環境NGO「ezorock」の組織基盤強化ストーリー

ミッション・ビジョンの見直しと情報共有化で組織がステップアップした 未来になう若者の声を届け、次世代に引き渡せる社会をつくる

突破口はSNSによる情報共有化

そうした混迷の中で、一つの突破口となったのは、団体オリジナルのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を導入したことでした。それまで組織の運営管理に使用していたメーリングリストは活動の増加とともに30本ぐらいに分散化していたのですが、それを「ezorock SNS」一本に切り替えたことで、一気に情報のオープン化が進み、ezorockにかかわる誰もがさまざまな意思決定プロセスに参加できるようになったんです。

その仕組みをベースに意見を集めて、一つのプロジェクトの開始から課題解決までのプロセスの流れを図に表して共有化できたことが、組織をステップアップさせる大きな転換点になりました。さらに、「環境活動を通じて、人が育つ仕組みがezorockである」という方向性を打ち出し、団体としての社会的な役割を明確化する大きな一歩を踏み出すことができました。

自転車の共同利用を目指した「サイクルシェアリングporocle」

外部の人から問われることが重要

やはり、助成を通じて、外部の人から客観的な立場で「問われる」という経験がとても重要だったと感じます。どういう方針のもと、どういった方向性や戦略で組織運営していくのか。内部だけの見方では、どうしても自分たちの居心地のよい方に流されてしまいますからね。

そして、助成終了後も、活動を通して自分たちはどんな社会を生み出したいのかと問い続けることで、ezorockのミッションは「環境問題の影響をダイレクトに受ける若者の声を社会に届ける」ことであり、ビジョンは「次世代を意識した社会づくり」であるというところにたどり着きました。  それは、たとえば、貧困問題が先進国と貧困国の所得格差、地域間ギャップの問題であるとすれば、環境問題は今の世代と未来の世代の環境格差、つまり時間軸間のギャップの問題だと考えたからです。

ezorockは物事に時間軸の視点を加え、若者の声をできる限り社会や仕組みづくりに反映させて、彼らにとって望ましいと思える社会を次世代に引き渡していきたいと思っています。

2011年4月に2階建て一軒家の事務所を開設