110. 「経営指導料」について発表 1963年(昭和38年)

世界の超一流企業フィリップス社との提携により発足した松下電子工業の躍進ぶりは、年がたつにつれて、評価が高まった。しかし、この会社の発足に当たり、会長が「経営にも価値がある」との信念から、フィリップス社の技術指導料に対して、経営指導料を要求し、フィップス社の了解を取りつけたいきさつは、一般にはあまり知られていなかった。

当時、貿易為替の自由化の推進とともに、資本の自由化も取りざだされるようになり、日本経済は本格的な開放経済体制へと移行する情勢となった。こうした推移の中で、会長は、他力本願の日本経済は今や“経済国難”ともいうべき難局に直面しているとの認識を強めていた。

たまたま昭和38年2月に、和歌山県の白浜で開かれた第1回関西財界セミナーで講演をした会長は、この「経営指導料」を得たいきさつを紹介した後、「経営価値というものをもっと自覚することにより、お互いに経営者としての尊厳を高める必要がある。その上で、他力によらず自力によってこの難局を切り抜けなければならない」と経営の衝に当たるものの心構えを説いた。