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写真:特定非営利活動法人 東京レインボープライド 写真:特定非営利活動法人 東京レインボープライド

外部視点で事業計画を作り組織運営の課題を解決したい

~特定非営利活動法人 東京レインボープライド~

特定非営利活動法人 東京レインボープライド(TRP)は、「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的指向および性自認(SOGI=Sexual Orientation, Gender Identity)のいかんに関わらず、すべての人が自分らしく誇りを持って前向きに楽しく生きていける社会の実現を目指して活動している団体です。
パナソニックも性的マイノリティに関する取組みとして、LGBTへの理解を促し、LGBT社員の働きやすい職場を実現するために、人事職能、管理職、社員への研修や、LGBTを支援するイベントへの参加を呼びかけるための情報発信などを行っています。また、LGBTの普及啓発に関わる団体を支援し、イベントへの出展やセミナー等の開催にも協力しています。
今回、プロボノ プログラムでは、社員チームが東京レインボープライドの今後のさらなる活動の可能性を検討し、オリンピック・パラリンピックを迎える2020年までを1つの節目に、団体として目指す社会、そのために必要な運営体制など、今後の基盤を固めていくための事業計画立づくりに取り組みました。2月4日(日)に開催された最終提案会の模様をご紹介します。

規模が拡大しボランティアでの運営にも限界が。
課題を明確にして中長期のビジョンを

日本初のプライドパレードが開催されたのは1994年。
以降、パレードは不定期ながらも継続されてきました。2011年に東京レインボープライド(TRP)を立ち上げ、その翌年にはTRPとして初めてのパレードを実施し、約4000人~5000人の参加者を集めることができました。
しかしパレードの参加者は、今ではその20倍以上の11万人にも達し、これまでのようにボランティアでの運営体制に限界が見えていたのです。

LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。
しかし、LGBTは決して一括りにできるものではありません。私たちTRPもそれぞれ異なる課題を持ち、さまざまな“想い”を持った人々が集まった団体です。ひとつのテーマを掲げて活動を継続させるにはどうすればよいか、中長期のビジョンはどうしたらよいか、さまざまな課題がありました。

写真:東京レインボープライド 共同代表理事 杉山 文野さん

東京レインボープライド
共同代表理事 杉山 文野さん

そして私たちでもその課題を明確にできておらず、先行きに不安を抱えていたのです。
そこで、外部の人たちに私たちのことを客観的に見ていただき、的確なご提案をいただくことがベストなのではないかと考え、パナソニックのプロボノチームにご協力をお願いしました。

他団体のノウハウや幅広い視野でのアイデアを期待

写真:ミーティングの様子1

パナソニックプロボノチームとのミーティングでは、私たちの組織経営に焦点をあて、短期、中期、長期の目標を設定し、事業計画を立てて活動していくのがよいのではないか、ということになりました。
最終提案の前には、中間報告をいただきました。中間報告でのご提案は、LGBTの視点に立ったリサーチが中心だったため、私たち当事者にとって正直に言うと斬新なものではなかったのですが、私たちのこれまでの活動や考えに間違いがなかったという“確信”のようなものをいただくことができたと思っています。

ただ、私たちだけの視野ではどうしても限界があります。
そこで、最終の提案ではLGBTという枠にとらわれず、さまざまな団体の活動やその成功事例から応用できそうなノウハウやアイデア、経営資源を獲得するための情報についてご提案いただくようお願いしたのです。パナソニックプロボノチームの皆さんには、お仕事をされながら、私たちの活動にも興味を持って取り組んでいただき、本当にありがたいと思っています。

パレードの意義を明確にして、他団体との連携強化を提案

昨年秋におこなわれた中間報告以降、プロボノチームでは、さまざまな活動に取り組む6団体や他のLGBTの普及啓発に取り組む団体の活動調査、そして見識者および当事者へのヒアリングをおこないました。

そして、最終提案会では、「パレード以外で当事者に根差した活動を増やしていく」という当初の方向性から「パレード運営のノウハウ・経験を活かして包括的な活動を目指す」というものに設定し直しました。
そしてTRPの特徴を活かし、新しい活動として関連するNPO団体を集めてフォーラムを開催していくことや、他団体と連携していくことで機能を強化させていくという方向性を提案しました。

