基本的な考え方
当社は、「企業は社会の公器」という基本理念に基づき、株主や顧客をはじめとするさまざまなステークホルダーとの対話を通じて説明責任を果たし、透明性の高い事業活動を心掛け、公正かつ正直な行動を迅速に行っていくことで、企業価値を高めていくことが重要であると考えています。そのため、コーポレート・ガバナンスを重要な基盤と認識し、グループ全体に関わる戦略や重要事項の業務執行を決定し、取締役の職務の執行を監督する取締役会と、取締役の職務の執行を監査する監査役・監査役会からなる監査役制度を基礎として、当社グループ全体について実効性のある体制の構築・強化に努めています。
また、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、以下の取り組みを行っています。
- 株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
- 従業員、顧客、取引先、地域社会などのステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果が企業の持続的な成長につながることを認識し、ステークホルダーとの適切な協働に努める。
- 会社情報を適切に開示し、企業経営の透明性を確保する。
- 取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、企業戦略等の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを支える環境整備を行い、独立した客観的な立場から経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う。
- 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、株主と建設的な対話を行う。
コーポレート・ガバナンス体制
(1)体制の概要
当社は、2022年4月、事業会社制(持株会社制)へ移行しました。事業会社は「①パナソニック株式会社」(複数の事業分野から構成され、「中国・北東アジア社」「くらしアプライアンス社」「空質空調社」「コールドチェーンソリューションズ社」「エレクトリックワークス社」の5つの社内分社を束ねる)「②パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社」「③パナソニック コネクト株式会社」「④パナソニック インダストリー株式会社」「⑤パナソニック エナジー株式会社」「⑥パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社」「⑦パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社」であり、それぞれの担当領域において事業の進化・変化を促進し、開発・製造・販売および利益・資金に対する自主責任経営を行い、成長戦略の実現を牽引しています。
また、当社は、グループ全体の経営戦略および技術戦略機能、具体的には、グループ中長期戦略の立案・推進によりグループ全体の企業価値向上、および革新技術や生産技術によるイノベーションでの事業貢献、全社の技術開発・モノづくり支援などの機能を担っています。加えて、当社は、グループ全体のオペレーション効率化・高度化プラットフォームの役割を担う「⑧パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社」を設置し、全社共通の制度・基盤・仕組み等の構築、上場・法人維持のための内部監査・内部統制・コンプライアンス機能やステークホルダーへの対応などの全社経営管理機能を連携して推進しています。
コーポレート・ガバナンス体制図
<取締役会・執行役員体制>
当社取締役会は、事業会社に権限を委譲することで、事業会社を主体としたスピーディーな意思決定を実現するとともに、グループにとって重要な意思決定と健全で適切なモニタリングを行うべく、グループ中長期戦略およびグループ重要案件の決定と、グループガバナンス・リスク管理を通じたグループの監督に集中することとしております。
取締役の任期は1年であり、毎年の株主総会で取締役全員が改選されるものとし、株主の皆様の判断を経営に適切に反映できる体制としております。取締役会は13名(うち2名は女性)で構成し、当社取締役会が備えるべきスキルを考慮のうえ、取締役会全体としての知識・経験・能力の多様性を確保しています。また、社外での豊富なキャリアと高い見識から、業務執行に関する意思決定や取締役の職務執行の監督として有益な意見が期待できる社外取締役を取締役会メンバーの3分の1以上とする方針とし、6名の社外取締役を選任しております。なお、議長は業務を執行しない取締役会長が担当しております。
