58. 守口三郷地区に乾電池工場を建設 1933年(昭和8年)
乾電池の自社生産開始は、昭和6年にさかのぼる。当時、ナショナルランプの販売増加にともない、乾電池も急増し続け、岡田電気商会1社では生産が間に合わなくなった。
そこで、松下にとっても競争相手だった小森乾電池に、専属工場になってもらい、需要をしのいでいた。しかし、なおナショナルランプは増える一方である。だが、国民の必需品にしたいという所主の理想にはまだ遠い。過去に何回か値下げを断行してきたが、引き続き思い切った値下げをすることにした。
乾電池についても、両社に対して値下げを要請した。岡田電気商会は了承したものの、小森乾電池は、むしろ松下に工場を譲渡したいと言う。所主は乾電池事業を直営にする意思はなかったが、岡田電気商会の賛同も得られたので、この提案を受け入れることにした。こうして、昭和6年9月、小森乾電池を買収し、乾電池生産に乗り出した。
その後もナショナルランプの伸びにつれて、乾電池は激増する。所主はさらに乾電池の増産を決意、昭和8年の門真地区への進出に合わせ、隣接の守口三郷地区に乾電池工場を建設した。