3回のプロボノ参加は自分への挑戦
熱量あるNPOとともに活動し、社会の問題が「自分ごと」に
従業員プロボノ参加者 大嶋 真奈美さん
営業部門での様々な経験を活かし、3回に渡るプロボノプロジェクトを経験した大嶋さん。社会課題の解決に取り組むNPOを直接支援することで、社会課題をより身近に感じ、多くの気付きを得たと話す。その経験を通し見えてきたものとは?大嶋さんに話を聞いた。
東日本大震災を経験し、災害を身近に感じたことがきっかけに
プロボノの存在は全く知らず、仕事以外に何かやってみたいと思っているときに、社外の友人から、プロボノの話を聞きました。そこで、一度、サービスグラントのプロボノの説明会に参加しエントリーしたのですが、定員があり参加できずに残念に思っていたところ、たまたま、会社のHPで、従業員向けにサービスグラントが伴走するプロボノの募集を見つけました。
1回目、2回目のプロボノ支援先は災害時に適切な支援が被災者に届くよう、被災地・行政・NPOの三者を繋ぎ、関係団体を調整する役割を果たしているNPO法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)でした。
複数あるプロボノ募集の中で、災害関連のプロボノを選んだのは、JVOADの活動が、自分たちの生活と身近に感じたからです。また、自分が災害を経験したことがなかったので、災害に関して勉強したいという思いで参加することにしました。
これまでは、災害に関して特別な課題意識があったわけではありませんでした。しかし、2011年の東日本大震災が起こった際、東北ほどの被害はありませんでしたが、私も関東で災害を経験し、そこから意識が変わりました。
心がけたのは、第三者が理解できる丁寧な資料づくり
2019年、2020年と2年連続でJVOADのプロボノに参加しました。
1回目は、発災時に被災地(自治体)・行政・災害支援NPOの関係や活動内容を調整し、被災者を支援するコーディネーターのための研修資料の作成で、災害支援のノウハウを可視化するプロジェクトでした。
資料の内容は、住宅再建の手順や行政制度にどのようなものがあるかを理解してもらうためのもので、災害支援NPOの分野・ノウハウも実に多様であることも知りました。
例えば、屋根が飛んでブルーシートが必要な際には、ブルーシートを張るノウハウを持つNPO、子どもの心のケアや外国の方で言葉がわからない方に対してはケアを得意とするNPOであったりと、多種多様な事例が一度におこる被災地で適切な支援を繋ぐ役割が重要なことがよくわかりました。
作成資料は初めて説明を受けた人でもわかるように心がけました。
支援団体だけでなく、関係団体からも話を聞き、その話を丁寧に自分の中で咀嚼し、理解できる資料作りをメンバーとともに考えていきました。プロボノ活動を通して、団体の想いを資料に落とし込むことはできるようになってきたのかなと思っています。
JVOADはフレンドリーな方々がほとんどですが、プロボノの取り組みにおいては、慣れあいになることもなく適度な緊張感の中で、お互いが刺激し合い、大変良いものができたのではないかと思っています。
2回目は、全国の市町村の災害担当者に対してJVOADをはじめとする支援団体の役割や活動を紹介する営業資料を制作しました。有事の際にスムーズに支援が進むように、NPOと行政は日頃から連携をしておく必要性があります。
よって、市町村の担当者が変わったとしても連携できる資料作りを心がけました。
1回目も2回目もプロボノではプロジェクトリーダーを担当しました。
会社ではあまりリーダーを務めた経験はなかったのですが、とにかく人の話を聞くことを心掛けました。プロボノを通じて、相手の話により丁寧に耳を傾ける姿勢を持つことができました。
少ない活動資金をフォローするために、作業の効率化を支援
3回目のプロボノの支援団体は、公益社団法人ユニバーサル志縁センターです。
ユニバーサル志縁センターは、児童福祉施設で育った人が、社会に出たときの後押しをする団体です。災害以外の分野の団体支援も経験したいという思いがあり、参加しました。
社会に出た後、困難を抱える若者を支援するNPOを資金面などで支える活動をしている中間支援団体です。活動資金は寄付やクラウドファンディングで集められ「若もの応援基金」として、申請するNPO団体へ審査・分配します。
