■1968年 創業五十周年のごあいさつ
1968(昭和43)年、当社は創業50周年を迎え、創業記念日の5月5日、「創業五十周年のごあいさつ」と題した広告を、感謝の意を込め新聞各紙に掲載した。その日は、大阪府枚方市の松下電器体育館において「創業50周年記念中央式典」が挙行され、松下幸之助夫妻以下7,637人が出席。この式典で幸之助は、「過去50年、松下電器は母親の胎内にいたようなもの。今日、ようやく呱々の声を上げた。これから本当の活動が始まる」と切り出すと、会社を一隻の船にたとえ、「松下電器は経営理念というものがはっきりとしている。これは言い換えると“松下丸”という船が針路をとる方向であり、全員がまず“松下丸”という船に間違いなく乗っているという自覚を持たなくてはならない」と続けた。そして、「今後の50年、100年を迎えるまでその方針が崩されずして守り続けられるかどうか。これは一にかかって皆さん全員の責任である」と、“松下丸”の乗組員一人ひとりの認識を促すのであった。