加えて、当社は大幅な権限委譲により事業会社の自主責任経営を徹底するとともに、グループとしての企業価値を最大化するため、全社最適視点で当社グループの経営を担う執行責任者制度として「執行役員制度」を採用しています。取締役兼任を含む執行役員は13名であり、「社長執行役員」、特定領域における社長代行者と位置付ける「副社長執行役員」、特定機能の業務執行責任者である「執行役員」で構成しています。
なお、2023年度における取締役会の開催回数は12回であり、1回あたりの所要時間は3時間38分でした。各取締役および各監査役の出欠状況は以下のとおりです。
役 職 |
氏 名 |
開催回数 |
出席回数 |
出席率 |
備 考 |
---|---|---|---|---|---|
取締役会長 |
津賀 一宏 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
代表取締役 |
楠見 雄規 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
代表取締役 |
本間 哲朗 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
代表取締役 |
佐藤 基嗣 |
12回 |
11回 |
92% |
- |
代表取締役 |
梅田 博和 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役 |
宮部 義幸 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役 |
少德 彩子 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役(社外) |
松井 しのぶ |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役(社外) |
野路 國夫 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役(社外) |
西山 圭太 |
10回 |
10回 |
100% |
2023年6月26日就任 |
取締役(社外) |
澤田 道隆 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役(社外) |
冨山 和彦 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
取締役(社外) |
筒井 義信 |
12回 |
11回 |
92% |
- |
常任監査役 |
富永 俊秀 |
2回 |
2回 |
100% |
2023年6月26日退任 |
常任監査役 |
藤井 英治 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
常任監査役 |
馬場 英俊 |
10回 |
10回 |
100% |
2023年6月26日就任 |
監査役(社外) |
江藤 彰洋 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
監査役(社外) |
中村 明彦 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
監査役(社外) |
由布 節子 |
12回 |
12回 |
100% |
- |
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(注) 澤田 道隆の正式な表記は右記です。
なお、2023年度の取締役会では、主に以下の項目について重点的に議論がなされ、グループ全体の経営戦略・機能軸戦略の議論に多くの時間を充て、監督機能を発揮しました。
<決議事項>
- グループ中長期戦略
- 米国カンザス州車載電池新工場への投資
- パナソニック オートモーティブシステムズ(株)とApollo社とのパートナーシップについて 等
<報告事項>
- グループのありたい姿・貢献領域の検討、およびその実現に向けた事業ポートフォリオマネジメント
- グループCEOのサクセッションプランの検討状況について
- グループ財務戦略
- 人事戦略
- リスクマネジメントの取り組み
- グループコンプライアンスの取り組み
- PX(Panasonic Transformation)
- 技術戦略・知財戦略
- サイバーセキュリティ対策
- 非財務情報開示(サステナビリティ)の取り組みと課題について
- 政策保有株式の保有意義 等
上記のほか、執行役員を兼務する取締役からの職務執行報告や、事業会社社長から事業会社戦略報告を実施しています。
