パナソニック ホールディングス株式会社

コーポレート・ガバナンス

1. コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、創業者である松下幸之助の「人々の生活に役立つ優れた品質の商品やサービスを、適正な価格で、過不足なく供給し、社会の発展に貢献することが企業の本来の使命である」という考えに基づき、事業活動を行っています。また、創業者は、こうした使命を持つ企業の持ち主は、社会そのものであると考え、これを「企業は社会の公器」という言葉で表しました。当社は、企業の活動に必要な経営資源である、人材、資金、土地、物資などは、社会からお預かりしたものであり、活動を行う以上、企業はそれらを最大限に活かしきり、その活動からプラスを生み出して、社会に貢献しなければならず、かつ、顧客、事業パートナー、株主、社会等、多くの関係先様と共に発展していくことこそ、企業を長きにわたって発展させる唯一の道であるとし、このような考え方をパナソニックグループの「経営基本方針」に定めています。
当社グループは、事業環境の変化が年々激しさを増し、不透明な状況が続くなかにおいても、より中長期的な視点でグループの経営を進化させ、より確かなものにしていくために、2022年4月、事業会社制(持株会社制)へ移行しました。当社は持株会社として各事業会社の事業成長の支援と、グループ全体最適の観点からの成長領域の確立に特化し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。
当社は、コーポレート・ガバナンスを、経営基本方針を実践するための重要な経営基盤と認識し、グループ全体に関わる重要事項の意思な業務執行を決定し、事業会社を監督する取締役会と、取締役の職務の執行を監査する監査役・監査役会からなる監査役制度を基礎として、当社グループ全体について、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・強化に努めてまいります。​

また、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、以下の取り組みを行っています。

  • 株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
  • 従業員、顧客、取引先、地域社会などのステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果が企業の持続的な成長につながることを認識し、ステークホルダーとの適切な協働に努める。
  • 会社情報を適切に開示し、企業経営の透明性を確保する。
  • 取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、企業戦略等の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを支える環境整備を行い、独立した客観的な立場から経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う。
  • 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、株主と建設的な対話を行う。

2. 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由

(a)企業統治の体制の概要

当社は、2022年4月、事業会社制(持株会社制)へ移行しました。事業会社は「①パナソニック株式会社」(複数の事業分野から構成され、「中国・北東アジア社」「くらしアプライアンス社」「空質空調社」「コールドチェーンソリューションズ社」「エレクトリックワークス社」の5つの社内分社を束ねる)「②パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社」「③パナソニック コネクト株式会社」「④パナソニック インダストリー株式会社」「⑤パナソニック エナジー株式会社」「⑥パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社」「⑦パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社」であり、それぞれの担当領域において事業の進化・変化を促進し、開発・製造・販売および利益・資金に対する自主責任経営を行い、成長戦略の実現を牽引しています。
また、当社は、グループ全体の経営戦略および技術戦略機能、具体的には、グループ中長期戦略の立案・推進によりグループ全体の企業価値向上、および革新技術や生産技術によるイノベーションでの事業貢献、全社の技術開発・モノづくり支援などの機能を担っています。加えて、当社は、グループ全体のオペレーション効率化・高度化プラットフォームの役割を担う「⑧パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社」を設置し、全社共通の制度・基盤・仕組み等の構築、上場・法人維持のための内部監査・内部統制・コンプライアンス機能やステークホルダーへの対応などの全社経営管理機能を連携して推進しています。

<取締役会・執行役員体制>

取締役会は、事業会社の自主責任経営を徹底するとともに、グループ全体に関わる事項の意思決定機関として、スピーディーで戦略的な意思決定と健全で適切なモニタリングの両立を行うべく、グループ全社視点での経営戦略の決定と事業会社の監督に集中することとしています。この役割を実現するため、当社の取締役会は、社外取締役5名を含む取締役12名(社外取締役比率3分の1以上)で構成し(うち2名は女性)、取締役会の全体としての知識・経験・能力の多様性を確保しており、議長は業務を執行しない取締役会長が担当しています。2021年度において、取締役会は13回開催され、会社法が定める取締役会の決議事項、および取締役会付議基準に定める事項を審議し、決議しました。また、社外取締役は、それぞれの豊富な経験と高い見識を基に、議案の審議に必要な発言を積極的に行いました。なお、取締役の責任の明確化を図るとともに取締役会の機動的な体制構築を目的とし、取締役の任期を1年としています。
また、当社は大幅な権限委譲により事業会社の自主責任経営を徹底するとともに、グループとしての企業価値を最大化するため、全社最適視点で当社グループの経営を担う執行責任者制度として「執行役員制度」を採用しています。取締役兼任を含む執行役員は13名であり、「社長執行役員」、特定領域における社長代行者と位置付ける「副社長執行役員」、 特定機能の業務執行責任者である「執行役員」で構成しています。

