エネルギーって何だろう?

私(わたし)たちは、毎日たくさんのエネルギーを使っているね。でもエネルギーって、いったい何だと思う?エネルギーは、何かを動かしたり、力を出したりする時に使われるものだ。たとえば、きみがどこかへ出かけるとしよう。自分で歩いて行くなら、きみの体の中ではエネルギーが使われている。自動車を使って行くと、ガソリンというエネルギーが使われる。

大昔は人の手でなんでもやっていたけれど、新しいエネルギーが発見されて、その力を利用することが多くなった。それが、電気やガスや、ガソリンなどのエネルギーだよ。お湯をわかしたり、夏にクーラーを入れたり、テレビを見たり、生活のあらゆるところでエネルギーが使われている。

エネルギーは、生活を便利で豊(ゆた)かにしてくれる。でも自分の体を動かさずにエネルギーばかりに頼(たよ)っていたら、エネルギー資源(しげん)が不足したり、地球の環境(かんきょう)が悪くなったり、困(こま)ったことが起きてくる。これからは、エネルギーの上手な使い方を考えていきたいね。


いつからエネルギーを使うようになったの?

エネルギーの発見は、約数十万年前だといわれている。それまで人は長い間、自分の体だけを使ってエネルギーにしていた。ある時、人は山火事を見て、火という新しいエネルギーを発見したんだ。火を使えば、体を暖(あたた)めたり、明かりとして使ったり、肉を焼いたりすることができる。火の発見は、人類がエネルギーを使う始まりになったんだね。

1万年ほど前から、牧畜(ぼくちく)と農業が始まる。そこで牛や馬などの力、つまりエネルギーを使って、田畑を耕(たがや)したり、荷物や人を運(はこ)んだりするようになった。さらに水のエネルギーを利用した水車や、風のエネルギーを利用した風車を使って、穀物(こくもつ)をひいたり水をくみ上げたりするようになった。こうして、人の労力を減(へ)らすことができたんだね。

さらに18世紀後半になると、イギリスで産業革命(さんぎょうかくめい)が起こる。そこで蒸気機関車(じょうききかんしゃ)などを動かすのに利用されたのが、石炭のエネルギーだ。19世紀半ばになると石油が発見され、工業はますます発達していく。電気を使うテレビやコンピュータなどが次々と作られ、人が使うエネルギーの量はものすごいいきおいで増(ふ)えたんだ。


くらしの中でエネルギーはどんな役目をしているの?

わたしたちは、毎日の生活でたくさんのエネルギーを使っている。町の中ではどうだろう。自動車を動かしているのは、ガソリンだね。電車が動いているのは、電気でモーターを動かしているからだ。照明や信号機を動かしているのは電気。エレベーターやエスカレータ、駅の改札(かいさつ)口など、電気で動いているものでいっぱいだ。

家の中では、どんなエネルギーを使っているかな。台所では、たとえばガスコンロで料理をしている。おふろも、ガスを使っている家が多いかな。中でも電気のエネルギーは、家のあちこちで使われている。テレビ、パソコン、エアコン、冷蔵庫(れいぞうこ)、洗濯機(せんたくき)や掃除機(そうじき)もそうだね。LEDライトなどの光にもなるし、ヒーターや電子レンジのようにものを温めることもできる万能(ばんのう)選手なんだ。

今では、電気のない生活は考えられないかもしれないね。だけど、日本では電気が使われるようになったのは120年ほど前のこと。電化製品(でんかせいひん)が使われるようになったのは、50年ほど前からだ。外国では、電気が通っていないところが今でもあるんだよ。


電気はどこから来るのかな?

スイッチを入れると、すぐに電気が使えるよね。だけど電気って、どこで作られて、どこを通って家まで届(とど)いているのかな。電気が作られているのは、発電所だ。発電所には火力発電所、水力発電所、原子力発電所などがある。発電所では、ボイラーで水をわかし、蒸気(じょうき)を発生させている。ボイラーで作られた蒸気は、タービンとよばれる大きな羽根車を回す。このタービンの軸(じく)は発電機につながっていて、電気を作っているんだよ。

