91. 中川機械(株)と提携 1952年(昭和27年)
電化時代の到来をいち早く予想して、松下電器は、戦後、中断していたテレビの研究試作を再開、昭和26年9月には、洗濯機の生産販売を開始した。それに続く大型電化製品として、冷蔵庫の開発をも進めていた。
たまたま、昭和26年8月、工作機械の専門メーカーとして知られ、戦後、進駐軍用の冷蔵庫を生産していた中川機械株式会社から提携の話が起こった。経営者の中川懐春氏と会って話をしてみると、てきぱきとした言葉で、会社の実情を説明し、「引き受けて下さるなら、無条件で一切をお任せします」と言った。自分の利害を超越した、まことに恬淡とした態度である。社長は心を打たれ、資料を求めることもなく、また工場も見ずに、即座に提携することに決めた。
昭和27年2月、提携が成立。翌年8月、中川機械は、社名を中川電機株式会社と改称、その後、松下電器との関係もさらに深まり、昭和47年11月、松下冷機株式会社となった。その間、常に新しい生産技術を導入するなど合理化を行い、他に先駆けて一般家庭用の機器を開発、冷蔵庫などの普及発展に大きな役割を果たした。