(注) PX((Panasonic Transformation):DX(デジタルトランスフォーメーション)を核としたパナソ ニックグループ横断の取り組みで、ITシステムの変革に留まらない、経営基盤強化のための重要 戦略として推進。
<監査役・監査役会>
監査役は、グループの「健全で持続可能な成長」と「中長期的な企業価値の向上」への貢献を目的に、「良質な企業統治体制の確立」を目指し、健全な経営と社会的信頼を保証するために、株主の負託を受けた独立機関として、コーポレート・ガバナンスの一翼を担っています。監査役会は5名(うち1名は女性)で構成しており、このうち2名は会社業務に精通し、実際に事業場に赴き、調査権限を行使することで業務の実情を把握することができる、役付取締役経験者またはそれに準ずる者より選任された常任監査役(常勤)であり、更にそのうちの1名は財務・会計に関する相当程度の知見を有しております。また、高い専門性、豊富なキャリアと高い見識から取締役の職務執行に対する有益な監査を期待できる、経営者・弁護士・公認会計士である社外監査役を3名選任しております。
監査役会においては、同会にて決定された監査役監査方針および監査計画に基づき、経営幹部からの報告を実施(2023年度は17件)して職務の執行状況の確認を行うとともに、常任監査役による監査役監査等の活動結果報告(事業場往査結果やコンプライアンス事案、サステナビリティ対応状況についての共有等)、重要決裁の閲覧、監査役通報システムへの通報内容および対応状況の確認、会計監査人の非保証業務の内容確認等を実施しています。また、四半期毎や年度末においては、決算報告並びに会計監査人からのレビューおよび監査報告書を確認し、監査役会としての監査報告書の取り纏め、会計監査人の評価並びに再任・不再任の決定、株主総会議案の適法性確認等を行っています。
なお、2023年度における監査役会の開催回数は13回であり、1回あたりの所要時間は3時間16分でした。また、出席率は、100%(常任監査役:100%、社外監査役:100%)であり、個々の監査役の出席状況は、次のとおりです。
役 職 |
氏 名 |
開催回数 |
出席回数 |
出席率 |
備 考 |
---|---|---|---|---|---|
常任監査役 |
富永 俊秀 |
3回 |
3回 |
100% |
2023年6月26日退任 |
常任監査役 |
藤井 英治 |
13回 |
13回 |
100% |
- |
常任監査役 |
馬場 英俊 |
10回 |
10回 |
100% |
2023年6月26日就任 |
監査役(社外) |
江藤 彰洋 |
13回 |
13回 |
100% |
- |
監査役(社外) |
中村 明彦 |
13回 |
13回 |
100% |
- |
監査役(社外) |
由布 節子 |
13回 |
13回 |
100% |
- |
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---|---|---|---|---|---|
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<任意の「指名・報酬諮問委員会」>
当社は、任意の指名・報酬諮問委員会を設置しており、取締役会からの諮問を受けて、取締役・監査役・執行役員・事業会社社長・事業会社社外取締役の候補者指名に関する社内検討の結果ならびに取締役・執行役員・事業会社社長・事業会社社外取締役の報酬制度および個人別の報酬の額および内容の妥当性に関する審議を行っております。また、委員会はグループCEO・執行役員・事業会社社長のサクセッションプランの審議、後継者候補のモニタリングを行うとともに、委員はグループCEOの交代時期を提案することができます。
本委員会の委員は、社外取締役 澤田道隆(委員長)、社外取締役 松井しのぶ、社外取締役 冨山和彦、取締役会長 津賀一宏、代表取締役社長執行役員 楠見雄規の5名です。社外取締役が委員長を担うとともに、委員の過半数を社外取締役で構成することで、客観性・透明性を強化しています。
なお、2023年度において、本委員会は5回開催されました。各委員の出欠状況は、以下のとおりです。
|
役 職 |
氏 名 |
開催回数 |
出席回数 |
出席率 |
備 考 |
---|---|---|---|---|---|---|
委員長 |
取締役(社外) |
澤田 道隆 |
5回 |
5回 |
100% |
- |
委員 |
取締役(社外) |
冨山 和彦 |
5回 |
4回 |
80% |
- |
委員 |
取締役(社外) |
筒井 義信 |
5回 |
5回 |
100% |
2024年6月24日退任 |
委員 |
取締役会長 |
津賀 一宏 |
5回 |
5回 |
100% |
- |
委員 |
代表取締役 |
楠見 雄規 |