火力発電所では石油や石炭、天然ガスなどを燃(も)やして、水を温め蒸気を作る。原子力発電所では、ウラン鉱石(こうせき)が核分裂(かくぶんれつ)で生まれる熱を利用して、水を温め蒸気を作る。水力発電所では水の力で水車を回して、その回転で電気を作る。使う燃料(ねんりょう)はそれぞれだけど、同じ電気が作られるんだね。

発電所で作られた電気は、送電線を通って次に変電所へ送られる。発電所で作られた電気はそのままでは使えないから、変電所で使いやすい電気に変えているんだ。そして配電線を通って、みんなの家のコンセントまで電気は運(はこ)ばれて行くんだよ。発電所は広い土地とたくさんの水が必要だから、山の中や海の近くにあることが多い。電気は長い旅をして、家までやってくるんだね。


化石燃料(かせきねんりょう)はどうやって作られるの?

電気などのエネルギーは、そのもととなる資源(しげん)が必要だ。エネルギー資源には、石炭、石油、天然ガスなどがある。これらは、化石燃料とよばれている。火力発電所で電気を作るほか、石油でプラスチック製品(せいひん)を作るなど、化石燃料はさまざまな用途(ようと)に使われているよ。

石炭、石油、天然ガスは、何億年も前に地球上にいた植物や水中のプランクトンなどの死がいが海や湖の底にたまり、バクテリアなどによって分解(ぶんかい)され、地熱で温められて変化したものだ。地中深くにうもれて、強い力で押(お)さえつけられ、長い年月をかけて植物は石炭になり、プランクトンなどは石油や天然ガスになったんだよ。

石油は主にアラビア湾岸諸国(わんがんしょこく)で多くとれ、石炭は主にアメリカや中国、ロシアなどでとれる。日本ではこれらのエネルギー資源を輸入(ゆにゅう)して、火力発電所で燃(も)やして蒸気(じょうき)を作り、タービンを回して電気を作っている。このほか、石油はガソリンや灯油を作る原料にもなる。化石燃料は、エネルギーを作るのに欠かせないものになっているんだね。


化石燃料(かせきねんりょう)が足りなくなるの?

電気やその他のエネルギーを、わたしたちは毎日なにげなく使っているよね。だけど、便利だからといってどんどん使いすぎていると、いずれなくなってしまうよ。エネルギーは、限(かぎ)りある資源(しげん)なんだ。

世界で今、最も多く使われているのが、石炭や石油などの化石燃料だ。特に石油は液体(えきたい)で使いやすく、使い道も多いため世界中で使われてきた。しかし、新たな油田の発見が減少しており、将来的には利用できる石油の量にも限界があると言われている。石炭や天然ガスも、使い続ければいずれはなくなる。もし、使い切ってしまったら、その後はどうするんだろう。化石燃料は何千万年もかかってできたものなのに、人は作られた年月の何万倍もの早さで使っている。次の世代に何も残さないで、このまま使い続けていいのかな。

化石燃料以外のエネルギーだって、同じこと。原子力発電に使われるウランも天然の鉱石であり、限りがある。まきだって、木を切って使っているよね。資源を使いつくさないためにどうしたらいいのか、しっかり考えないといけないよね。私たち一人ひとりがエネルギーの使用について意識を持ち、賢(かしこ)く行動することが求められているよ。

 


日本ではエネルギーを使いすぎてない?

エネルギー資源(しげん)を埋蔵(まいぞう)している国は、石油ならアラビア湾岸諸国(わんがんしょこく)など、一部の地域(ちいき)に集まっている。そしてエネルギーを使っている国は、先進国といわれる国に集中している。資源を持っている国と、使っている国とで、ずいぶんかたよりがあるんだね。一方、アフリカのように、エネルギーの多くをまきに頼(たよ)っている地域もある。世界にはあまりにも格差(かくさ)があると思わないかな。

日本は、アメリカや中国、ロシアに次いでエネルギーをたくさん使っている国だ。日本には石油や石炭などのエネルギー資源がほとんどないから、80%以上を輸入(ゆにゅう)に頼っている。そして1980年代の半ば以降(いこう)、日本でのエネルギー消費は、ずっと増(ふ)え続けているんだ。特に考えなくてはならないのは、家でのエネルギー消費が増えていることだ。毎日の生活の中で、電化製品(せいひん)や自動車を使うことが多くなっているんだよ。

近年、中国やインドが急速に経済(けいざい)成長を続けている。発展(はってん)と共に、たくさんのエネルギーを消費するようになるだろう。化石燃料(ねんりょう)がたりなくなるといわれている中で、世界に大きな影響(えいきょう)を与(あた)えることになるだろうね。


エネルギーを使うと地球がよごれるの?

