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特定非営利活動法人あっとすくーるへの広報活動支援
~中・長期を見据えた目標設定と内部基盤整理~

パナソニックは、社員の仕事のスキルや経験を活かしてNPOを支援する「Panasonic NPOサポート プロボノプログラム」に取り組んでいます。今回は、大阪の6人の社員がチームを組み、「特定非営利活動法人あっとすくーる」の広報活動をプロボノでサポートしました。2019年7月から、スタッフやボランティアで活動に関わっている大学生の皆さんとミーティングを重ね、同団体が直面している課題を整理・検討。その上で、より多くの学生の皆さんを巻き込み、同団体の活動を広く知ってもらうためのコンテンツを作成し、2020年1月19日に最終提案が行われました。その様子をご紹介します。

「第二の家」とも呼ばれる学習塾
組織拡大とともに、難しさ増した情報共有

「特定非営利活動法人あっとすくーる」は、2012年3月に一人ひとりに合わせた学習ができる個別指導形式の授業を行う学習塾として誕生しました。特長の1つが、授業がない日でも塾に来て居場所として過ごすことができるということ。多くの子どもたちから「第二の家」とも呼ばれています。生活困窮者自立支援制度に基づく学習支援事業を、行政から委託を受け実施しており、ひとり親家庭の現状についての講演なども行なっています。

組織の誕生から10年が経ち、行政とも連携しながら、数拠点の学習塾を軸とした幅広い活動を展開してきましたが、中・長期を見据えた目標設定と内部基盤の整理が必要な時期にきていました。「あっとすくーる」代表の渡さんは、今回プロボノに依頼した際の経緯を、こう説明します。

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あっとすくーるの活動風景

「活動の幅が広がっていくに従って、関わる人も増えてきましたが、組織として一貫した情報共有の仕方などがなかなか定着していませんでした。今後、学習塾の拠点が増えていった場合に、どこでも同じ高品質のサポートを提供できるようにするために、プロボノチームの皆さんにお知恵を貸していただくことになりました」

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あっとすくーる
理事長 渡 剛さん

ヒアリングから生まれた2つのプロジェクト
学生ボランティアとの協働で形に

プロジェクトの開始に当たり、プロボノチームはまず、8月に1ヶ月をかけてスタッフにヒアリング調査を行いました。その結果、「様々な生徒さんと接する中で、スタッフ研修の必要性を感じている」「季節のイベントをすることで、教室同士の連携も強まるのではないか」「学生スタッフたちからのアイディアを、いかに組織として活用していくか」といった課題やアイディアが見えてきました。
一方、10月にはボランティアとして活動に関わっている大学生の皆さんにもヒアリング。「ボランティア募集のために、大学公認のサークル化したらどうか」「学生スタッフ間の情報共有強化のために、ツールが必要」といった声も上がりました。

これらの聞き取り調査を踏まえ、プロボノチームは、「学生スタッフ募集プロジェクト」「塾の魅力化プロジェクト」の2つの施策を提案しました。
「学生スタッフ募集プロジェクト」では、来年度以降を見据えて一緒に活動する仲間を集めるPR活動方法を検討し、実行するというもの。最終報告では、「Twitter」アカウントを4大学で開設し、大学内のボランティアセンターに団体登録したことで、12月の学生問い合わせが13件あり、2人は既に学生スタッフとなったということでした。今後の課題としては、継続して魅力的な内容をTwitterで投稿していくこと、春休みや新歓といった新年度にターゲットを絞った告知を充実させることが挙げられました。

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報告会に参加した学生ボランティアの皆さん

「塾の魅力化プロジェクト」では、組織内部の環境向上に関するものと、外部に組織の魅力を発信していくものの2方向を意識して行いました。例えば冬休みの宿題を学生スタッフと共にやり遂げる「冬休み宿題企画」では15人以上の参加目標を掲げたところ、19人が参加し、体験入塾者も出るなど、成果が報告されました。企画を実行する上で判明した組織内部の環境向上すべき点として、情報共有における課題が指摘され、議論されました。

