「人にやさしいモノづくり」を
かなえるための研究活動

「人にやさしいモノづくり」実現に向けて、私たちが業界に先駆けて蓄積してきた人間工学を中心とした多様な研究活動をご紹介します。私たちの研究成果は社内外での標準化や実用化を通じて、社会に「生きやすさ」を増やすことに貢献しています。

「加齢による見え方の変化」の研究|白内障疑似体験ゴーグル

全社基準化



視野が黄色がかって見えたり、かすみがかって見える白内障は、60歳以上の7割の方が羅患するといわれています。白内障の高齢者の方がどのように見えるかを眼科医と共同研究し、白内障擬似体験ゴーグルを開発。製品の表示、カタログ、パッケージ、取扱説明書などの見やすさの検証や改善に活用しています。2000年から社内基準として採用しています。

画像:

白内障擬似体験ゴーグル写真

画像:

研究イメージ

「聞き取りやすさ」の研究|音声ガイド基準

全社基準化



「音声案内」は、より多くの方に情報を伝える有効な手段になっています。聞き取りやすく理解しやすい音声案内を実現するため、音質や音量、話速、内容・表現、文の長さなどの研究を行い、指標化しています。2003年から社内基準として採用しています。

画像:

音声ガイド基準

「見やすい文字」の研究|PUDフォント

世界初

全社基準化



文字の見やすさについて、大きさとコントラストの確保だけでなく、書体自体の研究に取り組みました。高齢者評価やグローバル調査、研究者へのヒアリングを通じ、①視認性 ②判読性 ③可読性 ④デザイン性の4視点から改善ポイントを抽出。フォントメーカーの㈱イワタ様と共同開発を行い、2006年に世界初のUD仕様の書体を完成させました。この書体は、全てのパナソニックグループ製品の機能表示に使われています。2008年には当社グループの社名にも採用しています。
※2006年6月12日 パナソニックグループの製品本体に使う書体としてPUDフォントを制定(当社調べ)

画像:

PUDフォント例

「見分けやすい配色」の研究|カラーユニバーサルデザイン

外部認証獲得



赤や緑系の識別が困難な方にも区別しやすい配色の研究を、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)様と共同で行い、その成果を、ビエラやディーガのリモコンカラーボタンや、電子番組表の配色に活用しています。CUDOの定める基準を満たした製品に与えられる「CUDOカラーユニバーサルデザイン認証マーク」を取得しました(2007年から採用)。

画像:

リモコンカラーボタン

画像:

番組表

家庭内の事故を未然に防ぐ研究|安全配慮研究・疑似指

検証プロセス導入

受賞(キッズデザイン賞)



家庭内の幼児の事故として「折れ戸開閉時の指はさみ」や「ドアはさみ」が、多く発生しています。幼児の指を想定して作成した複数の、「擬似指」により、入らないか、切れないか、骨折しないか、など、​様々なケースの安全性を評価しています。評価結果を生かして社内基準として障害レベルの定量化やガイドライン化につなげ、「検証プロセスへの反映」を行いました。

画像:

安全性配慮の研究

画像:

擬似指による評価

「わかりやすい表示」の研究|UDマーク

グローバル対応

全社基準化



高齢者や障害者、介護・介助する人に向けて、それぞれの商品が人へのやさしさ・使いやすさの面でどんな工夫がさなれているのか。それを視覚的にお知らせするために、UDピクトグラムを考案し、2001年に社内基準としてまとめました。さらにグローバル化や技術革新に対応するために、2016年に一部マークを追加し、北米、中国、タイ、マレーシア、日本の5ヵ国で調査を実施。その結果を反映し、さらに分かりやすく改訂しました。

「動作・負荷・移動性」の研究|科学的な「使いやすさ」解析

独自開発データベース



筋負荷や重心移動など、様々な科学的解析で「使いやすい」という曖昧な感覚を可視化・定量化した商品づくりを推進しています。デジタルヒューマンシミュレーションによる身体負担の見える化も行っており、日本人約4万人の体型データベースから老若男女に対応できる他、独立行政法人 製品評価技術基盤機構監修の下に計測した、当社オリジナルの身体負担感データベースを基に、その姿勢や動作がどの程度の負荷を与えているか定量的に確認することができます。

画像:

動作負荷の研究

画像:

デジタルヒューマンシミュレーション

「ロボットにも人にも優しい社会」の研究|ロボティクス・アクセシビリティ・プロジェクト

業界先駆け



2015年からICT機器やロボット技術を活用し、外国人や障がい者をはじめとするすべての人が迷わず安全に移動できる社会の実現に向けた実証を行い、2016年には、ハードとソフトが十分に融合した実用的ソリューションを実現したとして、IAUDアウォード金賞を受賞しています。そこからさらに発展させて、「ロボティクス・アクセシビリティプロジェクト」を発足。「ロボティクス」や「モビリティ」など先端技術の開発に、より多くの人が使いやすく暮らしやすい製品、街、仕組みを目指す「 UD」の視点や、アクセスしやすさ、便利さを示す「アクセシビリティ」のエッセンスを加えて研究を進め、さまざまなサービスを展開しています。

研究から見えてきたのは、アクセシビリティ・UDと、ロボティクス・モビリティによるサービスの考え方には相似性があるということ。アクセシビリティ・UDの視点では、ハード(物理的)面では、障害があるのは「人」ではなく「環境」の方にあると捉えます。また、ソフト(心理的)面では、ハード改修でどうしても対応できない部分は人同士の助け合い(心のバリアフリー)でカバーしていこうという考え方をします。ロボットやモビリティでも、まずはロボットが働きやすいよう、環境側から整備を進めていきますが、やはりハード面の整備だけではロボットが100%の力を出せない時がある。そこで、ロボットへの理解を促進し、ロボットと人が一緒に作業することで、できることをより増やしていこうという考え方を提唱しています。

解説図:ハード(物理的)、アクセシビリティ・UDと、ロボティクス・モビリティの考え方

アクセシビリティ・UDと、ロボティクス・モビリティの考え方

解説図:ソフト(心理的)、アクセシビリティ・UDと、ロボティクス・モビリティの考え方


※障害の漢字表記に関して:スムーズな読み上げを実現するために、障害という単語を漢字で表記しています。