ワールドワイドオリンピック パートナーのロゴ ワールドワイドパラリンピック パートナーのロゴ 平昌 2018

オリンピック大会の舞台裏

オリンピック大会の舞台裏 最新技術ときめ細かい運営が
支える厳寒のセレモニー「開閉会式」

写真:平昌冬季オリンピック閉会式で会場中央に登場した光の塔のセレモニーが行われている様子
顔写真:パートナー企業ETC社 Patrice Bouquniaux

Patrice Bouquniaux
ETC社(パートナー企業)
現場責任者

顔写真:POCOG セレモニー関係者 Jace Oh

Jace Oh
平昌冬季オリンピック組織委員会(POCOG)
セレモニーディレクター

顔写真:パナソニック コネクティッドソリューションズ社 寺西 修二

寺西 修二
パナソニック コネクティッドソリューションズ社
メディアエンターテインメント事業部 マーケティング部

オリンピック開幕の期待感を頂点へと盛り上げる開会式。熱戦の興奮と余韻を胸に健闘をたたえ合う閉会式。その時々の大会を強く印象付ける、失敗が許されない壮大なセレモニーに、パナソニックはリオ2016大会に続き取り組んだ。映像に盛り込んだ数々の最新技術、そして風や寒さが厳しい屋外の環境でそれらを安全に稼働させるきめ細かい運営への配慮があってこそ、人々の記憶に感動を刻む数々のシーンが繰り広げられたのだ。

もっと明るく、もっと鮮明に。レーザープロジェクターの開発

リオ2016大会に続き、パナソニックは平昌2018冬季大会でふたたび映像によるセレモニー運営のサポートという重責を担うことになった。リオ2016大会での経験を活かし、さらにパワーアップして人々の印象に残る開閉会式へと挑戦するために、パナソニックには大きなテーマがあった。オリンピックのセレモニーへの、レーザー光源による高輝度プロジェクターの本格的な導入だ。

リオ2016大会では、試験的に1台だけ使用した高輝度のレーザープロジェクター。これをふまえて30,000ルーメン級の明るさを備えた製品化へと開発が進められた。パナソニック コネクティッドソリューションズ社の寺西修二は語る。 「平昌2018大会の開閉会式に向けてのレーザープロジェクターの開発テーマは、もっと明るさを増してパワーのある絵を出すことでした。高輝度で高画質、色の再現性の良さを追求するのはパナソニックとしては当然ですが、そこにレーザー光源ならではの機器の安定性、軽量、コンパクトを実現するよう、技術陣が中心になって取り組みました。」

パナソニックだから設置や調整の時間を短縮できる

平昌2018大会では、新開発の30,000ルーメン級レーザープロジェクター、PT-RZ31K が80台導入された。従来のランプ式光源と比較して、画質の良さはもちろん、オリンピックでは軽量、コンパクトという特長が生きる。オリンピックなどのイベントでは、どれだけ設備の設置期間を短縮できるかが重要なポイントとなる。コンパクトで軽量なパナソニックのレーザープロジェクターなら設置時間が短くて済むため、開会式のような長時間にわたるパフォーマンスのリハーサル時間の確保にも効果を発揮するのだ。

オリンピックの開閉会式で繰り広げられる壮大なパフォーマンスは、今やプロジェクションマッピングなしには成立しない。それだけに画質に求められるクオリティも高度になる。世界から集まる映像関係のプロフェッショナルの視点もシビアだ。寺西は語る。 「開閉会式では、イベントのシーンごとに画質に関する非常に多くの調整が必要になります。パナソニックでは、この重要な画質調整に対して、長年プロジェクターで培ってきた調整ファンクションを持っている点が大きいといえます。そうして積み重ねた技術は製品にも反映されていきます。」

過酷な環境でも安定した運用を、次の東京2020大会にも

冬季オリンピックは寒さとの戦いだと言われる。特に2月の平昌はマイナス20℃以下に冷え込む。会場の平昌オリンピックスタジアムで、プロジェクターは “キャビン” と呼ばれる5つの部屋に格納される。キャビン内は外気温に近い氷点下に冷えるが、いったんプロジェクターが稼働すると、室温は45~50℃にも上昇したのだ。あらかじめ想定して繰り返していたテスト環境を上回る気温差は、精密な調整を要する画質にも影響してしまう。パナソニックのスタッフは多忙な調整作業のなか、急遽ヒーターを調達したり排気に工夫したり、温度差が大きくならないような対応をする必要があった。

パナソニックのオペレーションパートナーであるETC社の現場責任者 Patrice Bouquniaux はそんなパナソニックの対応に信頼を寄せる。「このような大舞台を手掛ける際は、特にプロジェクターは性能の最大限まで活用します。このような大規模な屋外での展示には最高水準の技術が必要です。そしてそれを可能にしているのはエンジニアとの強力なコラボレーションです。リオ2016大会にも参加していた優秀なエンジニアや、同等レベルの技術を持つスタッフが、極限の天候下でのパフォーマンスを可能にしているのです。」

厳寒のもと、感動的なセレモニーを成功させた平昌2018冬季大会。次の東京2020大会は、猛暑との戦いだ。寺西は2020年へ向けた抱負を語る。 「平昌の厳しい環境下でプロジェクターが安定して稼働してくれたことは大きな成果です。次の東京2020大会では、さらに力強い映像を出せるように、機器の進化とともに我々も進化して、感動を人に与えられるようなノウハウを共有できればと思っています。」