子どもたちの好奇心を尊重しようと
活動する団体との出会い。
自分と社会の見え方が変わった
プロボノ経験
従業員プロボノ参加者 武永 かなえさん
「Play Friendly Tokyo ~子どもの遊びにやさしい東京を~」をビジョンに掲げる一般社団法人『TOKYO PLAY』への支援に参加した、武永さん。子どもたちの遊びに対する好奇心を尊重し、遊ぶことの価値を社会に広める活動に関わったことで、それまで自覚してなかった自分の得意に気づいたり、社会の見え方が変わったという。プロボノ参加前後の武永さんの気づきや、仕事での変化を聞いた。
バックオフィスから、現場へ。人と触れ合いながら自分の“得意”を見つけたい
会社ではバックオフィス寄りの業務を担当している関係で、直接担当している商品はありません。そのため、実際に販売される商品に触れたり、お客さまの存在を実感したりする機会があまりないんです。「幸せな世の中のために、社会に良いインパクトを残したい!」という想いで入社したこともあり、生活者の方と対話しながら社会の実態を知りたい気持ちが日増しに強くなっていました。もし、自分が取り組んだことの影響力を実感できるフィールドに出て、いろんな人と出会う機会があれば自分の得意・不得意も今より見えてくるのではないかと思い、プロボノへの参加を決めました。
私が参加したプロジェクトでは、一般社団法人『TOKYO PLAY』に対して、彼らのビジョンに共感して協力してくれる人を募るための団体紹介資料を作りました。『TOKYO PLAY』は、「子どもたちが遊べる環境を作る大人」があらゆるセクターで増えるために活動をしている中間支援組織です。私はもともと心理学やメンタルケアの分野に関心があり、建築学を専攻していた大学時代も照明を活用して人の心をどのように動かせるかをテーマに研究していたので、支援先団体がテーマとしている“遊び”も人の心を豊かにする活動の一つだと思い、このプロジェクトへの参加を選びました。
誰かの「やりたい!」を支えたい。NPOと活動して気づいた自分の得意
自分に利益やメリットがあるからではなく、社会をより良くしたい一心で自主的に地域活動をする人たちの存在に触れられたことは、プロボノを通じて得た大きな経験になりました。支援先の代表である嶋村さん、通称「メダカさん」の言動一つひとつには、子どもたちの遊ぶ環境をより良くしたい気持ちが溢れていました。子どもと接するときは「大人と子ども」として接するのではなく、「人と人」として接し、子どもたちのワクワクする心を尊重する姿勢が印象的で、自分の夢や目標を何度も言葉にして発信し、団体内外問わず、その想いに共感した人をどんどん巻き込んでいくんです。もちろん、プロボノに参加する前からこのようなNPOの存在は知っていましたが、実際に活動している人と出会ったことで、自分の実感を伴った経験に落とし込めました。
また、メダカさんをはじめとする支援先団体との活動を通じて、自分はビジョンを持って突き進むタイプではなく、何かやりたいことがある人をサポートする役回りが得意であると気づきました。きっかけは、支援先の団体紹介資料を作るために、彼らの思想やビジョンを言語化したことです。もともと、彼らは「好奇心の有無に関わらず、子どもは皆遊ぶべき」と考えているのだと思っていたのですが、実際には「子どもの遊びたい気持ちや好奇心を尊重し、その妨げとなるハードルを取り払いたい」という想いを持っていたんです。支援先とプロボノチームの間に認識の違いがあったとわかり、より正確に彼らの思想を伝えるためにはどんな言葉を使うべきか、私たちが壁打ち役となって整理しました。言語化作業の後は、資料作りに必要なwebツールなどの提案を行い、少しずつチームで資料を仕上げていきました。
私自身、人に伝わるように言葉を整理したり、webツールを使うことが難なくできたことで、ビジョンを語って人を巻き込むことはできずとも、得意な分野を活かしてやりたいことがある人をサポートしたいと思うようになり、自分の資質にも新たな気づきがありました。
働く場所・生活環境を見直し、まちで暮らす人の解像度を高める
ビジネス視点で物事を考えるときには、世の中の人たちを“ターゲット”として捉え、「どうしたらその人たちに商品を買ってもらえるか?」を考えることが求められます。一方で、ビジネスの枠組みを外して社会を観察すると、まちの中で暮らす人たちは“ターゲット”ではなく、自分と同じ社会で生きる“一人の生活者”という視点に変わります。ビジネス以外の視点も取り込むことで、まちで暮らす人たちを色んな角度から捉え、よりリアルな社会の実態に触れられるのではと感じたんです。この感覚は、地域貢献を主題として活動するNPOの人たちとの活動を通じて、一段と強く実感するようになりました。
ビジネスをしていてもこの感覚を忘れないよう、プロボノに参加した後から可能な限り、出勤場所や時間、生活環境に変化を生み出せるよう挑戦しています。同じオフィスに同じ時間に通勤しているだけでは、普段自分の目に触れる人も限られてしまいますよね?そこで、出社時間をずらしたり、別のオフィスで勤務したり、時には別部署や外部の方と対話する機会を設けてみたりすることで、日々多くの人に触れられるような環境を作りました。実際にやってみると色々な発見があって、例えばLuup(ループ)をはじめ移動手段として利用できるシェアリングサービスは平日の稼働率が低いと思っていたのですが、日中まちなかを移動していると駅間の移動や買い物客、UberEatsの配送員の方などが多く利用しており、乗り放す先に偏りが出るまでになっているなど、小さな発見がありました。自分が持っていた視野は案外狭かったんだなと気づくことができました。
環境とミッションの変化が人の成長につながる
プロボノを通じて、NPOで活動する人たちと出会ったり、働く環境を変えてみたりしたことで、自分が思っていたより世の中の人たちは多くの活動を日々行っているんだという発見がありました。これからも会社はもちろんのこと、自分に合う環境やフィールドで、やりたいことがある人をサポートできるような活動に取り組んでいきたいです。
社内プロボノの場合は、チームメンバーのスケジュールや会社で抱えているタスク量なども概ね把握することができます。例えばメンバーが社内業務で忙しそうな時は、プロボノのミーティングを欠席しても議事録で進捗を共有していました。また、タスクの期日が厳しい時は進行管理の調整を相談しあい、お互いに助け合う環境が整っていました。日々の業務に新しいタスクがプラスされることへの不安があるかもしれないですが、フォローしあって進めることができるので、環境とミッションを変えて自分の成長につながる経験がしたい人にはぜひおすすめしたいです。
「やりたいことがある人をサポートしたい」。自分の得意なことを発見すると共に、普段から視野を広げるための方法を見つけた武永さん。普段と異なる場所・人・テーマで活動できるプロボノは、自分が持っていなかった視点に気づくと共に、自分の現在地を再発見できる場でもあるのかもしれない。
武永さんが参加したプロボノプロジェクト
「子どもの遊びが大切にされる社会」の実現に向けて取り組む中間支援団体「TOKYO PLAY」に5人の従業員がチーム組んで、ビジョンに共感して協力してくれる人を募るための団体紹介資料の作成に取り組みました。