<監査役・監査役会>

当社は、会社法に基づき、社外監査役3名を含む5名(社外監査役が過半数)の監査役(うち1名は女性)および監査役によって構成される監査役会を設置しています。監査役・監査役会は、ガバナンスのあり方とその運営状況を監視し、取締役の職務の執行を含む日常の経営活動の監査を行っています。また、財務・会計に関する相当程度の知見を有する監査役を選任しています。

<任意の「指名・報酬諮問委員会」>

当社は、任意の「指名・報酬諮問委員会」を設置しており、取締役会からの諮問を受けて、取締役・監査役・執行役員・事業会社社長・事業会社社外取締役の候補者指名に関する社内検討の結果ならびに取締役・執行役員・事業会社社長・事業会社社外取締役の報酬制度の妥当性に関する審議を行っております。また、委員会はグループCEO・執行役員・事業会社社長の後継者候補のモニタリングを行うとともに、委員はグループCEOの交代時期を提案することができます。本委員会の委員は、社外取締役澤田道隆(委員長)、社外取締役冨山和彦、社外取締役筒井義信、取締役会長津賀一宏、代表取締役グループCEO楠見雄規の5名です。社外取締役が委員長を担うとともに、委員の過半数を社外取締役で構成することで、客観性・透明性を強化しています。

<取締役会の実効性の分析・評価>

当社は、毎事業年度末に、取締役会出席メンバーを対象とした取締役会実効性評価を実施しています。実効性評価の結果については取締役会で報告議案として共有し、取締役会出席メンバーから提起された課題及び改善策等について議論を行っています。その議論の結果を踏まえ、今後の取締役会の体制、運営改善等の施策を検討・実施することで、継続的にPDCAサイクルを積み重ね、取締役会の実効性向上及びガバナンスの強化に繋げています。

2021年度においては、2020年度の実効性評価及び2022年度からの事業会社制への移行を踏まえ、以下の取り組みを重点的に行いました。

  • グループの中長期戦略やグループガバナンス等、取締役会が重点的に議論すべきテーマに、より多くの審議時間を充てる
  • 取締役会出席メンバーへの情報提供を目的とするManagement Informationサイトにおいて、取締役会の議案書のほか、PHD戦略会議の議事録や事業会社の取締役会議事録等も掲載し、社外取締役・社外監査役が執行側での議論・検討状況を随時把握できる仕組みを構築する
  • 重要な議案については取締役会外の場で事前説明会を実施する

上記施策を講じた上で、以下の通り、2022年2月に2021年度の実効性評価を実施しました。
実施方法: アンケート形式(選択式+記述式)
アンケート項目:

  • 議案に関する情報提供の十分性
    -取締役会の情報共有(Management Informationサイト)に対する意見・改善すべき点等
  • 取締役会が重点的に議論すべき事項
    -中期経営計画やグループガバナンス等のアジェンダ設定の適切性、社外取締役に期待される役割、各議案の時間配分の適切性等
  • 取締役会のガバナンス強化
    -取締役としての役割を果たすために必要なスキル、社外取締役と経営陣(とりわけ事業会社の経営陣)との間のコミュニケーションの十分性等
  • その他、取締役トレーニング、事業場訪問等

アンケート結果: 2021年度の取締役会の体制及び当社が取り組んできた運営改善の施策については、概ね肯定的な評価を得られました。他方で、以下の課題提起と提案がなされました。

  • 取締役会での議論をより深化させるため、重要議案については取締役会で議論すべき論点・課題・課題解決の方向性を明示すること
  • 議案書の事前共有を条件に、議案の内容によっては説明を簡略化し議論により時間を費やすこと
  • オンラインツール等を活用して取締役会メンバーからの議案に関する事前質問及びそれに対する回答を共有する仕組みを構築すること
  • 社外取締役と事業会社社長との間のコミュニケーション機会を増やすこと

2022年度においては、上記課題解決に向け、取締役会の議論の充実・深化に向けた具体的な施策を実行し、引き続き取締役会の実効性向上及びガバナンスの強化に努めてまいります。

<グループ経営会議/PHD戦略会議>

グループの中長期的戦略や重要な全社横断プロジェクト・委員会、当社または事業会社が実施する重要案件について議論や方向付け・報告を行う場として、PHD戦略会議およびグループ経営会議を開催しています。

グループ経営会議:原則として月1回の頻度で開催しています。グループCEO楠見雄規が議長となり、事業会社社長、機能責任者を含む20名程度の経営幹部から構成されます。
PHD戦略会議:原則として月2回以上の頻度で開催しています。グループCEO楠見雄規が議長となり、人事、経理、法務などの機能責任者を含む10名程度の経営幹部から構成されます。

