パナソニックの
インクルーシブデザインの達成要件
パナソニックでは、インクルーシブデザインの定義を明確化するために、プロセスごとに達成要件を定めました。
この基準を満たした場合のみ、「パナソニックのインクルーシブデザイン」 を実現したとみなしています。
インクルーシブデザインで実現したい考え方
パナソニックのインクルーシブデザインで、あたらしい「やさしさ」をつくる。
その実現のために大事にしたい、5つの考え方があります。

Overarching /全体にかかる考え方

ひとりのためのアイデアから、
すべてのひとの生きやすさの実現を目指す
あるひとりが抱えている課題を解決することで、状況によって同じ課題が生じる多くの人たちの課題も解決できると考えています。また、ひとりの課題解決が、これまで届いていなかった人たちの場所や環境、周りの人の意識の変化にまで広がっていくことを目指します。
推進のポイント
課題を教えてくれるn=1に向きあい、包括できていなかった理由を深く追求することで、展開が可能になる
課題を見つめ、常にアップデートし続け、挑戦する
お客様への提供価値
製品やサービスは、結果的に少数のための特殊なものでなくなるため、比較的安価に入手することができる
多くの人の役に立つため、商品を継続して入手し、使用できる
経営視点
限られた人のニーズや課題から新たな価値を創出し、製品やサービスとして発展させる
グローバルな規模で見た新たな市場の開拓、既存市場でのシェア拡大を目指す
Insight /気づく

常に見落としていること、
聴こえていない声があることに気づくようにする
これからの商品づくりは、多様な人々、当事者と周囲の人にも着目することが出発点です。
想定するユーザーの範囲を広げ、見落としている困りごとや、聴こえていない声があることを、常に意識します。
推進のポイント
障害や特性でひとくくりにせず、一人ひとりに異なる感じ方や暮らし方、さらにその時々で変化があることを理解する
当事者だけでなく、周りの人にも目を向けてモノだけでなく、暮らしのシーンや生活する空間も含めて検討する
誰かを包括することで、別の誰かやシーンを見落とすことがないようにする
お客様への提供価値
当事者だけでなくその周りの人も含め、取り残されることなく自分らしい暮らしを実現できる
経営視点
含まれてこなかったユーザー特性による困りごとの発見から、新たな価値や市場を見いだす
障害者差別解消法改正など関連法案や規格、グローバルな潮流に先駆的に取り組み、企業のCSR活動の対象となる
Strategy /考える

開発者だけで考えずに当事者や
その周りの人と共に考える
商品の開発に関わる人だけでなく、多様な特性を持つ当事者や、当事者の周囲の人から学び、より良い製品、体験を実現するために必要なことを共に考えていきます。
推進のポイント
ユーザーのためにデザインするのではなく、ユーザーと共にデザインする
自分事として、共感を持って課題やニーズを理解する
さまざまな事情を排除せず、難しい場合も一人ひとりの心理的、身体的な安全を第一に考える
お客様への提供価値
当事者が機能面だけでなく心理的にも満足できる本当に欲しかったもの、今までなかったものが得られる
経営視点
モノだけでなく、暮らしのシーンや生活空間も含めた複合的な価値が提供できる
Create /つくる

一人ひとり異なる使い方や体験を
多様な技術、柔軟な手段で実現する
多様な技術やデータを活用することできめ細かなカスタマイズを実現したり、一つの商品で対応できなくてもアタッチメントや他社連携などで解決し、製品設計や課題解決手段を柔軟に検討します。リリース後も、評価、改善、リデザインのプロセスを継続していきます。
推進のポイント
全ての人のために一つのものを作るということではなく、多様なニーズ、体験に寄り添う製品、サービスを実現する
ユーザーが自分のための製品やサービスと感じられる心理的な側面も重視して、柔軟に手段を選び、カタチにする
ユーザーの「できる」ことを奪わず、成長や満足につながる解決策も用意する
お客様への提供価値
多様な選択肢から、当事者が自分の生活や状況、好みに合ったものを選ぶことができる
経営視点
解決策を柔軟に検討し、改善のプロセスを回すため、必ずしも大きな投資を必要とせず、着実な成果を目指せる
Storytelling /伝える

最も届く表現、方法を選んで、
当事者にも確実に伝える、届ける
価値の伝え方、届け方を大切に考え、当事者の方々と共創します。さらに課題を抱える当事者やその周りの人だけでなく、関係者も安心できる表現で、必要な人には確実に、必要だと気付いていないすべての人にも届けることを目指します。
推進のポイント
当事者やその周りの人、関係者の感覚、心情を学び、よりよい体験を提供する表現や手段を共につくる
多様な特性や状況に合わせて、情報が伝わるよう、情報のアクセシビリティに配慮する
届けた後も当事者や周りの人とつながり続ける
お客様への提供価値
努力して探さなくても、必要な情報が入手できる
支えてくれる周りの人にも情報が届くことで、安心してもらうことができ、当事者が利用しやすくなる
経営視点
積極的に情報発信をし、当事者と関係者に確実に伝えることで、機会損失を防ぐ
※障害の漢字表記に関して:スムーズな読み上げを実現するために、障害という単語を漢字で表記しています。