33. 山本商店にランプの販売権を譲渡 1925年(大正14年)
山本商店との取引が増えるにつれて、同店から問屋に売ったランプが区域外の地方へ流れ始め、これに対する苦情が地方代理店から続出した。
そこで、大正13年11月、所主は初めて代理店会議を開催し、収拾に当たったが、席上、山本店主は「自分が代理店をやめるか、それとも自分をランプの総販売元にするかのいずれか」と主張し、前者の場合は解約金として2万円を要求した。
所主は予想外の提案に驚きはしたが、山本店主の信念をもった態度にも感心した。会議では根本的な結論を得ぬままに、年は明けたのである。
所主は、ランプの販売を他に任せることによって、製造に専念したいとの思いがあり、この提案にも興味をもった。そこで、地方代理店の立場を尊重することを前提に、山本商店にランプの全国販売権を「エキセル」の商標とともに譲渡する契約を結んだ。その内容は、電池ランプを毎月1万個、3年間販売するというものである。このとき、山本店主は今後3年間で売る約束の36万個について、その場で36枚の手形を書いて手渡してくれたから、その豪胆さに所主は驚いた。(絵の手前が山本店主。後ろ左は山本商店の顧問であった加藤大観氏。後に所主と同居し、所主の健康と会社の発展のため勤行する。)