(b)当該体制を採用する理由

当社は、2022年4月に事業会社制へと移行するにあたり、当社の機関設計のあり方についても検討を重ねました。事業会社制においては、投資等について大幅な権限委譲を受けた事業会社による自主責任経営が徹底され、持株会社である当社の役割はグループ全社視点での経営戦略の決定と事業会社の監督になります。
検討の結果、当社においては、独立性を有する監査役会が内部監査部門と連携しグループ内部監査体制を構築・運用するとともに、独立社外取締役が過半数かつ委員長を務める任意の指名・報酬諮問委員会が役員人事や報酬を審議することで、コーポレート・ガバナンスの実効性を確保できていると判断いたしました。事業会社制の下でも、当社が目指すコーポレート・ガバナンスは、従前の機関設計を変更せず、監査役会設置会社のままで実現可能であると判断し、取締役会と、監査役・監査役会からなる監査役制度を基礎とした、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。

コーポレート・ガバナンス体制図

3. 会社情報の開示に関する内部統制

当社の会社情報の開示に係る社内体制の状況は、下記のとおりです。

当社は、「企業は社会の公器」との基本理念のもと、透明性の高い事業活動を心がけ、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことに努めています。当社の情報開示に対する基本的な考え方は、当社グループの経営理念を実践するために順守すべき具体項目を制定した「パナソニック行動基準」で定めるとともに、これと実務上の基準・方法・社内体制等を合わせて「ディスクロージャーポリシー」として当社の公式企業サイトにおいて公表しており、当社の公正かつ正確な財務情報や、事業方針、事業活動、ESG活動などの企業情報を、適時適切にわかりやすく提供することを基本方針としています。

この基本方針に則り、当社グループの経営に関する重要な事項は、取締役会規則に基づき取締役会で決議または報告がなされます。これらの重要な事項やその他国内外の関係諸法令等により開示が義務づけられている事項は、社内の情報の各所轄部門から、グループCFOの監督のもと、情報取扱部門に対して、適時、正確に報告が行われ、重要な情報が収集される仕組みとなっています。なお、金融商品取引所規則等により、開示が義務付けられている事項についても、グループCFOが監督しています。

また、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等により開示が義務づけられている事項が、子会社を含む事業部門にて発生する際には、内容に応じて、速やかに経理・財務部または財務・IR部 IR課またはパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社の経理・財務センターに報告することとなっており、これらの事項が入手できる体制を整備しています。

収集・入手した情報については、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等に従って、開示の必要性の判断を行い、会社の業務執行を実質的に決定する機関による決議・決定が行われた時点、またはその発生を認識した時点での開示に努めています。

加えて、開示の内容、表現等についても当社内関連部署、ならびに外部弁護士等に確認し、正確、公正、かつ充分な内容となるよう努めています。

また、当社は、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等を遵守するとともに当社グループの企業情報等の公正、正確かつ適時適切な情報開示を実施するためディスクロージャー統制手続きを整備しています。有価証券報告書、四半期報告書等の作成や確認作業にあたっては、内部統制・ディスクロージャー統制の確立、維持、有効性の保証に対して責任のあるグループCEOおよびグループCFOの監督のもと、その記述内容の妥当性およびその開示に関する手続きの適正性を、当社の主な情報取扱部門の責任者で組織された「ディスクロージャー委員会」にて確認、承認しています。同委員会の委員長は、グループCEOおよびグループCFOにより任命され、同委員会の構成員である「ディスクロージャー委員」は、委員長より任命されます。

4. 財務報告に関する内部統制

当社は、子会社を含めたグループ全体の財務報告の信頼性を担保すべく、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社の内部統制推進室による統括のもと、統制環境から業務の統制活動までの管理実態を文書化しています。具体的には、事業会社でチェックシートによる自己点検を行ったうえで、事業会社に配置した監査責任者が監査を行い、これらの監査を踏まえて、内部統制推進室がグループ全体の内部統制の監査を統括することにより、内部統制の有効性を確認する体制としています。なお、2021年度においては、グループ全体で延べ約400名が内部統制監査に従事しました。

その他、コーポレート・ガバナンスコードの対応状況、内部統制システムの基本方針などについては、「コーポレート・ガバナンス報告書」をご覧ください。

監査役通報システム

パナソニックグループの取締役・執行役員による不正および職務執行の適法性に疑念をお持ちの方は、パナソニック ホールディングス株式会社 監査役会(通報窓口)までお願いします。

通報は下記の要領にてお願いいたします。

  • 対象となる通報内容は、「パナソニックグループにおける取締役・執行役員による不正および職務執行の適法性に関する疑念」です。
  • 対象外の通報内容は、お受けできない場合があります。
  • 匿名での通報も受け付けますが、可能な限り実名でお願いします。 また通報内容は、出来るだけ具体的かつ詳細な事実に基づく記述をお願いします。(そうでない場合には、調査等に限界の生じる場合があります。)
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