フェアトレード商品の社内消費を促す提案書と制度設計で「認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン」を支援

認定NPO法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン

パナソニックグループは、従業員が仕事で培ったスキルや経験を広く社会に役立て、NPO/NGOの事業展開力強化を応援する「Panasonic NPO/NGOサポート プロボノ プログラム」を2011年4月から展開してきました。
今回は8人の従業員がチームを組んで、「認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン」を支援しました。プロボノチームは2022年7月7日から、フェアトレード認証制度及びその活動への理解の深堀り、ステークホルダー10団体へのヒアリングや先行する認証商品の社内使用を支援するフェアトレード海外団体の制度の分析などを進めてきました。そして11月10日にオンラインで、企業向けのフェアトレード認証商品「社内消費推進提案書」、フェアトレードの普及に貢献している法人に向けた「フェアトレード・ワークプレイス制度」の設計骨子案とHPコンセプトという3つの成果物を提示し、最終報告を行いました。

さらなる普及を目指す日本のフェアトレード市場
プロボノの力を借りて市場拡大を狙う

「認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(以下、FLJ)」は国際フェアトレードラベル機構のメンバーとして、日本におけるフェアトレードの認証・ライセンスや普及啓発活動をしている団体です。
途上国の生産者が貧困に打ち勝ち、自らの力で生活を改善していけるように、フェアトレードラベル運動を通して企業・市民・行政の意識改革をし、フェアトレードの理念を広め、より公正な貿易構造を根づかせるために活動してきました。しかし、日本の市場規模も近年、大きく成長しているものの、グローバルに拡大するフェアトレード市場の中ではまだ限定的であり、市場拡大に向けたマーケットを創出する必要がありました。

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認定NPO法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン
シニアディレクター 中島 佳織さん

FLJとパナソニックとの関係が始まったのは2006年。前事務局長でシニアディレクターの中島佳織さんは、「サポートファンドの環境分野で支援を受けたり、マーケティングの研修に参加したりしてきました。どのプログラムも、組織自体を強くしてくれるところが魅力でした」と振り返ります。
一方で、「もっとこんなこともやれるはずだと見えてはいても、4、5人の事務局メンバーではできないことだらけ。フェアトレードを広めるためにも、外部の力を借りる必要がある」と思い、今回プロボノに応募しました。

企業10社へのヒアリングをもとに営業資料を作成
海外の先行事例を調べ、日本版の認定制度を設計

フェアトレードをより大きな社会ムーブメントにするために、法人での消費を促進したいとの依頼を受けたプロボノチームは、企業内の食堂・喫茶・売店・自動販売機などで、フェアトレード認証商品を取り扱う企業を増やすための営業活動ツールを作成することにしました。そこでまずは、フェアトレード認証商品を取り扱っていたり、または社内消費にすでに取り組んでいる団体などステークホルダー10社にヒアリングを行い、営業のターゲットや訴求内容などを絞っていきました。
さらに追加で、海外で先行している、社内消費に取り組む企業の認定制度「フェアトレード・ワークプレイス」の日本版を立ち上げたいとの依頼を受け、制度設計と、この制度のHPコンセプト企画を検討することになりました。
最終提案では、この3つの成果物について発表を行いました。

「企業向け社内消費推進提案書」は14ページで構成された資料で、ヒアリングの声を活かして、できるだけインパクトのある写真をたくさん載せました。
冒頭では、多くの通常貿易が児童労働・貧困・気候変動などの課題を抱えていることを提起し、それらを解決するフェアトレードの仕組みや、最低価格保証と生産地域の社会発展のための資金「フェアトレード・プレミアム」、フェアトレードに参加するメリット、導入のステップ、すでに取り組んでいる先駆者の声、フェアトレード・ワークプレイス制度などについて紹介しました。
そして最後のページには、フェアトレード認証商品の取り扱い企業リストを掲載し、サンプルなども取り寄せられるようにしました。

フェアトレード・ワークプレイス制度については、プロボノメンバー全員が初めて聞く言葉でした。そこで、先行しているイギリス・カナダ・オランダなど各国の制度について、多言語で書かれたウェブサイトを調べ、対象商品・登録条件・登録方法・得られる特典などを一覧表としてまとめ、類似制度との比較も行いました。
そこから、日本の風土や社会環境に合わせた日本版の制度を検討しました。
さらに、運用開始までに解決が必要な残課題についても整理しました。

フェアトレード・ワークプレイス制度のHPについては、FLJ のHPの「参加しよう」というページからアクセスすることを想定しました。HPのコンセプト企画では、フェアトレード商品の社内消費にすでに取り組んでいる企業や、これから取り組もうとしている企業が制度のことを知り、メリットを感じて登録するという流れを想定して、認定制度の詳細や認定企業の取り組み事例、認定取得のステップ、海外の事例などを盛り込みました。必要に応じてリライトできるように、データはPDFだけでなく、パワーポイント形式でも納品しました。