人類はたくさんのエネルギーを作り出し、使い続けている。これが地球に、さまざまな問題を起こしていることを忘れてはならないよ。石油や石炭などの化石燃料(ねんりょう)を燃(も)やすと、有害な気体が発生して空気がよごれてしまう。二酸化硫黄(にさんかいおう)や一酸化窒素(いっさんかちっそ)などが発生すると、有害な水滴(すいてき)になり酸性雨(さんせいう)となってふってくる。酸性雨は木や植物などを枯(か)らし、土の中にしみこんで川などに入り、魚や水中の生物にも害を与(あた)えるんだ。

近年、心配されているのが、二酸化炭素(にさんかたんそ)による地球温暖化だ。石油や石炭などの化石燃料を燃やすと、二酸化炭素がたくさん排出(はいしゅつ)される。二酸化炭素は地球の熱をにがさないように、温室のようなはたらきをするんだ。地球の気温が高くなると、北極や南極の氷がとけて海面が上昇(じょうしょう)し、低い土地はのみこまれてしまう心配がある。

それから、事故(じこ)によって大きな被害(ひがい)をおよぼすこともある。タンカーから原油がもれる事故が起きると、海が油にまみれてたくさんの鳥や海洋生物が死んでしまう。原子力発電所が爆発(ばくはつ)事故を起こして、放射能(ほうしゃのう)がもれると、多くの人が死に、何年も農作物が汚染(おせん)されることもあるんだよ。


自然エネルギーってどんなもの?

化石燃料(ねんりょう)は便利だけれど、資源(しげん)には限(かぎ)りがあるし、地球温暖化(おんだんか)の原因(げんいん)になるなどの問題がある。そこで自然の力を利用したエネルギーが、注目されているよ。これらは二酸化炭素(にさんかたんそ)や環境(かんきょう)をよごす物質(ぶっしつ)などを出さないから、地球にやさしいんだ。

・エネルギー・太陽光発電
太陽の光をソーラーパネルに受けて、電気を作り出す。暑い砂漠(さばく)や、住宅(じゅうたく)やビルの屋根に取りつける。

・風力発電
風を利用してプロペラ状(じょう)の羽を回転させ、タービンを動かして電気を作る。強い風がふく場所が必要。

・水力発電
流れる水のエネルギーから作られる。主にダムを作って発電していたが、最近では川を流れや波の力を利用した発電がある。

・地熱発電
地中の奥(おく)深くにある熱の力を利用して発電する。高温で熱せられて地下水は水蒸気(すいじょうき)となり、その力で発電機を動かしている。

自然エネルギーは、今後ますます必要とされるだろう。だけど、簡単(かんたん)にはいかないこともある。太陽エネルギーは夜や雨の日には使えないし、水力発電ではダムを作るために自然が破壊(はかい)されてしまう心配もある。風力発電は、狭(せま)い日本では風がつねにふく場所を探(さが)すのが大変だ。すべてのエネルギーを自然エネルギーにするのは、まだ難(むずか)しいかもしれないね。


少ないエネルギーで動かせる工夫はないかな?

未来のことを考えて、エネルギーを上手に使える工夫をしたいよね。家庭でエネルギーを使うことが年々増(ふ)えているから、省エネタイプの製品(せいひん)を使うのもひとつの手だね。エアコンや冷蔵庫(れいぞうこ)などの家電製品は、新しい製品が開発されるたびに省エネルギーの工夫がされている。少ないエネルギーで動くから、電気代も少なくてすむんだ。

乗り物にも、省エネの工夫がされているよ。ハイブリッドカーという名前は聞いたことがあるかな。ハイブリッドとは、ふたつ以上の何かを組み合わせること。ハイブリッドカーは、ガソリンエンジンとモーターの2つを使って走る自動車だ。エンジンで電気を作りモーターを動かすなど、走り方に合わせて使い分けることで、ふつうの自動車の半分くらいの燃料(ねんりょう)で動く。自動車のほかに電車やバスにも、ハイブリッド式のものが使われるようになっているよ。

外国では、サマータイムという省エネの工夫をしている国もあるよ。これは太陽が出ている時間が長い夏の間だけ、時計を1時間すすめるものだ。こうすると1時間早く朝の時間を利用することができ、夜は照明(しょうめい)などをつける時間が少なくなって、省エネルギーにも役立つんだ。


いらないものがエネルギーになるってほんと?

