John Paul Giancarlo
国際オリンピック委員会(IOC)
テクノロジーリーダー
古賀 淳一
パナソニック コネクティッドソリューションズ社
メディアエンターテインメント事業部 テクノロジーセンター RAMSA プロジェクトリーダー
スポーツの競技会場では、明瞭な音で情報を伝達して進行をサポートするサウンドの役割は重要だ。それだけではない。たとえばフィギュアスケートではサウンドによって選手が演じる世界観を会場に満たし、スノーボードやフリースタイルスキーではDJがノリのいいサウンドで観客を、競技者を鼓舞する。パナソニックは、ハイエンドのプロ用音響システムRAMSAによって、厳寒の競技会場をこれまでになく熱く盛り上げた。
オリンピックへの復帰に向け、あらゆる会場でさらに明瞭な音を
パナソニックのプロ用音響システムRAMSA。ホールやイベントの音響で世界的な実績を持つブランドが2010年のバンクーバー2010大会以来、4大会ぶりにオリンピックに復帰した。平昌2018大会を目指して3年にわたる開発期間を重ねた新商品のラインアレイスピーカーをはじめ、100台以上のスピーカーが導入されて会場にクリアで熱いサウンドを響かせた。
新開発のラインアレイスピーカーは、広い空間でも近距離から遠距離まで明瞭度の高いサウンドが持ち味だ。IOCの技術担当者 John Paul Giancarlo は評価する。 「ほとんどの会場にパナソニックの音響システムを設置しましたが、特筆すべきはハーフパイプやランプ、エアリアルのようなエクストリーム・スポーツが開催された普光・スノーパークです。屋外にもかかわらず、パナソニックの最新機器が作り出す音響のおかげで、観客は選手のすばらしいパフォーマンスを、もはやショーといってもいい最高の環境で楽しむという体験ができました。」
パナソニック独自のソリューションで、スピーディーな施工を実現
いま、スピーカーにはスタジアムやイベントホールといった設置場所に応じて最適な音響特性を持つシステムが要求される。さらに、オリンピックのようなイベントでの仮設の場合には、設置や調整がスピーディーにおこなえることが特に重視されるのだ。ラインアレイスピーカーの開発に携わるパナソニック コネクティッドソリューションズ社の古賀淳一は、その部分にこそパナソニックのソリューションが提供できるのだという。 「設置場所に最適な音場のチューニングというのは、熟練者でも1日がかりの作業です。今回、パナソニックでは測定データにもとづいて音場をつくり上げるシミュレーションソフトも開発していて、このソフトとラインアレイスピーカーを連携させれば、1時間ほどで理想的な音場にセッティングできます。」
さらに、施工面での工夫もある。スピーディーに作業ができるような構造を持ったプルバック方式の金具の開発だ。地上ではスピーカーの角度を固定する必要がなく、吊り上げていくにしたがって角度が固定されるため施工が早い。 「お客さまの意見を取り入れ、試作品を持って行ったりしながら、結合の仕方、結合部分の操作性などをアドバイスいただき徹底的に作り込みました。こういったやりとりが、いちばん大変だった点でもあり、それがいい結果につながっていると思います。」
安全性も万全に、東京2020オリンピックへ向けて世界に感動を
事前にテストを繰り返し、改善を重ね、厳寒の平昌でもクリアなサウンドを提供し続けたパナソニックのプロ用音響システムRAMSA。次の目標は東京2020オリンピックだ。東京での導入を前提に、パナソニックでは新開発のラインアレイスピーカーの安全性も確認済みだ。古賀は語る。 「ラインアレイスピーカーは重量物になるので、吊り下げたときに地震に耐えられる強度があるのかという点を、大学の施設を使って実証試験をしています。実際に震度6でも問題ないという安全性の評価をいただいたうえで発売しています。」
「東京2020オリンピックにも、RAMSAのラインアレイスピーカーを納入させていただき、オリンピックを盛り上げていこうという目標です。東京大会を足がかりにして、世界中の方々に使っていただき、感動をお届けできればいいですね」。オリンピックだけでなく、世界のスタジアムや劇場でパナソニックのプロ用音響システムRAMSAが感動のシーンを広げていくことが、長年にわたりサウンド技術に取り組むパナソニックの思いだ。