力の強化を目指します。


未来起点で変化を捉え、事業を考える

未来起点で変化を捉え、
事業を考える


当社の創業者・松下幸之助は「物心一如の繁栄」を、生涯をかけて追い求めました。「精神的な安定と物資の無尽蔵な供給が相まって、初めて人生の幸福が安定する」、これを当社の使命として250年かけて目指すと1932年に宣言しました。それから約90年が経過した今、私たちは約160年後の使命達成に向け未来の世代にたすきをつなぐ役割を担っています。
企業として今営んでいる事業の業績で結果を出すことは重要ですが、不確実性の高いこの時代に長期的な生き残りをかけた戦略を描くには、それと並行して、現在の事業やその環境にとらわれない目線・・・未来起点で考えなければなりません。社会や技術、お客さまの価値観にどんな変化が起こるか、それによって業界でどのような変化が起き得るか、その中で競合がとり得る打ち手は何か、自事業が果たすべきお役立ちをどう変えるべきか、その変革にどのようなステップで取り組むかを明確にする必要があります。

「デザイン経営実践プロジェクト」では、経営層や事業戦略の策定に関わるメンバーが未来起点で事業の将来あるべき姿の解像度を上げるための支援をしています。プロジェクトの成果として、複数の事業で長期ビジョンに基づく事業方針の策定、商品・開発ロードマップやR&Dテーマの更新、事業開発組織の新設・強化、挑戦する風土の醸成などの変化が現れています。まだ道半ばですが、引き続き進化させながら取り組んでまいります。


パナソニックホールディングス株式会社
代表取締役社長執行役員
グループCEO


楠見 雄規

人物写真:楠見 雄規

パナソニックのデザイン経営と起こりつつある変化


2021年以来続けてきたパナソニックのデザイン経営での活動に関連して、パナソニックグループの中で起こり始めた変化をご紹介します。

2021年以来続けてきたパナソニックのデザイン経営での活動に関連して、パナソニックグループの中で起こり始めた変化をご紹介します。


パナソニック ホールディングス株式会社

2040年を見据えた『技術未来ビジョン』を策定

パナソニック ホールディングス 技術部門は、2040年の未来のありたい姿とその実現に向けた研究開発の方向性を示す『技術未来ビジョン』を策定。このビジョンの策定にあたり、未来構想プログラムを用いた新しいフレームワークを導入。この中で2040年に実現したい未来を、「一人ひとりの選択が自然に思いやりへとつながる社会」と定義。お客様の声に耳を傾け、パートナーの皆様との共創に積極的に取り組みながら、どのような形で次世代につないでいきたいかを明確にし、その実現に向けた羅針盤とする。



パナソニック インダストリー株式会社

メカトロニクス事業部の未来構想づくり

「今後の事業の存続と成長のために、顧客の要望に応えるだけでなく、自分たち自身で未来を考え、それに共感していただける顧客と一緒にやっていくべきでは」という経営の課題意識を持っていたメカトロニクス事業部のメンバーと共に未来構想プログラムに取り組む。その結果たどり着いた「誰もが心地よく暮らす社会」、具体的には「デジタル・自動化による心地よい暮らしを実現」「持続可能なエネルギーの基盤を構築」という実現したい未来は、その後当事業部のミッション・ビジョンを再認識する一助となった。



パナソニック株式会社

「水の挙動」の基礎研究が生んだみずみずしい乾燥食品?「常圧凍結乾燥」の可能性とは

以前から取り組んでいた研究開発テーマ「常圧凍結乾燥技術」は、デザイン経営実践プロジェクトの未来構想プログラムをきっかけに、研究段階のテーマとしては珍しく対外にも発表した。大学や社外の事業者と協業しつつ開発の加速を図っている。(リンク先はパナソニック株式会社のオウンドメディア『Make New Magazine』にてその模様を取材した記事)

経営メンバーと共に実現したい未来を描く、デザインの新たな役割


デザイン経営実践プロジェクトを始めるにあたって、楠見から「君の役割は色や形のデザインではなく、思考のデザインだ」と言われたことをはっきり覚えています。不確実性が高く急速に変化する社会の中で期待を上回る価値を提供し続けるためには、現在の事業の延長線上で考えるのではなく、未来起点・人間中心の視点を持って経営することが不可欠です。デザイナーが課題解決をする際に使っている「未来起点」「人間中心」の考え方を、ビジネスやテクノロジーのバックグラウンドを持つメンバーも一緒に使いこなせる仕組みをつくり、ともに未来を構想できるようにしているのがデザイン経営実践プロジェクトです。

1951年に創業者である松下幸之助がアメリカを訪れた後に「これからはデザインの時代だ」と言ったというエピソードがありますが、彼は「未来を描け」と言ったのだと解釈しています。パナソニックは創業者の時代から未来を描いてそこを目指して走ってきたのではないかなと。私たちはこれからも未来のことを自分たちで考え、自分たちで動くというシンプルなことに、パナソニックグループの様々な事業部門と共に挑戦し続けていきます。


パナソニックホールディングス株式会社
執行役員 デザイン担当
デザイン経営実践プロジェクトリーダー


臼井 重雄

人物写真:臼井 重雄

「ありたい未来」からはじめる


2022年8月30日

パナソニックグループは、グループCEO楠見直下のプロジェクト支援チームと各事業会社のトップが連携し、お客様の視点に立った未来構想・長期戦略を推進中だ。「未来を丁寧に創りつづける」パナソニックデザインの現在地とこれからの展望について聞いた。