三重

昭和60年、伊勢神宮に建てられた未来への祈り。

「茶の湯は日本人の心のふるさとである」――そんな書き出しではじまる『お茶の妙味』という文章の中で、創業者松下幸之助は茶道が復興期の日本において果たした役割について語っています。

「町という町はガレキの山と化し、まことに索漠とした情景で、人心もまた混乱混迷の姿に陥っていた。そういう中にあって、一つの救いというか、精神的なささえになっていたものは何であったかというと、私はこの茶道というものがその一つであったと思う」
松下幸之助にとって茶道は日本の伝統精神をあらわすものであり、未来の日本に残すべきものでもありました。そしてさらにこう続けています。
「今日のこのいろいろと問題の多い混迷の世の中において、お茶室を建て、こういう茶道を広めていくことは、お互い日本人の精神文化の向上のためにもやはりそれなりに意義のあることではないかと思う。またそういうこととあわせて、お茶室建築の伝統・伝統美というものをありのままに残すということもまたそれなりに意義が深いと思う」
その思いは、全国各地での茶室の建築につながりました。昭和60年に伊勢神宮内宮、宇治橋のたもと、五十鈴川のほど近くに献納した『神宮茶室』もその一つ。古来の伝統様式を守りつつ、当時の最高の建築・造園技術を集めてつくられた茶室は、賓客のおもてなしや献茶式といった儀式に使われるだけでなく、春と秋の数日間は一般の方にも公開。今日も茶道を、日本の心を伝え続けています。

大正7年の創業以来、私たちがここまで歩んでこられたことは三重のみなさまをはじめとする、たくさんの方々のご愛顧とご信頼の賜物と心より感謝申し上げます。これからも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

おかげさまで、パナソニックは創業100周年を迎えました。