最終提案を受けての感想

潮崎 真惟子さん(FLJ 事務局長)

広範囲のことをお願いし、これだけ大人数のメンバーに関わっていただいたのに、全体が一貫して整合性の取れた成果物が完成したのは、皆さんのチームワークの賜物だと思います。フェアトードの市場拡大を早く実現したいという焦りを抱える中で、皆さんからの温かい寄せ書きを読んで、心を打たれ非常に励みになりました。今、日本に皆さんよりフェアトレードの社内消費に詳しい人はいないんじゃないかと思うくらい、心強いメンバーでした。これから残課題を詰めて、来年の春頃までには制度の発表にこぎつけたいと思います。

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中島 佳織さん(FLJ 前事務局長・シニアディレクター)

フェアトレードだけでも理解するのが大変なのに、そこからさらに認証やワークプレイスといった得体のしれないものを解明し、ゼロから制度設計し、私たちの思いにフィットするものをつくり上げてくださったことに感激しています。フェアトレードに出合って、かれこれ25年。先を走るヨーロッパの仲間を見るたびに、日本ではなぜこんなにも進まないのかとくじけそうになりますが、プライベートの時間を削ってまで毎週ミーティングしてくださった皆さんの存在が、また頑張ろうという私自身のモチベーションにもなりました。

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プロボノチームの感想

  • 田中 かおるさん
    フェアトレードについては、聞いたことはあるけど、詳しく聞かれたら何のことかわからないという状態から、プロボノメンバーは忙しい合間を縫って、真剣に調べ、ずっと考え続け、成果物をつくり上げました。「仲間(カンパニー)」という成果物以上のものも得ることができました。
  • 今田 かす美さん
    以前から海外に関わるボランティアをしたくて、児童労働問題に取り組むFLJさんのプロボノに参加しました。プロボノメンバーは得意分野をもつ人の集まりで、自分は場違いじゃないかとも思いましたが皆さん温かく、FLJの二人も温かくて、すっかりファンになりました。
  • 田中 美紀さん
    仕事のオンライン化で余裕ができたので、自分のスキルを活かしながら取り組めるプロボノに参加しました。定期的に議論できたのも、オンライン化のよさだと思いました。フェアトレード商品は、こんなに普及活動をされているのに、手に取りやすいところにはなかなかなくて、さらに広げていく必要性を実感しました。
  • 森岡 亜也子さん
    プロボノ活動を通して、本来なら知り得なかった社内外の人たちと知り合えたことが私の何よりの財産です。いったん離れてはしまいますが、これをご縁に、これからも意見の交換をしたり、イベントに参加したりして、FLJさんとは長くつながっていきたいと思いました。
  • 天羽 千佳さん
    国際協力関係の学部出身で、学生時代はボランティア活動をしていました。今回は十数年ぶりの挑戦で、刺激的な時間を過ごせました。業務外のネットワークをしっかり築き、そこで得た知識や経験を自分の業務に落とし込むことで、自分も会社もより成長できるのではないかと感じています。
  • 越智 奈津子さん
    同じ会社にいながら、様々なスキルや知識をもつプロボノメンバーと出会い、自己観照することで成長できました。経理なので、普段は社外のお客様に提案する機会がありませんが、今回マーケッターとなって、いろいろな企業の方にヒアリングをしたことで、フェアトレード商品の社内消費についても考えさせられ、刺激を受けました。
  • 藤井 紀さん
    プロボノ活動は自分にとってプラスになったので、職場でも、その魅力をPRしたいと思っています。FLJのお二人は、今まで出会ったことがないタイプの素敵な方々で、そのうちテレビなどにも出演されるのではないかと楽しみにしています。今後も、さまざまな企業や団体の支援を受けながら、フェアトレードの活動を成功に導いてください。
  • 三好 卓也さん
    色々と全員でFLJさんも含めて試行錯誤しながらの4カ月でしたが、最後に、みんなで感激を分かち合えるような活動ができてよかったと思います。
    また、FLJさんが知名度が高く社会へのインパクトの大きな活動を、これまでほんとうに小さな事務局メンバーで生み出しておられることには衝撃を受けました。
    昨今フォローの風を受ける大きな社会善に向かう活動に今般少しでも関われたことは、自分にとって大きな喜びでした。
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最終提案を終えたプロボノメンバーとFLJの皆様

認定NPO法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン

1993年設立。国際フェアトレードラベル機構のメンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業、フェアトレードの教育啓発活動を主に行っている。