「まずはお試し用のEVをすぐに手配します」
「導入計画のところから一緒に作ります」
設立間もないEVolity、丸紅から参画した営業メンバーは、ひっきりなしに顧客へアプローチをかけていた。
大手商社・丸紅のネットワークは大きな強みだ。しかし、それだけではない。ニュースを見て気になる顧客候補がいれば、すぐさま連絡を入れる。社内の他部門が持っているつても活用しながら、どんどんコンタクトを取っていく。面識のない見込み客にも電話でアプローチするコールドコールのようなアクションも積極的に行う。
「多くのお客様との対話を通じて、リアルな社会動向やお困りごとを深く理解していることが我々の真の強み」と強調するのは、EVolityに執行役員CSOとして出向している中根史敬。自身も前線へと出向き、直接、顧客との対話を重ねる。
積極的な営業活動で多くの顧客の声を聞きながら、ニーズを探っていくのがEVolityのスタイル。アプローチしてきた企業は1年半で400社を超えた。

執行役員CSO 中根 史敬
「このような機能があれば使っていただけますか。すぐにリリースします」。
顧客候補を訪ね、資料を1枚見せてこう投げかける営業担当。EVolityの営業スタイルは、熟練技術者たちの定石とは一線を画していた。
「メーカーとして、モノが完成して品質を確保してから提供する考えしかなかった」と話すのは執行役員CTOとして出向する上田伊織。「正直、まだ表示できていない項目があるのに持っていくの?と面食らったことも……」と打ち明けつつ、「しかし、重要なのはこの段階での完成度ではなかったと気付かされた」と続ける。
ミニマムな形、シンプルな形でリリースをしてお客さまの反応を得ていき、変更あるいは機能を付け足していく開発スタイル。要望を次々と具体化し、2週間後にはまた次の“ベータ版”を持って再訪することもある。各企業へのアプローチは、ほとんどが同時進行。それでも「皆で知恵を出し合って乗り切ってきた」とサービスをつくり上げるプロセスを明かす。

執行役員CTO 上田 伊織
そうしたヒアリングやトライアルの積み重ねは、EV管理システムの修正にも及んだ。
その一つが既存のガソリン車などを含む全車両を管理できる仕組みへの変更だ。開発当初はEV化時の課題解決を目的に設計していた。しかし、「EV化するのはまだ数台程度」というEV導入の過渡期ならではの実態に合わせて開発方針を変更した。また、運行情報を表やグラフで表示する機能は便利だが、実際はそれを見る時間や人員を割けることは少ないと分かり、システムを起動しなくても異常をメールで知らせる通知機能を強化、充実させた。このような柔軟な開発姿勢が、システムの進化を促進している。

車両ごとに電池の状態などの情報を集約した管理システム。異常発生など必要な時にだけメール等で知らせるアラート機能を備えている
「まずはお試し用のEVをすぐに手配します」
「導入計画のところから一緒に作ります」
設立間もないEVolity、丸紅から参画した営業メンバーは、ひっきりなしに顧客へアプローチをかけていた。
大手商社・丸紅のネットワークは大きな強みだ。しかし、それだけではない。ニュースを見て気になる顧客候補がいれば、すぐさま連絡を入れる。社内の他部門が持っているつても活用しながら、どんどんコンタクトを取っていく。面識のない見込み客にも電話でアプローチするコールドコールのようなアクションも積極的に行う。
「多くのお客様との対話を通じて、リアルな社会動向やお困りごとを深く理解していることが我々の真の強み」と強調するのは、EVolityに執行役員CSOとして出向している中根史敬。自身も前線へと出向き、直接、顧客との対話を重ねる。
積極的な営業活動で多くの顧客の声を聞きながら、ニーズを探っていくのがEVolityのスタイル。アプローチしてきた企業は1年半で400社を超えた。

執行役員CSO 中根 史敬
「このような機能があれば使っていただけますか。すぐにリリースします」。
顧客候補を訪ね、資料を1枚見せてこう投げかける営業担当。EVolityの営業スタイルは、熟練技術者たちの定石とは一線を画していた。
「メーカーとして、モノが完成して品質を確保してから提供する考えしかなかった」と話すのは執行役員CTOとして出向する上田伊織。「正直、まだ表示できていない項目があるのに持っていくの?と面食らったことも……」と打ち明けつつ、「しかし、重要なのはこの段階での完成度ではなかったと気付かされた」と続ける。
ミニマムな形、シンプルな形でリリースをしてお客さまの反応を得ていき、変更あるいは機能を付け足していく開発スタイル。要望を次々と具体化し、2週間後にはまた次の“ベータ版”を持って再訪することもある。各企業へのアプローチは、ほとんどが同時進行。それでも「皆で知恵を出し合って乗り切ってきた」とサービスをつくり上げるプロセスを明かす。

