【現地レポート】塩野義製薬株式会社との合同視察
ケニア リマ・ラ・ペラ地区
コレクティブインパクトという言葉をご存知だろうか?社会課題解決に向け、共通目標を持った企業や団体が自分たちの得意分野の能力を持ち合う協働活動である。
我々も2022年からコミュニティの自走を目指すという共通目標の下、塩野義製薬株式会社と国際NGOワールド・ビジョンと三者で活動を進めている。
場所はケニア、無電化地域のキリフィ県リマ・ラ・ペラ地区、塩野義製薬株式会社が国際NGOワールド・ビジョンと活動している母子の健康改善を目指したプロジェクトに、我々の再生可能エネルギーによる電力供給で、さらに効果を上げていただく協働活動である。
今回は協働の活動地で実現した合同視察についてレポートする。
母子の健康を支える、塩野義製薬株式会社のMother to Mother SHIONOGI Project
このプロジェクトの目的は母子の健康改善である。ケニアでは妊産婦死亡率が日本の68倍、5歳未満児死亡率は日本の22倍と言われている。子どもだけでなく母親の健康も危険にさらされている。その原因は医療施設が遠く、近くにあっても医療機器やスタッフが充実していないことにもある。
そこで塩野義製薬株式会社は、ワールド・ビジョンとの連携により、診療所や産科棟を建設しコミュニティの保健人材や地域住民への保健衛生教育などを行っている。
このプロジェクトの素晴らしいところは、医療支援にとどまらず、母親たちのあらゆる支援もしていることである。子どもの成長の為にバランスのとれた食事を取れるように栄養について学んだりするプログラムも実施している。栄養について学んだ1人の母親は、自分で作った品数の多い料理を見せながら、「成長期の子どものためにビタミンやタンパク質のバランスを考えながら作っているのよ」と自慢気に説明してくれた。
また母親たちが経済的に自立できるよう養鶏の支援をしたり、子どもの学費を賄えるようにお互いに助け合える貯蓄グループを作ったりと、様々な活動をしている。
現地で実際に母親たちの話を聞いていると、自分たちの活動として行動し、確実にコミュニティの自走に繋がっていると、実感出来る。
再生可能エネルギーで無電化地域にあかりや電気を供給
リマ・ラ・ペラ地区は無電化地域で電気が届いていない。塩野義製薬株式会社が建設した産科棟や医療施設にも電気が届いていないため、ワクチンを保存する冷蔵庫はガスによって稼働しているが、不安定で、電気が必要な多くの検査機器や医療機器は使用できずにいる。そのことによって村人は検査を受けるためだけに、遠くの医療施設まで出かけなければならない。
そこで塩野義製薬株式会社、ワールド・ビジョンと協働し、この地区に再生可能エネルギーである太陽光発電の蓄電池システムを寄贈させて頂き、検査機器や医療機器の活用、また医療スタッフの生活環境の改善に貢献する。
合同視察の際に、現地の施設を説明してくれた看護師は、電気が届き電気式の医療機器が使えるようになったことでかなり効率が上がったと説明してくれた。実際に妊婦の場合、産前に4回以上の検診を受ける必要があり、今まで遠くまで通って受診していたものがこの村で受診できるようになったと教えてくれた。また、ある母親は、あかりがついたことにより夜も安全になったと喜んでくれた。
知事も参加し、村人も大勢集まった集会
リマ・ラ・ペラ地区に、塩野義製薬株式会社とワールド・ビジョンと当社が日本から訪れるということと、塩野義製薬株式会社のプロジェクトで支援する建物の着工式があるということで、村人に声をかけていただいた。この情報を耳にした県知事は、舗装されていない道を約3時間かけて急遽駆けつけてくれた。村人たちは、歌と踊りで熱烈に歓迎してくれ、口々に我々への感謝を述べてくれた。気がつけば村人は600名ほど集まったという。地方行政トップの知事の突然の参加といい、村人の大勢の参加といい、日本から珍しい客がやってくるということもあるかもしれないが、このプロジェクトへの関心の高さだと感じた。
村人の中には数時間もかけて歩いてきてくれた方々もいるという。本当に有難いことだ。
単なるほどこしではなく、コミュニティの自走を目指し活動するという共通目標のもと、塩野義製薬株式会社ならびにワールド・ビジョンと協働することになり、またその活動を現地において合同で視察出来る機会を与えて頂いたことに心から感謝したい。
プロジェクトはまだ続き、コミュニティの自走に向けてさらなる活動が必要になってくると思う。現地の方々に喜ばれるような活動にすべくこれからも引き続き3者で協働して支援を続けていきたい。
【関連サイト】
塩野義製薬株式会社 Mother to Mother SHIONOGI Project
塩野義製薬株式会社との協働記事
ワールド・ビジョン・ジャパン ホームページ