ジブチの難民キャンプへ届いたあかりを
高校生視点でレポート
2022年7月21日
「みんなで“AKARI”アクション」が2018年に活動をスタートしてから、世界各地のさまざまな無電化地域へソーラーランタンを届けてきました。今回は、東アフリカに位置する「ジブチ」の難民キャンプへの寄贈について取り上げます。お話を伺うのは、現地で配布活動に協力された元アイキャン ジブチ駐在員の柴田康平さん。インタビュアーは、学生団体ReReのメンバーで、「みんなで”AKARI“アクション」の活動に賛同されている高校生のれいなさんです。今回は高校生視点のレポート、さてどんな話が飛び出すでしょうか。
日本の四国ぐらい小さな国、ジブチ
寄贈先であるジブチとは、人口100万人ほどの小さな国です。治安がよかったり、言語が周辺国と共通のソマリ語だったりという理由で、近隣国であるエチオピアやソマリアなどの4カ国から多くの難民がやってくるそうです。柴田さんによるとジブチは「世界一熱い国」と呼ばれていて、夏には夜でも気温が39℃を超える日もあり、1年の中でもっとも気温が低い12月でも夜間20℃程度はあるそうです。
そんなジブチには3つの難民キャンプがあり、今回ソーラーランタンの配布先となったのは、そのうちの1つ「ホルホル難民キャンプ」です。約8,300人の方が暮らしており、40%が0~17歳の若い人たち。柴田さんが所属されていたNPO法人アイキャンは、現地で子どもの保護活動として、1対1のカウンセリングや、子どもたちが思いっきり遊べる環境を整える活動、さらには子ども議会なども行っているそうです。今回の活動では、現地の方と協力してホルホル難民キャンプで暮らしている828世帯へソーラーランタンが届けられました。
サッカーが大人気。子どもたちの生活とは
子どもの遊びについて聞くと、男の子たちの間ではジブチでもサッカーが大人気。小さい女の子はお母さんのそばで石を積んだりして遊ぶ様子を、柴田さんはよく見かけたそうです。女子高校生ぐらいになると、携帯電話を持っている方が多いので、流行のものなどはYouTubeなどインターネットから情報を得やすく、現在は世界的人気のある韓国のアイドルグループがジブチでも人気だそうです。
でも、ジブチでは中学生や高校生ぐらいの年齢の女の子は、大半が遊びよりも家事をお手伝いするのが普通。柴田さんは「女の子も家のお手伝いではなく、自分の時間として遊んだりできるように」ということが今、社会的に注目されている課題だと話されました。
ジブチの生活は、とても朝が早く、宗教上、朝のお祈りのために4時半には起きて、5時半に朝食。子どもたちの学校は朝7時から18時まで。でも、昼間はとんでもなく熱くなるので、11時から15時ごろまでは自宅に帰って休むのが一般的です。電気がないので、日が落ちると村全体が真っ暗になり、夜はまったく勉強ができません。そんな状況のホルホルキャンプに2022年1月、「みんなで”AKARI“アクション」の活動でソーラーランタンが届きました。
夜に勉強する子どもたちの数は、なんと35%から94.3%へ!
気になるのは、ソーラーランタンが届いたことで、子どもたちの生活がどんなふうに変わったか。配布から1ヵ月ほど経った、2022年2月上旬に柴田さんたちが調べた資料があります。
なんと夜に勉強をするようになった子どもが、ソーラーランタンが届く前は35%だったのが、94.3%にも増えたんです。94.3%といえば、インタビューを行ったほとんどの子どもたちですから、すごいですね。世界一熱い国のジブチだからこそ、夜の過ごしやすい時間帯は、勉強にとっても適しているのかもと思います。今までは、もっと勉強したくてもできなかった子どもたちも多かったのではないでしょうか。
それならソーラーランタンのおかげで、どれくらい学習能力が上がったんだろうと興味が湧いて、柴田さんに聞いてみると「私もとても気になるところですが、学習能力についての調査はこれからなんです。でもすごく楽しみですね」と答えてくれました。今後1年、2年と経っていくと、大きな変化が見られるのではないかなと私も楽しみになりました。
ちなみに雨が降って充電できないときはどうするのだろうと気になったのですが、「ジブチは年に10数回しか雨が降らないので、ほとんど問題ないんです」と現地の方が言っていると柴田さんが教えてくれました。配布されたソーラーランタンは1回のチャージで約60時間、だいたい2日間は使えるそうなので、それなら安心ですね。中にはお手伝いとして毎朝の充電が日課となっている子どももいるそうです。
そんな柴田さんは2021年3月から2022年3月まで1年間、ジブチで活動されていました。なぜ、アフリカでの活動を希望されたのかなと思って聞いてみると…。
「以前、JICA海外協力隊に参加した時、ジブチの難民キャンプに2泊3日で宿泊する機会がありました。食事はすべて難民キャンプの方たちがお世話をしてくれたのですが、自分たちが普段は食べないようなフライドチキンやジブチの伝統料理などでもてなしてくれて、本当に嬉しくて感動しました。でも、自分は何も残せなかったという想いが強くて…。それがきっかけで、難民の方たちの生活を支えられるような関わりを続けていきたいと思ったんです。」とにこやかに答えてくださいました。
実は、私は看護師を志望していたこともあって、柴田さんの難民キャンプの方々への想いになんだか近しいものを感じて、共感の多いインタビューとなりました。
協力団体 : 特定非営利活動法人アイキャン
アイキャンは、一人ひとりの「できること」を持ち寄り、貧困・紛争・災害による影響を受けた子どもの能力向上や地域の環境改善に取り組む国際協力NGOです。世界中の子どもたちが権利を享受し、将来にわたり自立した生活を送れる平和な社会の実現を目指しています。
「みんなで”AKARI”アクション」は使い終えた本・CD・DVD・おもちゃなどをリサイクル頂くことで、どなたでも無電化地域にあかりを届けることができます。皆さまの行動が世界の誰かの未来を照らすことに繋がります。あかりを無電化地域に届ける活動に、ぜひご参加ください。