執行役員CTO 上田 伊織
そうしたヒアリングやトライアルの積み重ねは、EV管理システムの修正にも及んだ。
その一つが既存のガソリン車などを含む全車両を管理できる仕組みへの変更だ。開発当初はEV化時の課題解決を目的に設計していた。しかし、「EV化するのはまだ数台程度」というEV導入の過渡期ならではの実態に合わせて開発方針を変更した。また、運行情報を表やグラフで表示する機能は便利だが、実際はそれを見る時間や人員を割けることは少ないと分かり、システムを起動しなくても異常をメールで知らせる通知機能を強化、充実させた。このような柔軟な開発姿勢が、システムの進化を促進している。

車両ごとに電池の状態などの情報を集約した管理システム。異常発生など必要な時にだけメール等で知らせるアラート機能を備えている
これまでにない事業視点で、
成長を続けるメンバーたち

システムのアップデートを支える石原は、長年の経験をもとにこう振り返る。
「私たち開発陣も営業のスピードに負けないように連携を取って進めてきた。常に意識しているのは、お客さまの要望をいかに早く製品仕様に落とし込むか。ユーザビリティや画面デザインの作り込みを内製できる体制を構築したことも、スピードアップにつながったと思う。すぐにお客さまからフィードバックが得られる環境も整っていて、実際にリリースした後に『見た目が分かりやすくて良い』とコメントをいただけたときは、本当にうれしかった」。

丸紅の営業メンバーと議論する石原(左)
リソースが限られ各自に自律的な活動が求められるスタートアップ的な事業運営の中で、若手社員も頼もしい成長を遂げている。2024年6月にマーケティング担当として加わった青山誠治は、広報も営業活動もと奮闘中だ。
青山が感じているのは、「EVolityで求められるのは顕在化している課題の解決だけでなく、そもそも会社が何に取り組むべきかの目標と、それに対する課題と解決策を一緒に提案して最後まで責任を持って完遂すること」。セミナーの開催やWEB集客の改善策など、サービス周知や会社運営などに必要なことを自ら提案し、日々多方面で取り組みを推進している。
そして、商社の実力を目の当たりにする日々を過ごし、「事業は、作ると売るの両輪。確実に売ること、その後のフォローを含めてお客さまの信頼を得る過程は学びの連続です」とも話す。「車両にトラブルがある」と電話を受ければ、即座に顧客の元を訪ね対応する。顧客の反応やニーズを肌感で得て、マーケティングや広報活動に生かすことがやりがいにつながっている。

マーケティング担当 青山 誠治
これまでにない事業視点で、
成長を続けるメンバーたち

システムのアップデートを支える石原は、長年の経験をもとにこう振り返る。
「私たち開発陣も営業のスピードに負けないように連携を取って進めてきた。常に意識しているのは、お客さまの要望をいかに早く製品仕様に落とし込むか。ユーザビリティや画面デザインの作り込みを内製できる体制を構築したことも、スピードアップにつながったと思う。すぐにお客さまからフィードバックが得られる環境も整っていて、実際にリリースした後に『見た目が分かりやすくて良い』とコメントをいただけたときは、本当にうれしかった」。

丸紅の営業メンバーと議論する石原(左)
リソースが限られ各自に自律的な活動が求められるスタートアップ的な事業運営の中で、若手社員も頼もしい成長を遂げている。2024年6月にマーケティング担当として加わった青山誠治は、広報も営業活動もと奮闘中だ。
青山が感じているのは、「EVolityで求められるのは顕在化している課題の解決だけでなく、そもそも会社が何に取り組むべきかの目標と、それに対する課題と解決策を一緒に提案して最後まで責任を持って完遂すること」。セミナーの開催やWEB集客の改善策など、サービス周知や会社運営などに必要なことを自ら提案し、日々多方面で取り組みを推進している。
そして、商社の実力を目の当たりにする日々を過ごし、「事業は、作ると売るの両輪。確実に売ること、その後のフォローを含めてお客さまの信頼を得る過程は学びの連続です」とも話す。「車両にトラブルがある」と電話を受ければ、即座に顧客の元を訪ね対応する。顧客の反応やニーズを肌感で得て、マーケティングや広報活動に生かすことがやりがいにつながっている。