5回 |
5回 |
100% |
- |
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---|---|---|---|---|---|---|
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(注) 澤田 道隆の正式な表記は右記です。
また、2023年度は、主に以下の内容につき審議または確認を行いました。
- グループCEOのサクセッションプラン
- グループCEO・執行役員および事業会社社長の後継者候補
- 取締役等の候補者に関する社内検討の結果
- 取締役・執行役員・事業会社社長の罷免・不再任基準 ・取締役・執行役員
- 事業会社社長・事業会社社外取締役の報酬制度 等
なお、グループCEOのサクセッションプラン、取締役・執行役員・事業会社社長の罷免・不再任基準についての考え方等については、委員会での審議内容を取締役会に報告しています。
<グループ経営会議/PHD戦略会議>
グループの中長期的戦略や重要な全社横断プロジェクト・委員会、当社または事業会社が実施する重要案件について議論や方向付け・報告を行う場として、グループ経営会議およびPHD戦略会議を開催しています。
グループ経営会議:
原則として月1回の頻度で開催しています。グループCEOが議長となり、事業会社社長、機能責任者を含む20名程度の経営幹部から構成されます。
PHD戦略会議:
原則として月2回以上の頻度で開催しています。グループCEOが議長となり、人事、経理、法務などの機能責任者を含む10名程度の経営幹部から構成されます。
<取締役会の実効性の分析評価>
当社は、毎事業年度に、取締役会出席メンバーを対象とした取締役会実効性評価を実施しています。実効性評価の結果については取締役会報告議案として共有し、取締役会出席メンバーから提起された課題および改善策等について取締役会で議論を行っています。その議論の結果を踏まえ、今後の取締役会の体制、運営改善等の施策を検討・実施することで、継続的にPDCAサイクルを積み重ね、取締役会の実効性向上およびガバナンスの強化に繋げています。
また、取締役会終了後に社外取締役・社外監査役を中心とした取締役会の振り返りを適宜実施し、取締役会の運営改善に努めています。
1)前年度の実効性評価を踏まえた2023年度の重点的な取り組み
2023年度においては、以下の取り組みを重点的に行いました。
- グループ中長期戦略の議論・事業ポートフォリオ議論の時間を十分に確保
- 事業会社の中長期戦略や重要案件の報告議案については、当社の持株会社としての取締役会、当社執行側および事業会社取締役会との役割分担を明確化したうえで、当社取締役会で監督・モニタリングすべき議案に絞込み
- 取締役会と指名・報酬諮問委員会の活動内容・方針の共有の充実により、取締役会と委員会が一体となった指名・報酬の監督の強化と透明性を確保
2)2023年度の取締役会実効性評価
2023年度は、以下のスケジュールでアンケートおよび取締役会での議論による取締役会実効性評価を実施いたしました。なお、3年に1回を目安として外部機関の助言を受けていますが、2023年度は設問設計、結果集計、取締役会での議論の設定、および2024年度の取締役会運営方針の設定の一連のプロセスにおいて、全て当社独自で実施いたしました。取締役会においては、出された評価結果に基づき、監査役を含めた取締役会メンバー間で、取締役会や自らの取締役会における役割の再認識、課題認識の共有、改善策について自由闊達な議論がされました。
- アンケート実施期間:2023年12月末~2024年1月中旬
- アンケート対象者:取締役・監査役・陪席執行役員
(陪席執行役員は自由記述のみ集計結果に反映) - アンケートの形式:全32問
(うち23問が4段階評価、1問が選択肢からの複数項目選択(各設問に自由記述欄を設定)、8問が自由記述形式) - アンケートの主な項目:
(1)取締役会の運営
(議題の設定、議案構成、個々に期待される役割の発揮等)
(2)グループ戦略と事業会社戦略
(資本コストを意識した経営、事業ポートフォリオ等)
(3)企業倫理とリスク管理
(企業倫理を遵守する風土、内部統制やリスク管理体制の構築)
(4)経営陣の評価(指名・報酬)
(指名・報酬諮問委員会の審議内容の報告、必要とされるスキルを踏まえた取締役の選任等)
(5)株主等との対話
(株主等との対話に関する情報共有、株主等との対話の企業価値向上への活用)
(6)中長期の取締役会の目指すべき姿
- 取締役会でのアンケート結果報告・議論:2回実施
(1)2024年1月度取締役会
アンケート結果から抽出された課題を共有し、当該課題に関する意見交換や、運営面の改善策につき議論
(2)2024年4月度取締役会
