56. 「松下電器の遵奉すべき5精神」を制定 1933年(昭和8年)
所主は、事業の社会的責任を自覚し、昭和4年3月、綱領・信条を制定したが、昭和7年には、さらに真使命に思い至り、これを全員に闡明した。
昭和8年5月には、従業員は1,800人余りとなり、前年同月に比し、人数は5割も急増した。この業容拡大の中で、安易感に溺れることなく、松下電器の使命を思い起しつつ、全員一致して新たな躍進を期するために、所主は、昭和8年7月、「松下電器の遵奉すべき5精神」を制定した。
「産業報国の精神」「公明正大の精神」「和親一致の精神」「力闘向上の精神」「礼節を尽すの精神」の5つからなり、それぞれその精神の主旨が簡潔な言葉で説明されている。この精神は、この年の5月から全社的に実施され始めた毎日の「朝会」で唱和されて、今日に至っている。これにより、つい安きに流れがちな自分たちの心の戒めとしてきたのである。
なお、昭和12年8月、この5精神に「順応同化の精神」「感謝報恩の精神」が加わり、7精神となり、「礼節を尽すの精神」は「礼節謙譲の精神」と改められた。