空気がないと音は聞こえない

みんなの周りには、とてもたくさんの音があるよね。車の音、足音、ボールが弾(はず)む音、などなど。音は耳で聞いているわけだけど、実は音として聞こえるように耳まで届(とど)けてくれるのは、空気なんだ。耳の奥(おく)には、音を聞くのに必要な鼓膜(こまく)がある。空気が海の波のように揺(ゆ)れて、この鼓膜を揺すると、それを音だと感じることができるというわけ。高い音、低い音、うるさい音、静かな音、いろんな音があるのは、音が大きさや強さの違(ちが)う空気の波になって耳に届くからなんだよ。

宇宙(うちゅう)では音は聞こえない。音を伝えてくれる空気がないからだね。


寒い日は音が遅(おそ)くなる?

音は空気を波のように揺(ゆ)らしながら耳に伝わってくる。その、音を運ぶ役目をしている空気の温度が変わると、何と音が伝わる速さも変わってくるんだ。

まず、音には速さがあって、これは音速と呼(よ)ばれている。空気の中を1秒間に約331メートル進む速さを「マッハ1」というよ。これは0度のときの音の速さなんだ。だけど、気温が1度上がるごとに、音速は0.6メートル速くなるんだ。だから、暖(あたた)かければ暖かい程(ほど)音は速くなるし、寒ければ寒い程遅くなる。これは空気の動きが原因(げんいん)。空気は暖かければ元気に動くし、寒ければ動きが鈍(にぶ)くなっちゃうからだ。寒い日は音を伝えるのも大変なんだ!


糸電話ってどうして聞こえるの?

紙コップ2つの底を1本の糸でつなげれば、はい、糸電話のでき上がり! 片方(かたほう)の紙コップに口をつけて話をすると、反対の紙コップにちゃんと声が届(とど)く。一体どんな仕組みなんだろう?

音は空気を伝わって耳に届くけど、実は空気以外にもいろんな物が伝えてくれるんだ。糸電話の場合、音を伝えているのは糸。しかも、糸は固体で、気体の空気よりも音をしっかり伝えてくれる。空中を伝わる音はだんだん弱くなっちゃうけど、固体の物は音を弱めることなく伝えられるんだよ。ここでポイントは、糸をピンピンにしておくこと。すると、強く音を伝えてくれる。でも糸を途中(とちゅう)でつまむと、音は伝わらないぞ。


おふろやトンネルで声が響(ひび)くのはどうして?

おふろで歌うと、よく響いてきれいな声に聞こえる。トンネルの中でも大きな声を出すと、少しの間声が響いて聞こえるよね。なぜだろう?

それは、音が壁(かべ)に当たって跳(は)ね返ってくるから。反射(はんしゃ)というんだ。音がどんどん広がっていこうとするのに、その先に壁がある。そうすると、音は壁にぶつかって戻(もど)ってきてしまうんだ。固い壁程(ほど)よく跳ね返るよ。特に、おふろやトンネルのように狭(せま)くて壁が固い場所だと、音はよく跳ね返ってきて次々(つぎつぎ)に耳に届(とど)く。音はやがて弱まって消えてゆくから、新しい音と消えそうな音が響き合って、きれいに聞こえるんだ。


聞こえない音もあるの?

どんな音でも耳で聞けるのかというと、何と人の耳では聞こえない音もある。超音波(ちょうおんぱ)と超低周波という音だよ。これは、人の耳には聞こえない位高い音と低い音のこと。人の耳で聞くことができる音の高さには限(かぎ)りがあって、それを超(こ)えた音は聞こえないんだ。

じゃあ実際(じっさい)どんな音なんだろう? 超低周波というのは、音というよりも、空気の揺(ゆ)れや揺らぎのこと。人間には音だってことも分からないんだ。超音波は、イルカ同士が会話したり、コウモリがエサを探(さが)す時に使ってる音。ほかにも、船が魚を探す時などにも使われているよ。人間にもイルカの会話が聞こえたら素敵(すてき)だね。


マイクはどうして音を大きくだせるの?

