事例

聴覚障がい者向け外出支援デバイス
「コデカケ」​​

事例

聴覚障がい者向け外出支援デバイス
「コデカケ」

概要​​

「コデカケ」は、聞こえない・聞こえにくい方が抱える「後方からの接近に気づきにくい」という課題に着目し、安心して街を歩ける体験を届けるために開発されたプロトタイプデバイスです。

レーダーで後方からの接近を検知し、振動で危険を知らせるウェアラブルデバイスと、歩道の幅や交通量などを考慮した安心ルートを提案するアプリによって、「安心して前を向いて歩く」ことを支援します。

構想から検証までの各フェーズを、課題を経験した当事者とともに対話しながら進めることで、気づき・安心・余裕といった感覚の再設計を目指しました。

※本プロジェクトは現在、試作及び検証の段階にあり、製品化はされておりません。今後の進捗に応じて、内容が変更される可能性があります。


1

構想段階で対話からインサイトを得る

プロジェクトの出発点は、聞こえにくい・聞こえない方との対話で挙がった「後ろからの自転車や車に気づけず、外出時に不安を感じる」という声でした。対話を重ねる中で、補聴器や人工内耳を使っていても、後方からの接近音は聞き取りづらく、事故や緊張感の要因になることが多いという課題が明らかになりました。また、行ったことのない場所に出かける際は事前に安心なルートを調べる手間もかかり、その結果、外出が面倒になることや行動範囲を狭めていることも多いそうです。
さらに、子どもがいる聴覚障害者は、自分の安全だけでなく子どもにも注意を向けなければならないため、気疲れしやすかったり 、コミュニケーションが取りづらいという問題も抱えていることがわかりました。

対話では、慣れない場所への外出時には、スマートフォンの画面を見る時間が増え、周囲の変化に気づきにくいという副次的なストレスが生じることも教えていただきました。この課題をどう解決できるか一緒に検討を始めました。

写真:写真:質問テーマ「屋内外での困りごとの度合い」がスクリーンに投影されている、オンラインミーティングの画面キャプチャ―。

聴覚障害のある方へのヒアリングのようす

2

対話を重ねて解決方法をブラッシュアップ​​

対話を通じて、外出時には「通知に気づける」「画面を見なくてよい」「使い続けられる負担感のなさ」といった視点が重視されていることがわかり、首掛け型と手首型の振動デバイスによる接近通知という構成に落とし込みました。

プロトタイプを用いた実証実験や、13名に参加頂いた先行体験では、聴覚障害のある方から、「歩く時の後ろから接近するものに対しての不安や恐怖が減った」、「歩く時の気持ちが楽になった」と喜びの声を多くいただきました。一方で、検知デバイスを首から掛けることで周りの視線が気になるといった声もあったため、デザインをブラッシュアップすることにしました。

それだけでなく、交通量・歩道の有無・道幅といった安心要素に配慮したルートを提案するナビ機能をスマートフォンアプリに追加搭載することで、日常的なお出かけへの意欲や心の余裕を高めること、そして気軽に行動範囲を広げられることを目指して、体験価値全体の設計を行いました。

左写真:首の後ろに平べったいマウスのような試作品デバイスを付けている後ろ向きの男性。 右写真:フットサルパークでの先行体験の写真。右側に自転車で後方から近付いている男性。左側にいるコデカケを装着した女性は、自転車の接近に気付いて後ろを振り返っている。

左写真:最初のプロトタイプ、右写真:外出に近い状況での先行体験の様子

3

解決できているか検証​​

改良したプロトタイプは、街なかでの実証実験を通じて検証し、当事者からは「振動のおかげで背後を気にせず歩けた」「安心して遠くまで行けるようになった」といった声が寄せられました。

また、「スマートウォッチとの連携があると使いやすい」「通知だけでなくルート選択の安心感がありがたい」といった追加要望も得られ、今後の改良につながる視点も明らかになりました。