マーケティング担当 青山 誠治
事業領域の違う
共創パートナーと起こせ、イノベーション

事業領域の違う
共創パートナーと起こせ、イノベーション

競合も勢いを増す中、EVolityは市場での存在感を確立しつつある。営業力と技術力。丸紅とパナソニックが持つ二つの力が化学反応を起こしているのだ。
これは会社を設立したからこそだと中根は言う。
中根はEVolity立ち上げ時を振り返り、「会社にしないといけないのかと問われたこともあった」と明かす。「しかし今回は、既存事業で足りないものを補うためにパートナーと協業するのではない。EVの普及そのものを加速させていくためには、個々のサービスの実証実験ではなく“事業”として運営する必要があると考えた。市場のダイナミックな変化を捉え、事業のあり方も含めた仮説検証にチャレンジしたいと主張し、合意を得て会社設立に至った」。その経緯が気骨を物語っている。
上田も「自社だけのプロジェクトではなく、パートナーと共に本気で取り組んでいる事業。その責任をしっかり果たしていこうという気持ちが、大きな原動力になっている」と表情を引き締める。顧客や取引先からは、パナソニックの中のプロジェクトではなく、新たな会社としての取り組みに「本気度が違いますね」と言われたこともあった。
お客さまからは、パナソニックのバックボーンにも信頼を寄せていただいている。さらに他社協業でのビジネス創出という機会を生かし、中根は「パナソニックの製品や技術への信頼からEVolityとしての取引につながったケースも少なくない。EVの普及により、エネルギー分野でも大きな変化が起こることが想定される中、パナソニックグループの各事業会社とも連携し、新たなビジネスモデルの事業を創出することで、パナソニックの将来につなげていきたい」と前を見据える。そして、「この取り組みが、新たな挑戦に踏み出す人の勇気になればうれしい」と添える。
技術者の視点とビジネスサイドの視点を掛け合わせて、未踏の領域に突き進む、EVolity――。
産業全体を見渡しながら、彼らはこれからも幅広い顧客に受け入れられるサービスを突き詰めていく。
「そろそろうちの営業車をEV化できないか」
「パートナーとして一緒にEV普及に携われないか」
事業領域の違う
共創パートナーと起こせ、イノベーション

競合も勢いを増す中、EVolityは市場での存在感を確立しつつある。営業力と技術力。丸紅とパナソニックが持つ二つの力が化学反応を起こしているのだ。
これは会社を設立したからこそだと中根は言う。
中根はEVolity立ち上げ時を振り返り、「会社にしないといけないのかと問われたこともあった」と明かす。「しかし今回は、既存事業で足りないものを補うためにパートナーと協業するのではない。EVの普及そのものを加速させていくためには、個々のサービスの実証実験ではなく“事業”として運営する必要があると考えた。市場のダイナミックな変化を捉え、事業のあり方も含めた仮説検証にチャレンジしたいと主張し、合意を得て会社設立に至った」。その経緯が気骨を物語っている。
上田も「自社だけのプロジェクトではなく、パートナーと共に本気で取り組んでいる事業。その責任をしっかり果たしていこうという気持ちが、大きな原動力になっている」と表情を引き締める。顧客や取引先からは、パナソニックの中のプロジェクトではなく、新たな会社としての取り組みに「本気度が違いますね」と言われたこともあった。
お客さまからは、パナソニックのバックボーンにも信頼を寄せていただいている。さらに他社協業でのビジネス創出という機会を生かし、中根は「パナソニックの製品や技術への信頼からEVolityとしての取引につながったケースも少なくない。EVの普及により、エネルギー分野でも大きな変化が起こることが想定される中、パナソニックグループの各事業会社とも連携し、新たなビジネスモデルの事業を創出することで、パナソニックの将来につなげていきたい」と前を見据える。そして、「この取り組みが、新たな挑戦に踏み出す人の勇気になればうれしい」と添える。
技術者の視点とビジネスサイドの視点を掛け合わせて、未踏の領域に突き進む、EVolity――。
産業全体を見渡しながら、彼らはこれからも幅広い顧客に受け入れられるサービスを突き詰めていく。
「そろそろうちの営業車をEV化できないか」
「パートナーとして一緒にEV普及に携われないか」
そう考えた時には、このEVolityメンバーの顔を浮かべてほしい。
(2025年3月取材)
記事の内容は制作当時のものです。
取り組み状況や組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
(2025年3月取材)
記事の内容は制作当時のものです。
取り組み状況や組織の変更等により、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。