147. パナソニック社を訪問 1976年(昭和51年)

訪米中の相談役夫妻は、8月25日、クェーザー社のカラーテレビ工場を視察したあと、8月30日には、二ュージャージー州シコーカス市に前年完成したばかりのパナソニック社(アメリカ松下電器)の新社屋を初めて訪れた。

この時、従業員の集りであいさつをした相談役は、「今日この時ほど自分の胸を打つものはない。この世界一強大といわれるアメリカにおいて、このように立派な会社経営が私どもの手でできようとは夢にも思わなかった」と語り、全員の努力をたたえた。

さらに「アメリカ建国200年の繁栄の歴史は私どもの手本でもある。これまでのように皆さんが努力を続けるならば、この会社は10年先にはもっと発展していると思う。私は本年満81歳で、10年先は満91歳だが、もっと健康になり、その発展の姿を見に来たい。その時には全員の方々と握手をしましょう。1日で握手しきれなければ、何日かかってもすべての人と握手をしたい」と約束した。この言葉に、歓声があがり、拍手はしばらく鳴りやまなかった。

そのあと、同社の前庭で、記念植樹が行われた。全員が高齢の相談役を見守る中で、相談役は桜の若木を植樹した。9月3日、アメリカでの全日程を終え、夫妻は元気に帰国した。