107. PHP研究を再開 1961年(昭和36年)

会長は、昭和25年に経営再建に専念するようになって、やむなくPHP研究を中断したものの、いつかは研究を再開したいとの願望を抱き続けていた。そして、昭和36年1月、社長を退任し、会長に就任したのを機に、研究再開の準備を始めた。

たまたま前年末に、京都東山山麓の景勝の地に得ていた庵を「真々庵」と名づけ、ここをPHP研究の場とすることにして、8月18日、ささやかな開所式を挙行、10人足らずの研究所員とともに研究を再開した。昭和25年以来、PHP誌の編集のみを続けてきた研究所の活動に、再びPHP研究が加わることになったのである。

その後昭和42年11月に、PHP研究所の新ビルを京都駅南口前に建設、研究の本拠を移した。その後も、真々庵は思索の場として活用されていたが、昭和55年に、数少ない日本庭園の保存への思いを込めて、建物を改築し、新たに「松下美術苑一真々庵」として開苑、庭園を末長く保存することにした。