マイクを使うと声が大きくなるけど、あれはどんな仕組みになっているんだろう? マイクっていうのは、空気に運ばれてきた音の波を、電気信号に変える装置(そうち)。マイクの中で空気は、運んできた音の波を電気に渡(わた)すんだ。すると音の波は電気信号に変身。電気信号になったなら、電気の強さを変えることで、音の大きさを自由にできるし、電線を通って遠くまで行くこともできる。パワーアップするというわけだね。

テレビやラジオ、電話も音を電気信号に変えているから、すごく遠くにいても声や音を聞くことができる。ちなみに、マイクの正しい名前は「マイクロホン」っていうんだよ。


声はどうやって出るの?

あ~と声を出しながらのどに触(さわ)ってみると、のどは小さく震(ふる)えている。この震えが声の元だ。みんなが息を吐(は)く時空気がのどを通るよね。その時に、のどにある声帯という膜(まく)に空気が当たって震えるんだ。でも、声帯に空気が当たっただけじゃ、まだ声にはならない。舌(した)の形、くちびるの形、あごの開き具合いや鼻(はな)から通る空気などが組み合わさって、出てきた空気の音をいろんな声に変えているんだよ。

男の人は、女の人より声が低いよね。男の人は声帯も空気の通る道も女の人よりも大きいので、いろんな声の出し方ができる。だからずっと低い音も出せるようになっているんだよ。


音は触(さわ)ることができる

音の鳴っている太鼓(たいこ)の前に立つと、ビリビリしたり、風が吹(ふ)いているように感じることがあるでしょう。これは、音を伝えるための空気の震(ふる)え。目には見えないけど、触ったり感じたりすることはできるんだね。たくさん音を感じたいなら、大きな太鼓を強くたたけばいい。たたく面が大きいほど揺(ゆ)らせる空気の量が増(ふ)えるし、強くたたくほど勢(いきお)いよく揺れるからだ。

でも、全部の音が触れるとしたら大変。だって音はいつも周りにあるから、ずっとびりびり体に当たってきちゃう。だけど、大丈夫(だいじょうぶ)だよ。音って、いろんな方向に広がって進んでいるものだし、遠くにいくとどんどん小さくなっていくから。


人はみんな川の音が好きなんだ

小川がさらさら流れる音を近くでじっと聞いてみよう。きっと眠(ねむ)くなってくるよ。川のせせらぎの音には、疲(つか)れた人の心を休ませてくれる効果(こうか)があるんだって。どうしてだろう? それは、せせらぎの音を聞くと「アルファ波」といって、人が気持ちいいと感じて安らげる脳波(のうは)になるからなんだ。音は耳から脳に伝わって、脳にも波を起こしているんだね。

人は、小鳥の鳴き声や海の小さな波の音を聞いても気持ちよく感じる。これも、小川と同じようなアルファ波になるからだ。どれも自然の中の音だね。だから疲れた時は山に登って自然の音をいっぱい聞くと、元気になれるんだよ。


風の音はどうして聞こえるの?

風が強く吹(ふ)いている日って、ビュービューって音がするよね。あれって風の音なんだろうけど、一体どこから聞こえてくるんだろう? それは空気の渦(うず)ができるからなんだ。強く吹いている風は、壁(かべ)とか電線にぶつかった途端(とたん)、割(わ)れちゃうんだ。割れた風は、ぶつかったものの後ろに回り込(こ)んで、ぐるぐると空気の渦を作る。渦は、風が吹いている限(かぎ)り、どんどん生まれては消えていく。そうやって、いくつもできたり消えたりする渦が空気の波を作って音がビュービューって出るんだよ。

縄(なわ)跳(と)びしている時も、びゅんびゅんっていうよね。あれは、縄が空気を割って、その周りで渦ができるからなんだよ。


パトカーの音で犬がいつもと違(ちが)う声で鳴くのはどうして?

さて、ちょっとクイズにしてみよう。パトカーのサイレンが聞こえると犬がいつもと違う声で鳴くよね。あれはどうしてかな?

