概要
近年の家電製品(以下、家電)には、凹凸が無いフラットな操作ボタン(以下、ボタン)が増えています。お手入れのしやすさや見た目の美しさが評価されていますが、 一方で「視覚でしかわからず操作しづらい」「どのボタンが何か分かりにくい」といった声が、パナソニックに寄せられました。
特に視覚障害者、子育て中の方や高齢の方もタッチ操作が難しいという声があることがわかりました。そこで共通する「しっかり目視しながら操作するのが難しい」という課題に対し、手がかりとなる後付け可能なアタッチメントチップを作成しました。
ご自宅の家電に合わせてアタッチメントチップを3Dプリントして頂けるデータを無償公開しています。使用する方の指のサイズに合わせて、ご自身でカスタマイズも可能です。詳細は特設サイトをご覧ください。
構想段階で対話からインサイトを得る
見えない・見えにくい方との対話の中で、「レンジなど、たくさんボタン並んでいる家電は何のボタンか分からない。」という声があがりました。その方はすでに、ご自身で凹凸のあるシールを購入し、家電のボタンに貼って手がかりにされていましたが、複数の機能の区別には向いていなかったようです。
そこで、ご要望のあった、トースト(食パン)、解凍(魚)、飲み物あたため(マグカップ)、ごはんあたため(茶碗)の代表的な操作ボタンをピクトグラムを触覚記号にし、貼り付けることのできるツールを3Dプリンターで作成して、実際にご自宅で確認していただきました。しかし何度か試して頂いても、これらの形状はいずれも指先だけでの判別が難しく、読み取りにくさへの十分な解決策を見つけられない日々が続きました。
対話を重ねて解決方法をブラッシュアップ
見えない方・見えにくい方、リウマチの方、高齢の方などとともに、パナソニックのデザイナー複数名が連携してよりよい解決策を探るワークショップを実施しました。
その場でアイデアを出し、3Dプリンターで出力し、試してみることを繰り返し、シンプルな記号であれば判別可能であることや、ボタンの周りに枠があることで指であたりを付けられることなど様々な発見がありました。
その際、小さいお子さんがいる方から、「家事中に子どもを抱っこしていたり、子どもの相手をしていると、集中できないため操作ボタンが押しづらい。特にフラットな操作ボタンはしっかり見て押さないと反応しない。」という困りごとがあることや、認知症の方から、「デザインによってはどこがボタンか、認識できなくなってしまう」という意見もあったことから、ボタンの位置がわかりやすいアタッチメントチップは、見えない・見えにくい方に限定せず、価値を提供できそうだということがわかりました。
解決できているか検証
ワークショップで触知できる記号を絞り込んだ後は、社会福祉法人日本ライトハウス様にご協力いただきながら、点字が読める指先の繊細な方だけでなく、指先の感覚が鈍い人も判別しやすい触覚の条件を検証しました。実際に電子レンジやIHクッキングヒーターにアタッチメントチップを貼り付けて、ボタンの使いやすさ・操作性の観点で検証も行いました。
また、この検証から、固定された形・サイズに限定せず、基本サイズに加えて個々人の条件に合わせてカスタマイズできるようにすると、さらに多様な利用者にとって有効であると分かりました。そこでパナソニックでは、全国で3Dデータのダウンロードと出力をサポートできるコラボレーターを有する、特定非営利活動法人ICTリハビリテーション研究会が運営する「自助具をつくる活動を支援するプラットフォーム COCRE HUB」と連携。利用者が安心してアタッチメントをダウンロード・活用できる環境を整えました。
構想段階で対話からインサイトを得る
見えない・見えにくい方との対話の中で、「レンジなど、たくさんボタン並んでいる家電は何のボタンか分からない。」という声があがりました。その方はすでに、ご自身で凹凸のあるシールを購入し、家電のボタンに貼って手がかりにされていましたが、複数の機能の区別には向いていなかったようです。
そこで、ご要望のあった、トースト(食パン)、解凍(魚)、飲み物あたため(マグカップ)、ごはんあたため(茶碗)の代表的な操作ボタンをピクトグラムを触覚記号にし、貼り付けることのできるツールを3Dプリンターで作成して、実際にご自宅で確認していただきました。しかし何度か試して頂いても、これらの形状はいずれも指先だけでの判別が難しく、読み取りにくさへの十分な解決策を見つけられない日々が続きました。
対話を重ねて解決方法をブラッシュアップ
見えない方・見えにくい方、リウマチの方、高齢の方などとともに、パナソニックのデザイナー複数名が連携してよりよい解決策を探るワークショップを実施しました。
その場でアイデアを出し、3Dプリンターで出力し、試してみることを繰り返し、シンプルな記号であれば判別可能であることや、ボタンの周りに枠があることで指であたりを付けられることなど様々な発見がありました。
その際、小さいお子さんがいる方から、「家事中に子どもを抱っこしていたり、子どもの相手をしていると、集中できないため操作ボタンが押しづらい。特にフラットな操作ボタンはしっかり見て押さないと反応しない。」という困りごとがあることや、認知症の方から、「デザインによってはどこがボタンか、認識できなくなってしまう」という意見もあったことから、ボタンの位置がわかりやすいアタッチメントチップは、見えない・見えにくい方に限定せず、価値を提供できそうだということがわかりました。
解決できているか検証
ワークショップで触知できる記号を絞り込んだ後は、社会福祉法人日本ライトハウス様にご協力いただきながら、点字が読める指先の繊細な方だけでなく、指先の感覚が鈍い人も判別しやすい触覚の条件を検証しました。実際に電子レンジやIHクッキングヒーターにアタッチメントチップを貼り付けて、ボタンの使いやすさ・操作性の観点で検証も行いました。
また、この検証から、固定された形・サイズに限定せず、基本サイズに加えて個々人の条件に合わせてカスタマイズできるようにすると、さらに多様な利用者にとって有効であると分かりました。そこでパナソニックでは、全国で3Dデータのダウンロードと出力をサポートできるコラボレーターを有する、特定非営利活動法人ICTリハビリテーション研究会が運営する「自助具をつくる活動を支援するプラットフォーム COCRE HUB」と連携。利用者が安心してアタッチメントをダウンロード・活用できる環境を整えました。
※障害の漢字表記に関して:スムーズな読み上げを実現するために、障害という単語を漢字で表記しています。