最終報告を受けて、「あっとすくーる」代表の渡さんは、「今回のプロジェクト遂行に当たり5人の学生スタッフに声をかけて、共に課題に取り組む中で、情報共有の具体的なアイディアも出てきました。さらに『あっとすくーる』が成長できるような芽が見つかった3ヶ月でした」と語りました。

一方、今回のパナソニック側のプロジェクトメンバーは、プロボノの経験者が2人、残りの4人がプロボノ初参加という構成でしたが、それぞれに学ぶことも多かったようです。

参加したプロボノメンバーに感想を聞きました。

会社員としての経験が何らかのお役に立てばと思い、今回初めてプロボノに参加しました。長く一つの場所に勤めていますと、人間関係も限られてきます。そのような中で、背景も年代も違う皆さんと関わることができたのは、とても貴重な体験でした。会社員人生の後半に差し掛かる中、今後どのように、このプロボノでの経験を生かせるのか。自分の中でしっかり反芻・消化して、次のステップに活かしていきたいと思っています。

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小林 一也さん

子どもが2人いるのですが、子育ての中で色々と考えるところもあって、子どもに関連するNPOでプロボノができないかと思い参加させていただきました。8月のヒアリングの中で出てきたアイデアが10月の聞き取りではもう実現されていたりして、フットワークの軽さは見習いたいと思いました。最終報告では課題に注目されていましたが、今回達成されたこともたくさんあったのではないかと思っています。反省と成果の両方を、今後に生かしていただきたいと思います。

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山口 聖貴さん

理系出身なので、「化学好きを増やしたい」という思いもあって教育関係のNPOを希望しており、今回初めてプロボノに参加させていただきました。自分が学生の頃は、「誰かの役に立ちたい」というよりは、自分の学業や部活に忙しかったように思います。今回プロジェクトに関わられた学生の皆さんは、日頃から積極的に活動に携わっておられていたからこそ、スタッフの方から声がかかったのだと思います。この経験は今後の人生にも大きな糧になるのではないかと思いました。

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貝塚 篤史さん

2015年から、インドネシア、ベトナムなどアジアに関連した活動のプロボノに参加させてもらった経験があります。社会課題に対して熱い想いをもって取り組まれている方々と接すると、自分自身も大変刺激を受けます。プロボノには、社会人5年目くらいから参加しているのですが、プロボノに参加するたびに自分の仕事観も前向きに変わっていっています。今回もこのようないいご縁をいただき、ありがたく思っています。

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三宅 貴大さん

入社以来、会社内のシステムを企画する仕事に携わってきました。これまでのキャリアを生かしながら、会社内外で新たなつながりを作りたいと思い、今回初めて参加させていただきました。教師を目指していた時期もあり、このような教育関係のNPOと関わることができ、ありがたかったです。「現場を知る」「課題の本質を見極める」「何があってもやり通す」ということの大切さを仕事を通して学んできましたが、今回その重要さを再確認させていただいたように思います。

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星野 真理子さん

2年前に初めてプロボノに参加させていただき、今回で3回目です。ここに集まった「プロボノチーム」も半年前は接点はなかったのですが、今日はこのようなプレゼンを一緒にさせていただくことができ、本当に濃密な半年間を過ごさせていただきました。過去に関わった団体さんとは今も緩やかにつながっていて、イベントのお手伝いに伺ったりしています。「あっとすくーる」さんとも、このご縁を大切にしたいと思っています。

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森下 祐幸さん

日頃の業務で培ったビジネススキルや得意分野が社会貢献につながるプロボノ。今回は、「教育」というテーマに関心の高いメンバーが集まり、密度の濃い時間を共有できたようです。身近なテーマながらも大人になるとなかなか現場を訪れる機会がないため、多くの気づきや刺激があり、NPOのスタッフやボランティアとして関わる学生たちに触発されながら、自分自身の仕事や人生を省みる時間となったようです。

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写真:パナソニックプロボノチームとあっとすくーるの集合写真
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