地球にやさしい新エネルギーって、どんなものだろう。原料を再利用(さいりよう)してエネルギーを作る方法について、いろんな取り組みが行われているよ。それは生き物を利用したエネルギー、バイオマスエネルギーとよばれるものだ。いらなくなった木のくずやわらを燃料(ねんりょう)にしたり、菜の花やひまわりなどからとれる油を自動車の燃料にしたりするんだよ。

京都市では、家でいらなくなった油を回収(かいしゅう)して、バスの燃料に使っている。横須賀(よこすか)市が行っているのは、生ゴミを醗酵(はっこう)させて、メタンガスを取り出すこと。ゴミを利用するからゴミの量も減(へ)らせるし、ガソリンよりもきれいな空気を排出(はいしゅつ)できるんだ。このガスは、ゴミ収集車(しゅうしゅうしゃ)などの燃料に使われているよ。

また、動物のフンなどを微生物(びせいぶつ)によって分解(ぶんかい)させると、バイオガスを作ることができる。酪農(らくのう)がさかんな岩手県の葛巻(くずまき)町では、牛のフンを原料にしたバイオガスづくりに取り組んでいる。また、木材(もくざい)を加工する時に出るおがくずや木の皮などからは、木質ペレットという燃料を作っているよ。いままでゴミとして捨(す)てられていたものが、エネルギーに活用できるっていいよね。


エネルギーを大切に使うにはどうしたらいい?

世界では今、砂漠(さばく)が広がっている。砂漠は水が少なく、植物もほとんど生えていないところだ。どうして砂漠は、広がっているんだろう。雨が少なくなったり、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)のために気温が上がったせいだったり、砂漠化にはいろんな原因(げんいん)がある。でも、その原因の多くは、人が作り出したものなんだ。

・電気のスイッチをこまめに消そう
見ていないテレビや、人のいない部屋の照明をつけっぱなしにしていないかな?エアコンによる部屋の冷やしすぎや、暖(あたた)めすぎにも気をつけよう。冷蔵庫(れいぞうこ)のものをひんぱんに出し入れしたり、冷蔵庫の中につめこみすぎたりしても、電力をたくさん使ってしまうよ。

・できるだけ歩こう
歩いて行けるところは、できるだけ歩くか、自転車を使うようにしよう。遠くへ行く時もなるべく自動車を使わずに、電車やバスで行くようにしよう。

・水をむだ使いしないようにしよう
歯をみがく時、顔を洗(あら)う時、水を出しっぱなしにしていないかな?食器を洗う時は、水をためて洗うように。洗濯(せんたく)の時はおふろの残り湯を使うと、水の節約(せつやく)になるよ。

ほかにも、ゴミをきちんと分別することだって、エネルギーの節約につながる。再生紙(さいせいし)を使ったトイレットペーパーなどのエコ商品を使うことでも、省エネに役立つことになるんだよ。


太陽エネルギーで料理を作ってみよう!

自然エネルギーの中でも、身近にあるのが太陽のエネルギーだ。太陽の熱を集めて料理を作る、ソーラークッキングに挑戦(ちょうせん)してみよう。

まずはアルミはくなどの金属(きんぞく)板を組み合わせて、大きな鍋(なべ)みたいな装置(そうち)を作る。これがソーラークッカーといって、コンロの代わりになり、太陽の熱を集めるんだ。晴れた日に陽あたりのいいところに置くと、すぐに熱くなるよ。ここへ、熱を吸収(きゅうしゅう)しやすい黒い鍋を置く。油をしいて、卵(たまご)を割(わ)って入れてみよう。次第に卵が焼けて、目玉焼きができあがるよ。ほかにもお茶をわかしたり、イモを焼いたり、いろんな料理を作ってみるといいね。

ソーラークッカーは、商品としても売られているよ。また、電気の通っていないアフリカなどでも広めようと、活動している人がいる。太陽エネルギーは、たくさんの可能性(かのうせい)を秘(ひ)めているんだね。