プロボノに対しての依頼は、一人で担当され、属人化している事務局業務の軽減・効率化でした。
年間業務のロードマップ化や「若もの応援基金」の審査業務を軽減するエクセルでの審査リストの作成、領収書発行のマニュアル化などをご担当者とプロボノメンバーと打ち合わせを重ねながら行いました。
支援を進めていく中で、事務作業が細かく、多岐に渡っていたので、担当者の負担が大きくこれまで大変だっただろうと感じました。限られた活動資金や少数精鋭で活動されるNPOはITスキルを高めて上手に利用することで効率を上げていく必要もあるのだなと思いました。私もエクセルは得意ではありませんが、この支援を通して、エクセル関数に少し強くなった気がします。
プロボノを通して、課題を探り、解決していくプロセスの重要性を学ぶ
社内の所属部署の異動は何度か経験も、自社での経験しかないので、プロボノに参加することで「どういうことが自分ならできるのか」と自分自身を試したい気持ちもあり、参加しました。
当初は、自分が通用するのかなという不安はありましたが、いざやってみると、様々な人が集まり、デザインスキルがあったり、仕組みを構築する経験が豊富だったりと、お互いの得意なことを活かして活動できることが分かり、安心したことを覚えています。また、そうした得意なことをもつ人が、パナソニックには沢山いたのだという発見がありました。3回のプロボノ経験を通じて、自分に足りなかったことなど、改めての気づきや学びがありました。
プロボノに参加して、多くのNPOを知ることができましたし、課題を探り、考え、どう解決していくのかということが、普段の仕事に対しても、大事なことだと改めて思いました。社会課題の解決に一生懸命に働いている方々と出会い、多くの社会問題が身近にあることを知ることができました。
日本に約5万団体以上あるというNPOのそれぞれのみなさんが様々な目的を掲げ、誰かを助けたいという思いで活動されている。熱い想いを行動に移す多くの人たちを改めて発見したと感じています。
プロボノに参加するにあたり不安はありましたが、後押しをしてくれる人がいるか、自分から参加してみるか、いずれにしても一歩踏み出すことが大事だと思っています。
自分が難なくできることが、他の人は得意でなく、自信がつくこともあるので、お互いが得意なことを活かし、補えば合えばいいのではないかと感じています。
JVOADのプロボノの際には、たまたま関東のチームだったため、オフィスも近く、メンバーと直接会うこともしました。
同じ社内であっても全然タイプが違う人がいるということで、毎回が「発見」でした。
だからこそ、面白いことができるのではないかなと思います。
プロボノに興味を抱いていた時に偶然にも会社での応募があり、参加した大嶋さん。熱量ある多くのNPOの活動に触れ、社会課題に直面したことで、地震のニュースを見ても「あれじゃ物資が足りないんじゃないか」と考えるなど、ニュースを見る目が大きく変わったという。大嶋さんのこれからの挑戦にも注目したい。
大嶋さんが参加したプロボノプロジェクト
毎年発生している全国の大規模な災害で適切な支援が被災者に届くよう、現地で多様な支援組織の調整をしてきた「認定NPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」。その災害支援のノウハウを可視化するプロジェクトに、パナソニックの従業員5名で構成するプロボノチームが取り組みました。
「認定NPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」にパナソニックグループ7名の従業員が参加しました。災害に備えて、市町村の災害担当者に、JVOADや災害NPOの役割や活動、連携する意義について理解を深めていただくための営業資料の作成に取り組みました。
6人の従業員がチームを組んで、「公益社団法人ユニバーサル志縁センター」を支援しました。ユニバーサル志縁センターは支援対象地域の拡大に向けて、他地域への事業展開を進めており、そのための運営マニュアルをプロボノチームが作成しました。
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