61. 松下電器貿易(株)を設立 1935年(昭和10年)

松下電器が貿易部を新設し、中国、満州方面を中心に、配線器具、ランプ、乾電池などの輸出を開始したのは、昭和7年4月のことである。当時は日本の商社で電気器具を扱うところは比較的少なく、ほとんどの会社が外国商社を通じる商社貿易に依存していた。そうした中で、所主は松下の製品は松下の独自の方針で輸出しなければならないと思い、新たに輸出部門を設置し、貿易事業を開始したのである。

その後、事業の進展にともない、海外も国内と同様に一貫した共存共栄の理念に基づいた、より積極的な輸出体制の必要性を痛感し、昭和10年8月、松下電器貿易株式会社を設立した。

当時、業界でも傘下に貿易会社をもつところはほとんどなかった。これにより本格的な海外への輸出が始まり、販路は東南アジア全域に広がった。