パナソニックグループでは、無電化地域の方々に“あかり”を届ける「無電化地域の未来を照らすプロジェクト~LIGHT UP THE FUTURE」に取り組んでいます。
昨年2月、ジンバブエにおける子どもたちの学校環境の整備に取り組む国際NGO ADRA Japanとともに、ジンバブエ北東に位置する西マショナランド州カリバ郡ニャミニャミ地区にソーラーランタン330台を寄贈しました。
2月の寄贈から約2か月が経った今、ジンバブエの子供たちにどんな環境変化が訪れたでしょうか?ADRA JAPANを通じて見えてきた子供たちの様子をお伝えします。
今回ソーラーランタンを受け取り、インタビューに応じてくれたのは、メメントさん(15歳)、ライアン君(14歳)の2人。メメントさん、ライアン君たちは、これまで電気がないことで夜間の勉強ができずにいました。2人の家族も同様で、電気がないことで料理などほとんどの家事は日中の明るい間に終わらせる必要があります。日没後ひとたび暗くなってしまえば、あと頼りになるのは携帯電話の明かりのみ。家族みんなが夜を過ごすには、とても十分な明るさとは言えません。
そんな環境で過ごしていたメメントさん、そしてライアン君一家ですが、ランタンが届いたことで生活に大きな変化が現れました。まずは夜に勉強ができるようになったこと。そして家族みんなで食事の支度が快適になったこと。さらには夜間に蛇に襲われなくなり、トイレにも安全に行けるようになりました。
それら大きな環境変化をもたらせた一方で、私たちがとても心に残ったことがあります。それは、勉強したくてもできず「無力感」を募らせていた子供たちが、自分たちの未来に明るい希望を持てるようになったこと、です。
今回のジンバブエでのランタンは、寄贈したご家族の皆様に、勉強や読書など子供たちの用途以外のことでももちろんお使い頂けるものです。しかし、すべてのご両親が子どもたちの明るい未来を望んでおり、私たちパナソニックはその気持ちに寄り添い、子どもたちの未来を照らす必要があると今回の寄贈を決めました。メメントさん、そしてライアン君のご両親も子供たちへの思いを強くお持ちで、何よりもまず、子供たちの未来のために明かりを使ってくれています。
このランタンはまた、メメントさん、ライアン君たちによって「みんなで使う」というアイディアも生み出されました。メメントさんはお姉さんたちと、そしてライアン君は近所のお友達と夜間の勉強グループを作って、ランタンの元で一緒に勉強することを始めたようです。
1つのランタンは決して大きいとは言えませんが、それがもたらす明かりが、より多くの皆様の心を灯し、コミュニティを深化させ、よりよい社会へとつながることを願います。そして子供たちの明るい未来が育むまれることを目指します。メメントさん、ライアン君たちが、ランタンを様々に活用してくれていることに私たちも新たな気づきを得ることができました。
ぜひメメントさん、ライアン君のインタビューを御覧ください。
メメントさんインタビュー
メメントさん(15歳)はネガンデ中学校の2年生の女児です。彼女はネガンデから7キロ離れたカノゴチェカ村に住んでおり、ニャミニャミ地区でADRAが支援しているマレンベジャ小学校で初等教育を受けました。
メメントさんは、授業に出席するために、いつも早起きして中学校まで7キロの道のりを歩きます。下校時も同じようにとても長い距離を歩いて帰ります。
家に着くころには、すでに夕方になっています。家に着くと、姉たちと一緒に家事に取りかかり、勉強する時間はほとんどありません。明かりがないため、彼女と姉たちは夕飯を作ったあと、暗くなる前に食べなければなりません。その後、みんな自分の部屋に戻って眠り、家の中は静かになります。
「明かりがあれば、その時間を勉強に使いたいんだけど・・」とメメントさんはいつも話していました。
メメントさんは9人家族で暮らしています。彼女の弟妹の一人はマレンベジャ小学校に通っており、ADRAからSunking社のソーラー・ライトを支給されたことがありました。しかし、それだけでは、子ども達の全員が勉強をするための明かりはとれませんでした。
そのため、メメントさんだけでなく、高学年のメメントの姉たちもこのパナソニックのランタンを頼りにしています。メメントさんは、かつてのことを、次のようにお話ししてくれました。
「父の携帯電話の明かりで台所を照らしながら料理をするのは簡単ではありませんでした。時々、草を燃やして明かりを灯し、食事の支度をしていました。携帯電話の明かりも、草を燃やした明かりも、暗くて、とても大変でした」
勉強のために明かりが必要だったときも、かつては、パナソニックのソーラー・ランタンがなくて、勉強ができなかったので、メメントさんは無力になったような気持ちがしていました。
そのため、パナソニックのソーラー・ランタンをもらったメメントさんは、パナソニックにとても感謝しています。メメントの姉妹たちも、ランタンを上手に使っているとのことです。彼女の姉妹は今年学力試験を受ける予定です。そのため、姉妹たちもパナソニックのランタンで勉強できることに、とても感謝しています。
メメントさんが最も感謝しているのは、パナソニックのソーラー・ランタンのおかげで勉強時間をもっと確保できるようになったことです。これまで夜間に勉強する機会がありませんでしたが、今はそれができるようになりました。そのほか、メメントさんと姉妹が食事の支度を快適にできるようになったとも話してくれました。
