大阪万博EXPO’70 ~よみがえる松下館と万博が描いた未来~
和を貴びつつ:松下幸之助が残したメッセージ
会期:2018年7月14日(土)~9月1日(土)
1970(昭和45)年、「人類の進歩と調和」をテーマに大阪で開催された日本万国博覧会。
万博直後に発刊された『PHP』(1970年10月号)に幸之助は「和を貴びつつ」というコラムを執筆、万博での“ソ連館”と“日本館”の違いに触れ、日本が自国の伝統や精神がないがしろにされているのではないかと苦言を呈します。
幸之助は、聖徳太子が定めた十七条の憲法の第一条「和を以て貴しと為す」=平和の精神から、日本人はもともと平和の精神を持つ人種であるとし、新しく迎えた70年代の幕開けに日本は先陣を切って世界平和と繁栄に貢献しなければならない、と結びました。
“認識を改めなければならない”
万国博覧会の開催が決定し、日本中が万博ムードに包まれた中、その前哨戦となったモントリオール博(EXPO’67 カナダ)に出展された日本館の評価は下から2番目でした。
当時、“見本市のちょっと高度化したもの”というような認識しかなかった状況に対し、幸之助は「もっと力強い高度なものを行って、それに商売を結び付けるような考えをもってはならない」と、警鐘を鳴らしました。
出展契約を結ぶ
1968(昭和43)年10月、「松下館」の具体案を日本万国博覧会協会に提出しました。
天平時代を思わせる建築様式を採用、タイムカプセル展示、茶室で来館者に閑静なひと時を味わってもらう内容で、幸之助の構想に基づいていました。
伝統と開発 ― 5000年後の人びとに
私たちは祖先から受け継いだ伝統を世界に誇れる財産として、後世に伝えていかねばならない。同時にこれらの伝統の上に立って、新しい未来を拓く科学技術の開発を社会文化の発展のために力強く推し進めねばならない。
古きものと新しいもの、この静かなものと激しいものの織りなす姿が、今日の人間社会の繁栄と進歩を築きあげてきた。
これは永久に変わることのない真理。こうした思いに立ち「松下館」は、日本古来の伝統の美しさと技術力のたくましさとの調和の姿を表しました。
幸之助のメッセージ
「1970年代という新たな時代に直面し、お互い日本人にとっては、日本に物心の調和のとれた好ましい姿を生み出し、さらに進んでは、世界全体の真の平和と繁栄に貢献していく、大きな責任が課せられている。
その責任を果たすためには、お互い日本人一人一人が、日本の歴史を正しく知り、そこに流れている日本人のとしての伝統の精神の根底をなす“和を貴ぶ精神”を正しく認識し、これを現在、将来においてよりよく生かしていくことが何よりも肝要だと思うのである。」