2024年度の取締役会運営方針を議論
3)取締役会実効性評価結果と課題改善策
アンケートの結果、2022年度に引き続き当社取締役会の実効性については概ね確保されていることを確認しました。抽出された課題については、取締役会にて議論を行い、当社グループの企業価値向上のため、2024年度の取締役会では以下の取り組みを行うよう提言がなされました。
- 新中長期戦略の策定に向けて、継続して議論を充実
- グループ戦略・ポートフォリオマネジメントについては、各事業の資本収益性やグループレベルでのリソースシフトも踏まえ、報告・議論
- グループとしての成長投資事業のモニタリングを重点的に実施
- 中長期でグループとして目指すべき組織能力を備えることを念頭に、機能軸横断での重要アジェンダ(AI・データ利活用戦略・サステナビリティ等)の報告を実施
- グループ財務戦略・人材戦略・技術戦略の議論も継続 等
2024年度は、取締役会で議論し結論づけられた上記の改善策を踏まえ、継続的に取締役会の実効性向上に努めてまいります。
<監査役会実効性評価>
当社の監査役は、取締役会に出席し、取締役の職務執行に対する監督状況をモニタリングするとともに、必要があると認めたときに意見を述べたほか、グループ重要案件の決定プロセスや重要会議における審議状況の確認、社長執行役員・事業会社社長・機能軸トップの執行状況の監査、四半期に一度を目途に実施する「ERM委員会」への参画、内部監査機能の統括機関である「内部監査コミッティ」へのオブザーバー出席、内部監査部門から監査役会への監査結果等の報告、期首段階でのリスク評価や往査計画をはじめ、監査の内容・発見事項・リスク評価の変化等を、監査役・内部監査部門・会計監査人が一堂に会して情報交換するなど、グループガバナンスの強化に向けた監査活動に取り組んでいます。
監査役会では、独任制のもとで異なる専門性・知見を持った監査役が上記の監査活動の内容をオープンに議論し、取締役会・執行部門に対する意見等を形成しています。
監査活動の持続的な実効性向上を図るため、監査役会では、毎事業年度末に監査役会の実効性評価を実施しています。実効性評価は、コーポレート・ガバナンスコードを踏まえた対応等の観点から合計40の評価項目による定量的な実効性評価に加え、各監査役から具体的に提起される課題を掌握し、改善項目の明確化を図る手法で実施しています。監査役会メンバーから提起される課題および改善策について議論し対応策を決定、次年度の監査計画に反映させています。
2023年度は、監査役会での討議テーマを社長執行役員や事業会社社長等に事前に提案することで、十分な質疑時間を確保し、議論の充実を図ったり、監査役往査に社外監査役が同行し、多面的な視点から執行状況の監査を実施したりするなどの改善策を実践し、監査役会の実効性向上に取り組みました。
監査役会は、2023年度末に実施した実効性評価結果を審議し「有効に機能している」との結論に至りました。討議の中で認識された課題等についても対応策を決定し、引き続き、監査役会の実効性向上に取り組んでまいります。
(2)当該体制を採用する理由
当社は、2022年4月に事業会社制へと移行するにあたり、当社の機関設計のあり方についても検討を重ねました。事業会社制においては、投資等について大幅な権限委譲を受けた事業会社による自主責任経営が徹底され、持株会社である当社の役割は、グループにとって重要な意思決定と健全で適切なモニタリングを行うべく、グループ中長期戦略およびグループ重要案件の決定と、グループガバナンス・リスク管理を通じたグループの監督になります。
検討の結果、当社においては、独立性を有する監査役会が内部監査部門と連携しグループ内部監査体制を構築・運用するとともに、独立社外取締役が過半数かつ委員長を務める任意の指名・報酬諮問委員会が役員人事や報酬を審議することで、コーポレート・ガバナンスの実効性を確保できていると判断いたしました。事業会社制の下でも、当社が目指すコーポレート・ガバナンスは、従前の機関設計を変更せず、監査役会設置会社のままで実現可能であると判断し、取締役会と、監査役・監査役会からなる監査役制度を基礎とした、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
会社情報の開示に関する内部統制
当社は、「企業は社会の公器」という基本理念のもと、透明性の高い事業活動を心がけ、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことに努めています。当社の情報開示に関する基本的な考え方は、当社グループの経営理念を体現し、コンプライアンスを実践しながら事業活動を進めていく上で果たすべき具体的項目を制定した「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」で定めるとともに、情報開示に関する基本方針と実務上の基準・方法・社内体制等を合わせて「ディスクロージャーポリシー」として当社ウェブサイトにおいて公表しています。
