106. 本社新社屋が竣工 1961年(昭和36年)

「5ヵ年計画」を達成し、松下電器は業容拡大期を迎えた。その中で本社社屋の狭さが痛感されるようになり、昭和35年に、新本社の建設に着手、昭和36年7月に完成し、移転を無事にすませた。

本館、第1別館、第2別館からなる新本社は、前に国道1号線(京阪国道)が走っていた。

松下電器の本社は、大正7年の創業以来、5度の変遷を重ねてきたが、常に電器メーカーとしての役割を重視、まず工場設備及び販売部門の拡充を主眼に考え、それにともなって本社社屋の建設を進めてきた。その結果、工場、販売部門は目覚ましい発展を遂げてきたが、本社は常に後回しになった。それだけに、今回の新本社は、躍進する松下電器を象徴するにふさわしい偉容を誇るものとなり、従業員の喜びも格別なものがあった。

こうした中で、8月1日、修祓式が行われ、会長は「世間の例をみると、立派な事務所をつくったり、店舗を張ることによって、ますます伸びるところもあるが、往々にして経営が悪化するところが多い。この道理は小さい店舗も大きい会社も変わりはない」と戒め、これまで以上の力を結集するよう、全員に呼びかけた。