A・パトカーの音が犬の遠ぼえに似(に)ているから。

B・事件(じけん)が起こったことが分かるから。

C・赤いランプに興奮(こうふん)するから。

正解(せいかい)はA。でも、犬の遠ぼえとパトカーの音ってあまり似ていないと思うよね。これは、どういうこと何だろう? それはね、聞こえる音そのものじゃなくて、音を運ぶ空気の揺(ゆ)れ方が原因(げんいん)。音は空気が震(ふる)えることで耳に届(とど)くんだけど、その時の空気の波が、犬が遠ぼえした時の空気の波に似ているからなんだ。

犬の遠ぼえは、ずっと昔、まだ犬が野生で暮(く)らしていた時の癖(くせ)で「ここはぼくのナワバリだぞ」とか「ぼくはここにいるよ~」っていう仲間同士のあいさつ。だからパトカーの音を聞くと、仲間がほえていると間違えて、ついつい返事をしちゃう。でも、夜に遠ぼえされたらうるさいよ~。


音楽で人の気持ちは変化する

音楽を聞くと眠(ねむ)くなったり、気持ち良くなったり、反対に悲しくなったり、興奮(こうふん)したりすることがある。これは、どんな音楽を聞いているかで、どんな気持ちになるかが変わるからなんだ。みんなの脳(のう)には脳波といって、いろんな気持ちの素(もと)になっている波がある。音楽はその波を変えることができるんだ。音楽ってすごいね!


ガラガラヘビがガラガラ音を出す訳(わけ)は?

野生の動物は、厳(きび)しい自然の中で生きていて、弱いと強い動物に負けて食べられちゃったりする。でも、やっぱり生きていたいから、何とかして自分を守ろうとする。そこで、みんないろんな工夫(くふう)をしているんだ。ガラガラヘビが音を出すのは、「ぼくには毒があるから食べられないよ」ってほかの動物たちを脅(おど)かすためなんだ。体中とげだらけのやまあらしは、逆(さか)立てたとげを擦(こす)り合わせて音を出して「ぼくを食べないで」って合図をするんだよ。

普段(ふだん)生活してる時はベータ波という脳波なんだけど、静かな音楽や鳥の鳴き声、川のせせらぎを聞くとアルファ波という脳波になって、とてもリラックスできる。ほかには、ぼんやりしてる時のシータ波、寝(ね)ている時のデルタ波というのがあるよ。


なぜ救急車(きゅうきゅうしゃ)の音は、前を通り過(す)ぎると変わるの?

ピーポーパーポーって救急車がやってくる。目の前を通り過ぎた途端(とたん)、サイレンの音が変わったってことない? 気のせいなんかじゃなくて、これにはちゃんとした理由があるんだ。

音が高く聞こえるか低く聞こえるかは、音を伝える空気の波の揺(ゆ)れる回数で決まる。揺れる回数が多ければ高い音、少なければ低い音だ。救急車のサイレンが近づいてくると、空気の波が押(お)されて揺れる回数がどんどん増(ふ)えて、大きく高い音に聞こえる。目の前を通り過ぎると、空気の波は遠くなって、揺れる回数も減るから小さく低い音に聞こえる。自分を中心に、音は高い音から低い音に変わるんだ。これをドップラー効果(こうか)と呼(よ)ぶんだよ。


騒音(そうおん)ってどんな音?

車の音や飛行機が飛んでいく音って、気になりだすと結構(けっこう)うるさい。うるさい音はみんな騒音なのかな? 普通(ふつう)は、その音がうるさくて会話ができなかったり、眠(ねむ)れなかったりして、できればないほうがいいと思う音のことを騒音というけど、それは人それぞれ。嫌(きら)いな音なら、小さな音でも騒音になってしまうんだ。

騒音のレベルにはデシベルという単位を使う。よく聞かないと聞こえない騒音が0デシベルで、例えば地下鉄の中は100デシベルという風に表すよ。何デシベル以上が騒音という決まりはないけど、電車や飛行機などはうるさくならないようにいろんな工夫(くふう)をしている。みんなが工夫をすれば、騒音なんてなくなるのかもね。