当社グループの経営に関する重要な事項は、取締役会規則に基づき取締役会で決議または報告がなされます。これらの重要な事項やその他国内外の関係諸法令等により開示が義務づけられている事項は、社内の情報の各所轄部門から、グループCFOの監督のもと、情報取扱部門に対して、適時、正確に報告が行われ、重要な情報が収集される仕組みとなっています。なお、金融商品取引所規則等により開示が義務づけられている事項についても、グループCFOが監督しています。
また、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等により開示が義務づけられている事項が、事業会社を含む子会社にて発生する際には、内容に応じて、速やかに「経理財務・IR部 IR課」またはパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社の「経理・財務センター」に報告することとなっており、これらの事項が入手できる体制を整備しています。
収集・入手した情報については、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等に従って、開示の必要性の判断を行い、会社の業務執行を実質的に決定する機関による決議・決定が行われた時点、またはその発生を認識した時点での開示に努めています。
加えて、開示の内容、表現等についても当社内関連部署、ならびに外部弁護士等に確認し、正確、公正、かつ充分な内容となるよう努めています。
また、当社は、国内外の関係諸法令および金融商品取引所規則等を遵守するとともに、当社グループの企業情報等の公正、正確かつ適時適切な情報開示を実施するためディスクロージャー統制手続きを整備しています。有価証券報告書等の作成や確認作業にあたっては、内部統制・ディスクロージャー統制の確立、維持、有効性の保証に対して責任のあるグループCEOおよびグループCFOの監督のもと、その記述内容の妥当性およびその開示に関する手続きの適正性を、当社の主な情報取扱部門の責任者で組織された「ディスクロージャー委員会」にて確認、承認しています。同委員会の委員長は、グループCEOおよびグループCFOにより任命され、同委員会の構成員である「ディスクロージャー委員」は、委員長より任命されます。
財務報告に関する内部統制
当社は、子会社を含めたグループ全体の財務報告の信頼性を担保すべく、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社の「内部統制推進室」の統括のもと、統制環境から業務の統制活動までの管理実態を文書化しています。具体的には、事業会社でチェックシートによる自己点検を行ったうえで、事業会社に配置した監査責任者が監査を行い、これらの監査を踏まえて、内部統制推進室がグループ全体の内部統制の監査を統括することにより、内部統制の有効性を確認する体制としています。なお、2023年度においては、グループ全体で延べ約380名が内部統制監査に従事しました。
その他、コーポレート・ガバナンスコードの対応状況、内部統制システムの基本方針などについては、「コーポレート・ガバナンス報告書」をご覧ください。
監査役通報システム
パナソニックグループの取締役・執行役員による不正および職務執行の適法性に疑念をお持ちの方は、パナソニック ホールディングス株式会社 監査役会(通報窓口)までお願いします。
通報は下記の要領にてお願いいたします。
- 対象となる通報内容は、「パナソニックグループにおける取締役・執行役員による不正および職務執行の適法性に関する疑念」です。
- 対象外の通報内容は、お受けできない場合があります。
- 匿名での通報も受け付けますが、可能な限り実名でお願いします。 また通報内容は、出来るだけ具体的かつ詳細な事実に基づく記述をお願いします。(そうでない場合には、調査等に限界の生じる場合があります。)
- 「お名前(本名)」「ご連絡先(E-mailアドレス)」を明示して通報いただいた方には、対応状況についてお知らせするよう努めますが、フィードバック出来ない場合もございます。その際はご了承ください。
- プライバシー保護に留意し、不利益な取り扱いは行いません。
- ご回答までにお時間をいただく場合もございます。
- 当社の許可なく回答内容の一部または全体を転用、二次利用することは著作法上認められておりませんのでご注意下さい。
<受付窓口>
●専用メール 下記のフォームより通報してください。
(匿名での通報はこちらをご利用ください)