写真:ミーティングの様子2
写真:東京レインボープライド 共同代表理事 杉山 文野さん

「私たちの団体では、理事たちもそれぞれ本業がある中で、つい目先の課題への対応に追われることが多く、もっと大きな視点でこの団体をどうしていくのか、目的をしっかりと話し合う機会が少ないまま今日に至っています。当事者が当事者の中で活動し、考えることの大切さがある一方で、それは当事者でない人からはどのように見えているのかをお聞きしたいと思い、今回プロボノチームに協力をお願いしました。私たちの団体の内部事情をご理解いただいたうえで、客観的な視点からとてもいいご提案をいただけたと思います。できることはすぐに取り組んでいきたいと思います」

最終提案を終え、プロボノチームのメンバーにこの7カ月間を振り返ってもらいました。

「LGBTについては日本ではまだ理解が進んでいないように思えたので、それを変えたいと考えたことが、プロボノに参加した理由です。しかし参加してみると、私自身がほとんど理解していないことにも気付かされました。パレードはLGBTについて知るきっかけになるため、もっと拡大していってほしいと思います。」

写真:榛葉 吏紗さん

榛葉 吏紗さん

「事業計画の提案をさせていただく過程で、当事者の方々へのヒアリングを通じて感じたのは、多様な人々がいる組織を運営しているTRPはすごいということ。行政を動かしたり制度を変えたりするにはさまざまなハードルがあると思いますが、今後、研修にそうしたテーマを組み込み、多くの人を巻き込んでいくことができれば、社会を変える大きな力、動きになっていくのではないでしょうか」

写真:池田 勝秀さん

池田 勝秀さん

「TRPの活動を誰かに説明するとき『当事者でなくてもマイノリティという意味では当事者であることもある』と言うと理解してもらえることが多く、たくさんの人が共感してくれて、協力してくれるのが嬉しくもありました。みなさんが期待している世の中に早く社会が近づくといいな、と思っています」

写真:橋本 裕美さん

橋本 裕美さん

「この約7カ月間で、知識や気持ちの面で、自分が少しだけでも変わることができたと実感しています。最初にTRPのみなさんとお会いしたときに“持続可能な組織”を目指すということをうかがいました。目標である2020年以降も、私たちがご提案したことを活かしていただいて、より大きな動きにしていっていただけると嬉しいです。」

写真:内田 浩之さん

内田 浩之さん

「現代は“隣人がどんな人かわからない”という社会になってきていますが、みんなが家族のようになれたら、もっと協力し合ってよりよい世の中になっていくのではないか、ということを今回参加させていただいて感じました。今後もこの活動を通して感じた想いを具現化できるように私も頑張りたいと思います」

写真:黒田 愛美さん

黒田 愛美さん

写真:パナソニックプロボノチームのメンバー

パナソニックプロボノチームのメンバー

東京レインボープライド(TRP)の理事のみなさんにも感想をうかがいました。

写真:ミーティングの様子3

「私は自分のセクシュアリティのことを周囲に話すことに躊躇することもあり、同じマイノリティ同士で集ってしまう傾向もあります。しかしみなさんとお話ししていると“存在していいんだ”という自信のようなものを得ることができました。そう思えることが普通である社会になっていくといいな、と思います。今回、みなさんのお話をうかがうことで、それを再認識させていただくことができました」

「世の中のマイノリティに対する理解が進んでいく中で、今回みなさんとご一緒することで、自分にできることでもっと頑張っていかなくては、という思いを新たにすることができました」

「今回ご協力くださったプロボノチームのみなさんは、当事者ではないにもかかわらず、当事者と同じくらいの熱量と意識を持って取り組んでくださいました。そして今後もかかわっていきたいというお言葉をいただき、とても心強く思っています。これをご縁に、いろいろな形でかかわっていただけると嬉しいです」

2018年度もパレードに先駆けて、ゴールデンウィークの9日間(4月28日~5月6日)を虹色に染め上げるイベントの集合体である「レインボーウィーク」の開催が決定しています。
あなたもぜひ、参加しませんか?

詳細はこちらから:

写真:東京レインボープライド 共同代表理事 杉山 文野さん

Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム

パナソニックグループ社員の仕事で培ったスキルや経験をさらに広く社会の中でお役に立て、社会課題の解決に取り組むNPOの事業展開力の強化を応援するプログラム。
2017年1月には「東京都 共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞 特別賞」を受賞しています。