また、メメントさんのお姉さんであるペルトゥニア・チャテムブワさんにもお会いしたところ、ソーラー・ランタンをご寄付くださったパナソニックとADRAに感謝の気持ちを示してくれました。ペルトゥニアさんは今年受験を控えており、「パナソニック様のランタンの恩恵を受けたのはメメントだけでなく、私たちも同じです」と話してくれました。
両親からのコメント
メメントの父親であるチャテンブワさんは、「ソーラー・ランタンは、それを受け取った子どもたちやその家族にとってとても役に立ちます。私はいつも子どもたちを気の毒に思っていました。日没前に、なんとか、勉強しようとする子どもたちの苦労を目の当たりにしていたのです。暗くなる前に家事のほとんどを終わらせなければならないので、そうすると、日没前には勉強の時間がほとんど残りませんでした。」。
「メメントのソーラー・ランタンは、携帯電話の充電もできますし、暗闇でも本当によく見えるので、とてもありがたいです。パナソニックのランタンはとても丈夫で、耐久性があるようです。私たち親ができるのは、子どもたちがパナソニックのランタンを活用して勉強に励むように励ますことです。本当にありがとうございました。」
ライアン君インタビュー
ライアン君(14歳)は、ネガンデ地区マブワドゥ村のネガンデ中学校の1年生です。
5人家族のライアンは、母親と父親、妹たち(シャーメインとシェリル)と共に暮らしています。シェリルは生まれたばかりの女の子です。ライアンの家は中学校から500メートル離れたところにあります。
私たちはマブワドゥ村の村長ルカ・シアバシンビさんと一緒にライアンの家を訪問しました。家に着くと、お母さん(ルテンドさん)が迎えてくれ、ライアンが近くの運動場で友達とサッカーをしていると教えてくれました。ルテンドさんがライアンに声をかけると、彼はすぐにADRAスタッフに会いに家に戻りました。
ライアンが次のように話してくれました。
「今は、パナソニックのランタンで放課後に家で勉強するのが大好きです。かつては勉強時間がまったく足りなかったのです。僕は長男なので、下校後は家事を手伝わなくてはならず、太陽の明かりがある間に、勉強する時間はほとんどありませんでした。」
「僕はソーラー・ランタンをもらうまでは、母親の携帯電話の明かりを頼りにしていました。でも、母親も携帯電話の明かりが家事のために必要なので、僕は1時間も電話を使って、勉強することはできませんでした。それに、翌朝の家事を手伝うために、早く寝なければいけませんでした。」
ライアン君一家では、照明として、2台の携帯電話に頼っていました。1台は父親の携帯電話で、それはコミュニケーション用です。ライアン君の妹たちはまだ幼いので、ライアン君の両親は、料理や子どもの世話、他の家事をするのに、携帯電話の明かりに頼っていました。そのため、ライアン君の勉強のための明かりがなかったですし、夜にトイレを安全に使うこともできていませんでした。
十分な照明がなければ、ライアンの家での学習時間は確保できず、学校の成績を上げたくても、それができなかったのです。
ライアン君に、パナソニックのソーラー・ランタンをどのように使っていますかと尋ねたところ、以下のように答えてくれました。
「このライトのおかげで生活がしやすくなり、本当に満足しています。勉強する時間も十分に取れるし、自分だけでなく家族もとても助かっています。とても明るいので、みんなが恩恵を受けています。小さな妹たちと遊ぶときも、明かりがあるので、夜にヘビに襲われないように、妹を守ることができます。トイレにも安全にいけるので、ライトのおかげで、日々の危険から、守られていると感じます。」
ライアン君は、パナソニックのソーラー・ランタンが傷つかないよう守るために透明な保護のためのテープも巻いてくれており、ライトを大切にすると話してくれました。そして、このランタンを勉強のために、最大限に活用するとのことでした。
母親のルテンドさんは以下のように話してくれました。
「これまでは照明が足りなくて、家事とライアンの勉強時間のバランスをとるのがとても難しくなっていました。私は携帯電話の明かりで、料理をし、子供たちの寝床を用意し、赤ん坊の世話をしなければなりませんでした。さらには、夜間の通信と照明の両方に携帯電話を使うので、そのための充電をするのが本当に難しかったです。私たちには、充電できる十分な電源がなく、近所の人に助けを求めなければならないこともありました。」
「ソーラー・ランタンの活用については、ライアンが夜に勉強することを、第一優先にしています。そして、ライアンが使っていないときには、携帯電話の充電や照明としても、とても役立っています。とても良いライトで、広範囲を明るく照らすことができるので、本当に気に入っています。小さな子どもたちが動き回ってもきちんと見えるので、夜も、子どもの安全を見守ることができ、私も安心できます。このようなすばらしい資産を提供くださったパナソニック様とADRAに感謝しております。」
母親によると、このライアンは勉強熱心で、数学が得意だといいます。ライアンの家庭学習を手伝ってくれる父親のおかげで、学校の成績は良好です。
さらに、ライアン君には中学3年生、4年生の近所のお友達がいるので、夜に、一緒に勉強する勉強グループを作りました。お友達は、ライアン君の自宅を訪れ、パナソニックのランタンを使って一緒に勉強しています。