左写真:街中で実証実験の内容について男性二人が確認している写真。左側にスタッフの男性が机の上に置いたタブレットを見せている。右側の白髪の男性は、向かいに座ってタブレットを見ている。 右写真:街中での実証実験の写真。左手前の車が右向きに写っており、真ん中にいる白髪の男性が振り返っている。

2023年5月~7月に実施した実証実験のようす

1

構想段階で対話からインサイトを得る​

プロジェクトの出発点は、聞こえにくい・聞こえない方との対話で挙がった「後ろからの自転車や車に気づけず、外出時に不安を感じる」という声でした。対話を重ねる中で、補聴器や人工内耳を使っていても、後方からの接近音は聞き取りづらく、事故や緊張感の要因になることが多いという課題が明らかになりました。また、行ったことのない場所に出かける際は事前に安心なルートを調べる手間もかかり、その結果、外出が面倒になることや行動範囲を狭めていることも多いそうです。
さらに、子どもがいる聴覚障害者は、自分の安全だけでなく子どもにも注意を向けなければならないため、気疲れしやすかったり 、コミュニケーションが取りづらいという問題も抱えていることがわかりました。

対話では、慣れない場所への外出時には、スマートフォンの画面を見る時間が増え、周囲の変化に気づきにくいという副次的なストレスが生じることも教えていただきました。この課題をどう解決できるか一緒に検討を始めました。

写真:質問テーマ「屋内外での困りごとの度合い」がスクリーンに投影されている、オンラインミーティングの画面キャプチャ―。

聴覚障害のある方へのヒアリングのようす

2

対話を重ねて解決方法をブラッシュアップ​​

対話を通じて、外出時には「通知に気づける」「画面を見なくてよい」「使い続けられる負担感のなさ」といった視点が重視されていることがわかり、首掛け型と手首型の振動デバイスによる接近通知という構成に落とし込みました。

プロトタイプを用いた実証実験や、13名に参加頂いた先行体験では、聴覚障害のある方から、「歩く時の後ろから接近するものに対しての不安や恐怖が減った」、「歩く時の気持ちが楽になった」と喜びの声を多くいただきました。一方で、検知デバイスを首から掛けることで周りの視線が気になるといった声もあったため、デザインをブラッシュアップすることにしました。

それだけでなく、交通量・歩道の有無・道幅といった安心要素に配慮したルートを提案するナビ機能をスマートフォンアプリに追加搭載することで、日常的なお出かけへの意欲や心の余裕を高めること、そして気軽に行動範囲を広げられることを目指して、体験価値全体の設計を行いました。

左写真:首の後ろに平べったいマウスのような試作品デバイスを付けている後ろ向きの男性。 右写真:フットサルパークでの先行体験の写真。右側に自転車で後方から近付いている男性。左側にいるコデカケを装着した女性は、自転車の接近に気付いて後ろを振り返っている。

左写真:最初のプロトタイプ、右写真:外出に近い状況での先行体験の様子

3

解決できているか検証​​

改良したプロトタイプは、街なかでの実証実験を通じて検証し、当事者からは「振動のおかげで背後を気にせず歩けた」「安心して遠くまで行けるようになった」といった声が寄せられました。

また、「スマートウォッチとの連携があると使いやすい」「通知だけでなくルート選択の安心感がありがたい」といった追加要望も得られ、今後の改良につながる視点も明らかになりました。

左写真:街中で実証実験の内容について男性二人が確認している写真。左側にスタッフの男性が机の上に置いたタブレットを見せている。右側の白髪の男性は、向かいに座ってタブレットを見ている。 右写真:街中での実証実験の写真。左手前の車が右向きに写っており、真ん中にいる白髪の男性が振り返っている。

2023年5月~7月に実施した実証実験のようす


※障害の漢字表記に関して:スムーズな読み上げを実現するために、障害という単語を漢字で表記しています。